ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第8章 【暗殺者達の夜明け −脱出行1−】

 

平成2年4月29日。 一同はDMの家に集まる。
 
DM 「はい、前回の続きだよん。 ゲーム内の日付で10月2日。 タレスティウスの塔を出発したところからはじまる。」
ジョン 「ここって、次の町までどの位かかる距離なの?」
DM 「次の町の”ハウンド”までは、歩いて2日の距離。」
ジョン 「それまで、また人力車だ。」
エフェ 「文句言わないで、引っ張る!」
ジョン 「まったく、人使いが荒いよ。 ゲーホゲーホゲーホ。ピクッピクッ。おい、起きろ! ゲシッ。 うー、がくっ。 ぴしーぴしー、長老は病気なんだ、勘弁してやってくれぇ〜。 うるさい、ピシ!ピシ!」
イーグル 「1人で何を遊んでるんだ?(笑)」
ルイ 「奴隷ごっこですか、楽しそうだなぁ(笑)。」
タレスティウス 「まったく、退屈せんのう。」
フェイグランス 「そう言えば、前回の続きなんだけど。」
タレスティウス 「うむ。」
フェイグランス 「引きさかれた月の女神を1つに戻すことってできないの?」
タレスティウス 「出来ることは出来るが、それが出来る者は決まっておるのじゃよ。」
フェイグランス 「それが出来たら、ムーンガードはいらないんでしょ?」
タレスティウス 「まぁ、その必要がなくなるからのう。」
ルイ 「タレスティウスの塔から貰ってきた葡萄をつまみながら歩きますよ。 ちょっぴり甘くてすっぱくて美味しいです。」
エフェ 「ぶどう酒ではないのね。」
ルイ 「まぁ、たまには(笑)。」
イーグル 「しかし、この国に入ってからも結構いろいろあったな。」
ルイ 「お、回想モードに入る気ですか?」
イーグル 「テレビ番組じゃないんだから、しねーよ(笑)。」
ルイ 「そうですか、もう中盤ですからねぇ。 前半をふりかえってみるのも…」
イーグル 「聞けよ(笑)。」
タレスティウス 「かわっとらんのう。」
ルイ 「思えば、そうですね、ランカスターをたってから、領主同士の争いに巻き込まれたカップルを救い、ジャレスに呪いをかけられ…。」
フェイグランス 「あらら、本気で回想モードだよ。 この人は。」
エフェ 「ほっとこほっとこ♪」
ジョン 「だな(笑)。」
ルイ 「呪いを解く為とは言え、かなりの寄り道をしてデストラップダンジョンをクリアして…」
DM 「そろそろ夜だよ。」
フェイグランス 「水中呼吸の呪文を唱えてから、寝る。 前回も重宝したしね。」
エフェ 「ワニに噛まれた歯形は消えたの?」
フェイグランス 「イーグルに責任持って治してもらったよ(笑)。」
イーグル 「噛まれて痛い思いをしたのも、俺なんだがなぁ(笑)。」
 
翌日(10月3日)
 
DM 「風が強くなってきているね。 それと、街道に戻っているから、随分歩きやすいよ。」
ジョン 「少しは楽になったな。」
ルイ 「ジョンが聖騎士になって、カステラ食べて…」
イーグル 「まだやってるぞ(笑)。」
フェイグランス 「順番も狂ってきているよーだ(笑)。」
エフェ 「止めてあげたら?」
ルイ 「いや、もう終りですよ。 カステラ美味しかったなぁ。」
イーグル 「ここまで旅をしてきた感想がそれか(笑)。」
DM 「旅といえば、東西交易の盛んな街道を歩いているというのに、旅人の姿をまるで見ないね。」
エフェ 「どうしたんだろ?」
ジョン 「気をつけた方がいいな。 みんな、抜かるなよ。」
フェイグランス 「おー!」
エフェ 「馬車をひきながら言っても、格好つかないけど(笑)。」
ジョン 「早く馬買ってくれよ(笑)。」
 
翌日、10月4日
 
DM 「さて、ハウンドの町まであと少しという所まで来た時、タレスティウスが突然立ち止まって、何かを探るような顔つきになる。」
ルイ 「タレスティウスが警戒しているんですか?」
DM 「そのようだね。」
ジョン 「よし、馬車から離れて、剣を抜く。」
フェイグランス 「戦闘態勢ってやつだね。」
タレスティウス 「そうだ、気を抜くな! 全力をださんと、お前達の旅もここで終りだ! 間もなく”奴”がここへ来る!」
エフェ 「タレスティウスがこんなに警戒するなんて。 では、とりあえずプロテクション・ノーマル・ミサイル。(通常飛び道具からの防御呪文)」
イーグル 「ジョンにストライキング(打撃強化)だ。」
ルイ 「私は、ブレス(命中、打撃微増)」
フェイグランス 「シールドを唱えて、ミラーイメージ(分身)1。」
DM 「目の前の空間が歪み、強風が砂を吹き上げ、それを覆い隠す。 それが収まった時、相変わらずの鋭い目付きをした男、ジャレスが口元に不敵な笑みを浮かべて立っている。」
ジャレス 「俺は忙しいんだ。 ムーンガードを誕生させた礼は言うが、お前達はジャマなんだよ! 今回こそはドール(暗黒神)の元に送り込んでやろう。」
エフェ 「うわー、いつになく本気モードね。」
ルイ 「相手が焦っているという事は、向こうに対して我々が有利な材料を持っているということですか。」
ジョン 「のんびり考えている暇はないぞっ!」
タレスティウス 「わしは、自分の魔力を呼び起こすのに、時間がかかる。 それまで持ちこたえてくれ。」
ルイ 「どうやらタレスティウスもこの事態は予測していなかったようですが、本気で加勢してくれるのなら、勝つ見込みはありますね。」
エフェ 「よし、イニシアチブはとったわよ。」
ルイ 「では、ジャレスにフェアリーファイアです。 相手に当てやすくなる筈ですよ。」
エフェ 「ヘイストをかけるわよ。 2回攻撃どうぞー!」
フェイグランス 「OK! 外れと当たり。 10ポイントだ。」
ジョン 「アーマクラス(低いほど当たりづらい)0とマイナス6は?」
DM 「外れと、あたり。」
ジョン 「硬いな。 俺も10ポイントだ。」
イーグル 「攻撃して、6ポイント。」
DM 「タレスティウスは瞑想中ね。 ジャレスはジョンに2回攻撃して、25ポイント。」
ジョン 「コンバット・オプションのマルチアタックか。 いってぇな。 よし、次はこっちもコンバットオプションのスマッシュを使うぞ。」
エフェ 「次のイニシアチブ…負けたー。」
DM 「ジャレスは呪文を唱え始める。 途端、周囲の気圧が下がり、氷の破片が舞い飛び、それらは低温の強風を伴って君達を襲う。 寒さと、氷の打撃によってダメージを与える”アイス・ストーム”の呪文だ! セーヴィングに成功しなければ40ポイント。 成功したら半分。」
フェイグランス 「あいたたた、失敗だ。」
ジョン 「成功だ。」
イーグル 「俺も失敗だけど、レジスト・コールドリングがあるから、大分緩和されるな。」
エフェ 「私も成功。 失敗したら死んでたけど。」
ルイ 「私は失敗です。 早速ピンチですね。」
イーグル 「残りヒットポイント申告してくれ。」
ジョン 「19。」
フェイグランス 「10だ。 今のでミラーイメージも消されたよ。」
ルイ 「私も10です。」
エフェ 「15−。」
マリュータ 「12。」
イーグル 「俺だけ42か。 了解だ。」
フェイグランス 「マジックミサイル3本をジャレスに。」
DM 「スペルターニングの効果がかかっているらしく、すべて跳ね返ってくる。」
フェイグランス 「うわぁ、シールド唱えておいてよかった。 防御、防御、失敗で、3ポイントくらった。」
ルイ 「フェイグランスに、キュア・クリティカル・ウーンズで15ポイント回復です。」
イーグル 「同じやつでジョンに10回復。」
エフェ 「ジャレスの目に対して、コンティニアル・ライト!」
DM 「先ほどのマジックミサイルと同様、君に跳ね返ってくる。」
エフェ 「うわー、セーヴィング失敗だわ。 まぶしいまぶしい。」
DM 「攻撃の命中判定にマイナス4ね。」
エフェ 「まぁ、魔法使いだから大丈夫。」
ジョン 「スマッシュの命中判定は、ACマイナス2だけど?」
DM 「外れてるね。」
ジョン 「なんてぇ、硬さだ。 でも、次もスマッシュを使うぞ。」
エフェ 「次のイニチアチブ、2。」
DM 「1だから、そっちからどうぞ。」
フェイグランス 「もう一度、マジックミサイルを撃ってみる。 ターニングの効果は有限な筈だから。」
DM 「しかし、今回も跳ね返ってくるよ。」
フェイグランス 「これだけターニングできるなんて、流石だなぁ。 シールドをかけてたから一応全部防御できたけど。」
ルイ 「自分にキュア・シリアスで8回復です。」
イーグル 「ジョンに2ポイント回復。」
エフェ 「もう一度、ジャレスの目にコンティニアルライト!」
DM 「やはり、跳ね返ってくるねぇ。」
エフェ 「そして、やはり失敗する私(笑)。 まぁもう関係ないけどね。」
DM 「こっちの攻撃か。 イーグルは前に出ているんだったね。 そのイーグルに17ポイント。」
イーグル 「痛ぇ…。」
ジョン 「ラウンドの終りだから、スマッシュ! だめだ、外れ!」
ルイ 「タレスティウスの指示は時間を稼ぐことでしたから、ダメージを与えられなくても、さほど気にすることはありませんよ。」
エフェ 「そうね。 タレスティウスが何かするなら魔法だと思うから、さっきからターニングの回数を削っているわけだけど。」
フェイグランス 「まぁ、攻撃もしておかないと、こっちが何か準備しているのを見破られちゃうからね。」
DM 「次のイニシアチブ、1だ。」
エフェ 「5よ。 こっちから。」
タレスティウス 「(瞑想していた状態から、顔を上げて)よし、皆よく持ちこたえてくれた。 ジョンはそのままジャレスを抑えろ。 ドルイドと僧侶は僅かに下がれ。 他の者は、わしのそばに来るのだ。」
イーグル 「分かった。」
ルイ 「いいでしょう。」
エフェ 「フェイグランス、下がるわよ。」
フェイグランス 「あいあいさ。」
ジョン 「ならば、俺はパリィ(防御専念)だ。 ACがマイナス5まで下がる。」
DM 「流石に、それだとマルチアタックは出来ないな。 一回攻撃して6ポイント。 それから、タレスティウスはフェイグランスに小さな青い石を渡す。」
フェイグランス 「なに、これ?」
タレスティウス 「今から使ってもらう事になる。」
エフェ 「次は、3。」
DM 「こっちは2だ。 そっちから。」
タレスティウス 「(フェイグランスに)ジョンをジャレスから離れた場所に飛ばすのだ。」
フェイグランス 「それは、ジョンに接触しないとイケナイから、今回は移動だけで終っちゃうけど?」
タレスティウス 「その石があれば出来る。」
フェイグランス 「なるほどね。 それじゃあ、ジョンこっちこっち。」
ジョン 「うぉぉ、ジャレス覚悟ー! …あれ、何時の間に俺はルイに向かって突進してるんだ?(笑)」
ルイ 「こ、こら、危ないじゃないですか(笑)。 変なところに飛ばさないで下さい。」
フェイグランス 「文句はタレスティウスにどーぞ(笑)。 接触しなくてもいいかわりに、うまく場所が指定できないみたいだ。」
DM 「青い石は砕けてしまうよ。」
フェイグランス 「効果は1回だけか。」
DM 「さて、フェイグランスがジョンを移動させている間に、タレスティウスはエフェでさえも聞いたことがない呪文を唱え始めている。 非常に複雑な韻を踏んだそのスペルから、激しい魔力の高まりを感じると、天空から炎に包まれた4つの流星が飛来し、それぞれがジャレスを直撃した。」
エフェ 「メテオ・スゥォームの呪文ね。 魔法使いの最上級魔法だわ。」
ルイ 「まさか、こんな大技を見られるとは。」
DM 「そう。 こうした最上級魔法は『本当に存在しているの?』というくらいの伝説の魔術だと思ってくれ。 さて、流星はジャレスを直撃した後、激しい爆発を引き起こし、熱風が吹き荒れ、炎がその場を支配した。」
ジョン 「これでは、流石のジャレスも…。」
DM 「それらが収まった後、君達の目に入ったのは、あれだけの攻撃を受けながらも、それに耐えぬいたジャレスの姿。 しかし、流石にかなりのダメージをくらっているようだ。」
エフェ 「まぁ、ダイスで普通の目を出しても、120ポイントくらいは堅いもんね。 4つの流星で別々の目標を攻撃するのが普通なのに、全部食らわせられているし。」
ルイ 「120ですか。 私とマリュータとエフェの体力をすべて合わせてくらいですね。」
ジャレス 「まさか、お前達に”イリアン”の1人がついていたとは思わなかったぞ。 残念ながら俺はしなければならない事がまだあるので、この場は引かせてもらう。 …簡単にカタがつくと思っていたのだが、仕方がない。」
エフェ 「あーっ、また逃げる気?!」
ジャレス 「ふん、お前達の始末は、部下にでも任せるさ。 ハーディアルを無事に抜けることが出来るかな? ドールの災いが、お前達の身に降りかかることを祈って。」
エフェ 「部下ねぇ。」
DM 「ジャレスは消えてしまったよ。」
イーグル 「テレポートか。」
ルイ 「タレスティウスも、カサンドラ老師とおなじ”イリアン”の1人だったんですね。」
イーグル 「イリアンってなんだ?」
ルイ 「ムーンエンドに5人しかいない賢者のことですよ。 ムーンエンド中の術者の中でトップ5だと思ってくれていいかと。」
エフェ 「確か、これも『本当にいるの?』というくらいの存在の筈よね。」
イーグル 「なんだ、俺達ってついてるなー。」
フェイグランス 「だね(笑)。」
エフェ 「で、タレスティウスは何も言わないの?」
DM 「珍しく、無言だね。」
ルイ 「では、それぞれ回復しておきましょう。」
ジョン 「だな、ハウンドの町に向かうか。」
DM 「はい、その後は何事もなく、ハウンドの町に到着。 ここも交易で栄えている都市で、それなりに人口も多いよ。 砂漠地帯に近づいてきたこともあってか、町中にはラクダの姿も見受けられる。 道は石畳で綺麗に舗装されているよ。」
ルイ 「一息つけそうですね。」
イーグル 「そうだな、とりあえず宿を取るか。」
DM 「宿はあちこちで満員になっているけれど、”妖精の森”という宿屋があいているよ。」
エフェ 「メルヘンな名前の宿なのね。」
DM 「そうだね。 この町の宿は、大きな建物のものが多く、酒場にはステージなんかもあるよ。」
ルイ 「いいですね。 今晩は歌なり踊りなりを楽しみめるかもしれません。」
エフェ 「料金は?」
DM 「10人部屋が1人5GP、3人部屋は8GP、個室が15GP。」
エフェ 「15は高いよー。 イーグルがおごってくんないかなぁ。」
イーグル 「やなこった(笑)。」
ジョン 「宿も決まったし、ちょっとでかけてこよう。」
イーグル 「俺は、今のうちに全員分の馬を手配して置こう。 金は払えよ(笑)。」
フェイグランス 「へいへい。 よろしくー。 おれは酒場でサラダでも頼んでいるよ。」
エフェ 「私は果実酒ー。」
DM 「では、イーグルは薄暮の町の中を歩いていく。 通りや広場では、行商人が露店をたたんでいる姿が目に入る。」
イーグル 「ちょっと、急いだ方がいいかな。 その辺の人に場所を聞いて、さっさといこう。」
DM 「ほい。 馬屋は露店ではなく、普通の店構えだけどね。」
イーグル 「この辺を旅するなら、馬は必須だろうからな。 さて、馬を注文して置こうか。」
馬屋 「分かりやした。 それでは明日の朝には馬牧場から連れて参りますので。」
イーグル 「悪いけど、それほど遠くなければ早めに手に入れたいんだが?」
馬屋 「ああ、お客さんは旅の方だから、知らないのも無理はないが、今この町では夜になると怪物が現われるっつー噂がありましてね。 もう何人か殺されているらしいんですよ。 お客さんも早く宿に戻った方がいいですぜ。」
イーグル 「なるほど。 そんなことが起きてるのか。 じゃあ無理を言っても悪いな。 そいじゃあ、明日の朝頼む。」
馬屋 「分かりやした。 宿は”妖精の森”でしたね? お届けにあがります。」
イーグル 「助かるよ。 あとは帰ろう。」
DM 「では、ジョンはどうするの?」
ジョン 「ん。 前回ので魔法の剣が手に入ったから、バスタード・ソードを売ろうかと思って。」
DM 「買い値が80GPか。 ならば買い取りは10GPで。」
ジョン 「仕方ないな。 この金で何か食べ物でも買って、大部屋の皆で食べよう。 近くに露店はある?」
DM 「みんな店じまいの用意をしているけどね。 やっていそうなところで、頭にターバンを巻いた男の店から、何やらいい匂いがするよ。」
ジョン 「なんだろな。」
DM 「男の露店には、白いパンの様な物と、茶色っぽい粉のような物が鍋に入れられている。」
ジョン 「もしかして、カレーか?!」
DM 「そのとおりー!」
露店の男 「お客さん、今なら安くしておきますよ?」
ジョン 「うん、なんかうまそうだから、全部もらおう(笑)。」


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