ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第9章 【廃虚 −脱出行2−】

 

DM 「はい、今回は10月14日、ディスプレイサービーストの襲撃と、テレポートストーンの暴発によって離れ離れなってしまった所からはじまる。」
ジョン 「おう、待ってたぞ。 前回のラストでは、何も教えてくれないんだもんなぁ。」
ルイ 「いや、まったく。」
DM 「続き物の話で次回に気を持たせるのは常套手段なのさ。」
エフェ 「たしか、私とジョンとマリュータとトーマスが小屋に残って、ディスプレイサービーストとルイ、イーグル、フェイグランスが飛ばされちゃったのよね?」
DM 「そのとおり。 小屋に残った方から先に話を進めるからね。 テレポート組みは別の部屋でゲームでもしててくれ。」
ルイ 「んじゃあ、なにか飲み物でも買ってきましょうかねぇ。」
エフェ 「私に、このライムのヤツ!」
ジョン 「俺もー!」
ルイ 「全員同じのでいいんですね。 はーい。(退出)」
フェイグランス 「いくべいくべー。(退出)」
イーグル 「(マンガの究極超人)あ〜るは面白いなぁ。」
DM 「こら、部屋の外で読みなさい(笑)。」
イーグル 「2,3冊借りてくぞー。(退出)」
DM 「始めようか。 これまで空を覆っていた雲が晴れ、木漏れ日が壊れた窓から差し込んできている。」
エフェ 「さてと、どうしようかしらねぇ。」
ジョン 「あの3人を探すか、ここで待つかだろ?」
エフェ 「もしくは、次の町で待つか。 まぁ、あの3人ならこっちへ戻ってくるでしょうけどね。」
ジョン 「森から出たところで、タルシスとかに襲われたらバラバラになっている分不利だからなぁ。」
エフェ 「そうそう。 そんなわけで、やっぱり探しに行きましょう。」
ジョン 「連中がここに戻ってきたら?」
エフェ 「探しに出ている事を書き置きにでも残しておけば、大丈夫じゃないかしら。」
ジョン 「そうか、そうだな。 でも闇雲に探してもなぁ。」
エフェ 「そこよね。 煙とかをたいて、こっちの場所を知らせるにしても、敵やエルフ達までよってこられたら困るし。」
トーマス 「そうですねぇ。 じゃあタレスティウスの品でも借りましょうか。」
エフェ 「あら、そんな物が?」
トーマス 「ええ。(ベッドの前に座って)このベッドをどかしてもらえませんか?」
ジョン 「おう。 マリュータは反対側持ってくれ。 よいしょーっと。」
DM 「ベッドを動かすとね、その下に落とし蓋のような物が現われる。」
ジョン 「これも、動かしていいんだな?(トーマスに確認して)よっと、ずらしたぞ。」
DM 「ジョンが落とし蓋を取ると、下へと続く階段が現われるよ。」
エフェ 「秘密の部屋ってわけね。」
トーマス 「ええ。 中にはいろいろな物がありますが、殆どの物には”保存”の魔法がかけてあります。 うっかり触ってしまわないようにして下さいね。」
ジョン 「だってさ、エフェ。 誘惑に負けるなよ(笑)。」
エフェ 「わかってるわよ(笑)。」
DM 「階段を1階層分降りると、そこは小屋自体と同じくらいの広さの地下室になっている。 この部屋には棚などが所せましと置かれているよ。 地下室特有の湿気やひんやりとした感じはなく、暖かくて居心地のいい部屋だ。」
エフェ 「多分、タレスティウスがここにある物を保存する為に魔法で空気を調節しているのね。」
ジョン 「調節の魔法を使おうとして、間違えてファイヤーとか使ってなければいいけどな(笑)。」
エフェ 「あれは、周りに人がいる時だけのおフザケでしょ(笑)。」
ジョン 「そうだけど、割と重要な時までボケるからなぁー。」
エフェ 「少なくとも、頼る気にはならないわね。」
ジョン 「それが狙いだったりして(笑)。」
DM 「さて、トーマスは部屋の中をトコトコと歩いて行き、一つの棚の前で立ち止まる。」
エフェ 「私たちも行ってみましょう。」
トーマス 「エフェさん、あなたの目線あたりに、箱が置いてありませんか? それを開けて頂きたいんですが。」
エフェ 「ええと、あるの?」
DM 「黒い箱が置いてあるね。」
エフェ 「あったあったと。 開けて大丈夫なのかなー。」
ジョン 「ネコ(トーマス)がいいっていっているんだし、いいんじゃないの?」
エフェ 「それじゃあ、開けた!」
DM 「中にはスクロールが3巻収められている。」
トーマス 「(エフェの肩に上って)このうち、どれかが”サーチ”の呪文の筈です。」
エフェ 「サーチ? 聞いた事がない呪文だけど。」
トーマス 「タレスティウスのオリジナルスペルでしてね。 探している者の方向へ導く呪文なのですよ。 もっとも、難易度の高い呪文なので、誰でも使いこなせるわけではありませんが。」
ジョン 「エフェは使いこなせるわけ?」
トーマス 「さぁ。 私には何とも。」
エフェ 「やってみろって事ね。 でも、前回のでリーディングヘルメットが壊れちゃったから、”リードマジック”を覚える為に一晩寝なくちゃ。」
ジョン 「ん。 大人しく寝よう。」
 
10月15日
 
エフェ 「さーて、呪文が読めるわよ。」
ジョン 「俺は剣でも磨いてるから、やっててくれ。」
エフェ 「全部読んでみるけど。」
DM 「1巻目がね、”クラウド・キル(毒の霧)”と”ディゾルブ(固体の融解)”だ。 2巻目が”ラスト・プルーフ”。」
エフェ 「クラウドとディゾルブはいいとして、また聞き慣れないのが出てきたわね。」
DM 「これまた、タレスティウスのオリジナルでね。 簡単に言えば”錆止めの呪文”だ。 1週間の間、1000CH(重さの単位。 1CH=金貨1枚分)の物を錆から護る。 但し、既に付着している錆を除去する力は無い。」
エフェ 「なるほど。」
DM 「最後が”サーチ”だね。」
トーマス 「サーチの呪文は、普通の魔法のように”覚えて使う”ことは出来ませんので、スクロールとして(1回限りの使用)お使い下さい。」
エフェ 「勿体無いみたいだけど、仕方ないわねー。 じゃあ、早速使うわよ。」
DM 「ほい。 さっきも言った通り、これは難しい呪文なので、知識の値×5以下を1D100して出して下さいな。」
エフェ 「知識が16だから、80以下を出せばいいわけね。 成功率は80%!(ダイスを振る)…41だから、成功!」
DM 「OKだ。 君の目の前に紫色の球体が浮かび上がる。」
トーマス 「その球体に向かって、あの3人の姿を思い浮かべて下さい。」
エフェ 「わかったわ…ぷぷっ。(笑)」
ジョン 「なぜ、そこで笑う(笑)。」
エフェ 「や、ルイを思い出したら、なぜか笑えちゃって(笑)。」
ジョン 「ルイが聞いたらガッカリするか、それとも…喜ぶかもしれないな(笑)。」
マリュータ 「ふっ。」
ジョン 「あ、マリュータが笑った(笑)。」
エフェ 「めっずらしー!」
マリュータ 「いや、とっとと行こうぜ。」
エフェ 「分かったわ。 思い浮かべる。」
DM 「紫の球体が、北東の方向を示した。」
エフェ 「よし、行ってみましょうか。」
ジョン 「マリュータ、外を偵察してみてくれ。 俺は入り口の扉のところで、いつでも飛び出せるようにしておくから。」
マリュータ 「分かった。(小屋の中から外を見、次に外を一周して地面の足跡をチェックし)今のところ、危険は無いようだな。」
エフェ 「行こう行こう。」
DM 「小屋の中からでると、サーチの呪文の紫の玉が上下左右に揺れ始める。」
エフェ 「あらら? もしかして、森の魔力の影響?」
DM 「そういうこと。 この呪文も何かの影響を受けているようだね。 樹海でコンパスを使っているかのように、頼りない動きを見せている。」
エフェ 「小屋に戻ると…?」
DM 「北東の方を示して停止するよ。」
エフェ 「こうなったら、あとはカンでいってみようー!」
ジョン 「おー!」
DM 「森の中には獣道ともとれる小さな道が幾つか伸びているよ。 それ以外の場所は下草が深かったり、薮になっていたりして、進むのは難しそうだ。」
ジョン 「素直に道を行こう。」
DM 「北東方向に進む道を選んで進んでいくとね途中何度も道が湾曲した後、二手に分かれている。」
エフェ 「どっちが北東なのかしら?」
DM 「道もクネクネと曲がってきているから、正直正確なところは分からない。 ただ、あえて言うならばブレまくっている紫の球の中心は北東の方を指しているように思える。」
エフェ 「ここは、カンで!」
ジョン 「カンで…棒倒し(笑)。 右だ。」
エフェ 「OK、右!(笑)」
DM 「同じく、くねくねと曲がりくねった道が続いた後、3本に道が分かれている。」
エフェ 「おーまいがーっ。」
ジョン 「元来た道を忘れないように、印をつけていこうか?」
エフェ 「それをたどって敵が来たら厄介よ? ここはしっかり記憶していきましょう。」
ジョン 「わかった。 で、ここも右!」
DM 「OK。 しばらくして、また2本道(笑)。」
エフェ 「なんなのよ、ここはー!」
 
ジョン達3人はその後も分かれ道を選びつつ進み…
 
DM 「ジョンの身体に、ふわふわとした糸のような物がへばりついた。」
ジョン 「なんだ? どこからのびてんの?」
DM 「樹の上からのようだね。 糸を追っていくと、右手にタイマツのような物を持ったサルのような動物がいて、糸に火をつけようとしている。」
エフェ 「随分知能が高そうなサルね。」
ジョン 「なんか気持ち悪いから、糸を切るぞ!」
DM 「筋力のチェックをしてみて。」
ジョン 「成功。」
DM 「それでは、糸はパチンと、まるでゴムが切られたかのようにはじけて、その猿のような生き物も森の奥へ逃げていってしまう。」
エフェ 「なんだったんだろう。」
ジョン 「ここに住んでる種族か何かかな。」
DM 「さて、そろそろ夕方だね。」
ジョン 「なんてぇ広い森なんだ。」
DM 「ちょっとした国が一つ入るくらいの広さがあるからねぇ。」
エフェ 「もう、帰り道忘れたー!」
ジョン 「俺も(笑)。 ついでに、小屋に書き置きしてくるのも忘れたぞ!」
エフェ 「あらぁっ。」
DM 「さて、次は3差路。」
エフェ 「まっすぐ!」
DM 「ほい。 ようやく少し開けたところに出たよ。 見覚えのある小屋がある。」
エフェ 「小屋…って、もしかして、私たち戻ってきちゃったの?」
DM 「そのようだね(笑)。」
ジョン 「ガックリ。 獣道は迷い道〜ってか。」
エフェ 「いいや。 今日はもう休みましょう。」
 
翌日(10月16日)
 
DM 「さて、今日はどうするね?」
エフェ 「今度はキチンと書き置きをしてと。 最初の道を左に行ってみるわよ。」
ジョン 「おう。」
DM 「暫く行くと、道が4つに分かれている。」
ジョン 「4つ?!」
エフェ 「本当に、迷い道ね〜。(汗)」
DM 「いや、マリュータが一番左の道へ歩いていって、『そこに、この赤い羽が落ちていたぞ。』と言うよ。」
エフェ 「赤い羽ってことは…。」
ジョン 「タレスティウスの印だよな?」
エフェ 「よし、行ってみましょうか。」
DM 「はい、この沈黙の森を歩いていると分かるけれど、本来森では聞こえる筈の鳥の鳴き声や、動物の足音などはまったく聞こえない。 君達がザクザクと歩いている音だけが聞こえ、しかしそれさえも森の木々の間に吸い込まれていくように感じる。」
エフェ 「不気味ー。」
DM 「次の分かれ道は2本道だけど、今度も左の道に赤い羽が落ちている。」
ジョン 「よし、この調子でどんどん行こうぜ!」
DM 「はい。 ではこの日の夜、君達は森から抜けた。」
エフェ 「あらら?」
ジョン 「よかったんだろうか。 これで。」
DM 「と、ここで一旦交代ね。」
エフェ 「はーい。(退出)」
ジョン 「ゲームでもやるか。(退出)」
ルイ 「あ、ジュース買ってきましたよ。 あとでお金。(入室)」
エフェ 「はいはい。 あんがとね。」
フェイグランス 「近くに店がないからね、ちょっと歩いたよ。(入室)」
イーグル 「運動だよ、運動(入室)。」
DM 「まず、最初にルイが目を覚ました。 太陽の位置からして、どうやら時間帯は朝らしいね。」
ルイ 「あれから一晩寝ていたわけですか。 あー、なんか不幸な気分ですね。」
DM 「そうそう。 ボロボロに崩れた石畳の上に寝ていたせいか、身体のあちこちが痛い。」
ルイ 「なんですか、ここは。 森の中に石畳? いや、テレポートさせられたから森だとは限らないんですが。 ひとまず顔を上げて周囲を見回してみましょうか。」
DM 「ほい。 君から5mくらいの間隔を空けて、イーグルとフェイグランスが倒れている。 また周囲にあったらしい樹や草は黒く焼けこげていたり、折れたりしていて、その姿を留めていない。」
ルイ 「一体、なんなんでしょう。 石畳は町中のように全体的に広がってるんですか?」
DM 「いいや、街道のように、一直線だね。 この石畳をたどっていくと、ちょっとした丘があり、その頂の部分に大きな建物がある。 但し、何か強力な力で壊されたかのように、あちこち倒壊しているけどね。」
ルイ 「ズバリ、廃虚でしょう!」
DM 「そのようだ。 周りに人や獣の気配はない。」
ルイ 「んー、調べてみたいですね。 何かありそうな雰囲気ですね。 とりあえず、手近な石ころを拾って、倒れている二人に投げます。 いつまで寝てるんですか〜っ。」
イーグル 「いてぇ、そんなんで起こすなよ!」
ルイ 「そこまで歩いていくのも面倒ですから。」
フェイグランス 「5mくらい歩いて欲しかったけどね(笑)。」
DM 「皆目覚めたね。 朝の光が君達と、空気に舞っている細かいチリのようなものを照らし出している。」
フェイグランス 「変なところに飛ばされちゃったね。」
イーグル 「視界が利くところは全部壊されてるか、燃やされてるのか。」
DM 「そういう事。 ただし樹の数も少なく、森の中ではないと思われる。」
ルイ 「で、あの建物が気になるわけですが…。」
イーグル 「ここがどこか分かるかもしれないし、行ってみようぜ。」
フェイグランス 「賛成賛成。」
DM 「建物に近づいていくと、それはかなり立派な建物だった事が分かる。 小高い丘の頂に建てられた建物といい、その周囲を取り巻く、高さはないもののしっかりとした建物といい。」
イーグル 「まるで、貴族の館か神殿みたいだな。」
フェイグランス 「そうだね。 中に入る扉はあるの?」
DM 「扉は無いけれど、かつて両開きの扉があったであろう部分ならある。 今は壁の中に四角く開いた穴になってるけどね。」
ルイ 「中に、入ってみましょう。」
DM 「窓が極端に少ないのか、まったく無いのか、中は真っ暗だ。」
イーグル 「これで、貴族の館ではない事が分かったな。 館が朝にこんなに暗い筈がない。」
フェイグランス 「んだね。 すると神殿かー。」
ルイ 「明りを点けたいのですが、油と火口箱(点火の道具)はありますのに、ランタンがありません。」
イーグル 「俺も無いな。」
フェイグランス 「松明は?」
ルイ 「先日のデストラップダンジョンの時に使い切って以来、補充するのを忘れてましたよ。」
フェイグランス 「そいじゃ、”シルバー(フェイグランスの剣)”の能力の、ライト(明り)をかける。」
イーグル 「便利だな、それ。 俺もシルバーとまでは行かなくても、カッパー(銅)とか欲しいぞ(笑)。」
フェイグランス 「それで鍋を作って料理したいような名前だね(笑)。」
DM 「明りを点けるとね、君達が入ったところは大広間で、あちこちに戦士の姿をしていたらしい像の残骸が10体分ほど散らばっている。 広間の中央には清楚な、しかしどことなく邪悪な美しさを持つような、矛盾した側面を持つ女神像が立っており、その胸に1本の槍が突き刺さっている。」
ルイ 「槍が突き刺さっているのは、左胸ですか? 右胸ですか?」
DM 「その間。 丁度中央付近だ。」
フェイグランス 「矛盾した性格を持つ女神像ね。 神殿っていう推測はアタリだったわけだ。」
イーグル 「だな。 で、矛盾した性格って事は、今までの話から察するに”月の女神イシュリア”だろうな。」
ルイ 「そうですね。 おそらく。」
フェイグランス 「槍は抜けそう?」
DM 「多分ね。」
ルイ 「それでは、抜いてみましょう。 よーいしょっと。」
DM 「槍が像から抜かれると、床がゆっくりと光を放ち始め、声が聞こえてくる。」
ルイ 「おお…。」
DM 「『暗黒の力は強い。 わらわの光は闇にかき消されようとしている。 決して勝負のつかない、ついてはならない戦いに異変が起こっている。 わらわの子供達は、ヤーン(運命神)に弄ばれているのか…。
ムーンガード。 彼等は己の力を知らぬ。 運命の意味を知らぬ』
ここで床の光の明るさが少し弱まり、声が続く。
『光の側は6人と1人。 即ち”ガイアの光”、”剣の騎士”、”イシュタルの癒し手”、”風の盗人”、”炎の運び手”、”森の貴公子”。 そして”闇に睨まれし一族の王”。 闇の側は”2人である1人”と”ドールの力”。 即ち稲妻の恐怖と暗黒の主』
ここで床の光が完全に消える。
『南東へ。 子供達よ、南東へ、南東へ。 土の中央。 神の扉に仲間が見つかるでしょう。』


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