ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第8章 【暗殺者達の夜明け −脱出行1−】

 

DM 「そして、その頃酒場では、この店で一番人気の”マーニャ”という踊り子の踊りがはじまっている。」
フェイグランス 「いいぞいいぞー!」
ルイ 「もっと足あげろぉ!」
エフェ 「あんたがた…(笑)。 マリュータはどうしてるの?」
DM 「マリュータはビールのジョッキを持ちながら、無言で踊りを楽しんでいるようだよ。 タレスティウスは、明らかに顔を赤くして鼻の下を伸ばしている(笑)。」
フェイグランス 「そういえば、サラダはいくらなの?」
DM 「8SPだね。(1GP【金貨】=10SP【銀貨】)」
フェイグランス 「そんじゃあ、1GP出しておつりの2SPは踊り子にチップだ。」
DM 「踊り子が目の前に来て、ひらひらと踊っているよ。」
フェイグランス 「わーい、チップをわたそ。」
DM 「踊り子は君にウィンクして、舞台の中央にもどる。」
フェイグランス 「うほほーぃ。」
エフェ 「まったく、人間の女にデレデレしちゃって、エルフとは思えないわね(笑)。」
ルイ 「じゃ、じゃあ私は1GP!」
イーグル 「張り合ってるのかよ(笑)。」
エフェ 「あら、イーグルお帰り。」
イーグル 「ただいま。 もっといろいろ見てこようかと思ったんだが、夜になると怪物が現われるとか言うんで、とりあえず帰って来たよ。」
エフェ 「物騒なのね。」
ジョン 「今日はカレーもあるぜ!」
フェイグランス 「お、ジョンおかえり。」
ジョン 「ただいま。 なんか珍しいのがあったからな。 ここで食うと怒られそうだから、後で部屋で食おうぜー。」
フェイグランス 「おー!」
ルイ 「しかし、踊り子がいる酒場なんて、久し振りですよ。」
DM 「何時の間にか、この宿も満員になっているから、酒場も賑やかだよ。」
ルイ 「いいですね。 (店の主人に)いつもこんなにはやっているんですか?」
店の主人 「いや、この先で盗賊が出るって噂が出ていてね。 西に向かう商人が出発を延期しているんだ。」
ルイ 「ほぅ、盗賊。」
店の主人 「命からがら逃げてきた商人の話だと、数は20人くらいだったらしいが、滅法強い盗賊達で、護衛があっという間に倒されたらしいぜ。」
ルイ 「ほー。」
店の主人 「他にもいろいろ情報はありますが?」
ルイ 「仕方ないですね(笑)。 どんな話があるんです?」
店の主人 「この近くにある”沈黙の森”のことや、世間話みたいなものや、ちょっと珍しい情報ですかね。」
ルイ 「それでは、3GPをチップで出しますから、全部教えて下さい。」
DM 「OK。 それぞれまとめると、こんな感じ。」
 
●沈黙の森 森の中では魔法がうまく働かない。 エルフが住んでいるという話もあり、また、最近森の近辺では頻繁に地震が起きる。
 
●世間話 翼を持ったトカゲが、空を飛んでいたのを、町の乞食達が見たらしい。
 
●珍しい話 数人の男が、町中で獣のようなものに殺された。
 
ルイ 「ふーむ。 最後のはイーグルが聞いてきたのと一緒ですね。」
イーグル 「だな。 翼を持ったトカゲというのも気になるが。 ドラゴンかな?」
エフェ 「前回のシナリオで聞いた話では、ドラゴンは伝説の存在じゃなかった?」
ルイ 「もし、現われたとしたら大ごとですが…。」
フェイグランス 「似たようなのに、ワイバーンがいるね。 ブレス攻撃はしてこないけど、尻尾の先が猛毒の針になっているという。」
エフェ 「それだったら、何とかなりそうだわね。」
イーグル 「ジャレスの部下とかいうのに何か関係があるかもな。」
エフェ 「じゃあ、盗賊団も?」
ルイ 「可能性はありますね。」
フェイグランス 「沈黙の森か。 俺は何か聞いたことがないの?」
DM 「では、知識でチェックをどうぞ。 プラス2していいよ。」
フェイグランス 「うん、成功。」
DM 「沈黙の森には、西のエルフの拠点都市である、”サイレントホールド”があると、聞いたことがある。 東の”ルーンホールド”に並ぶ程の規模を持っているようだね。 ただし、ルーンホールドと同様、伝説化している都市でもある。」
フェイグランス 「行ってみたら、もう遺跡でした、なんて事もありえるわけだ。」
ルイ 「エルフは年齢が長い分、都市のサイクルも長そうですけどね。」
フェイグランス 「機会があったら行ってみたいな。」
DM 「近くは通る事になるね。」
フェイグランス 「機会があったら、でいいかな。 西のエルフと、東のエルフは仲がいいの?」
DM 「いや、交流自体がまったくといいっていほど無いので、そのあたりは分からない。」
フェイグランス 「ルーンホールドは、辺境の森のエルフにでも親切だったけどね。」
エフェ 「それは、同じ東のエルフだからじゃない? 人間の王国でいえば、ランカスター辺境のルメイオ村の人が、王都シャスターに行ったみたいな。」
フェイグランス 「そうか。 そうかもね。」
イーグル 「怪物が現われる場所ってのは、決まっているわけ? と、ビールを注文しつつ、2GP渡す。」
DM 「代金を随分多めに貰ったこともあって、ホクホク顔で教えてくれるよ。 この町は北側が高級住宅街、南は商店街、西や東は通常の住宅街になっているんだけど、今のところ、怪物が現われたのは北の高級住宅街に限定されているそうだ。」
イーグル 「今いるのは、町のどのへん?」
DM 「西だね。」
イーグル 「うーん、気になるな。」
フェイグランス 「ジャレスの部下だとしたら、なんで直接仕掛けてこないんだろう?」
エフェ 「さぁ。」
ルイ 「そのうち、来るかもしれませんがね。」
ジョン 「人を殺すような怪物が潜んでいるのなら、退治していきたいな。」
フェイグランス 「なんで?」
ジョン 「そりゃ、町の人が危険だからさ。」
エフェ 「さっすが、聖騎士ねー。 でも、町の衛兵隊に任せた方がよくないかしら?」
ルイ 「物騒な格好でうろついて、犯罪者と勘違いされても困りますよ。」
ジョン 「うーん、しかし、衛兵が捕らえられるくらいなら、苦労はないような。」
エフェ 「分かったわ。 ジョンがそういうなら、2、3日この町に滞在してみましょ。」
ジョン 「おう!」
エフェ 「但し、宿代はジョン持ちね。」
ルイ 「当然ですね。 ふふふ(笑)。」
ジョン 「がーん(笑)。」
DM 「さて、マーニャの踊りが終ったよ。」
ルイ 「あっ、話に気をとられて、充分に見られませんでしたよ。 とほほ。」
エフェ 「明日も見られるわよ(笑)。」
ジョン 「部屋でカレーくおうぜー!」
DM 「カレーといっても、日本にあるようなトロリとしたカレーではなく、香辛料を組み合わせた粉っぽいものなんだけどね。 パンの様なものと言ったのは、いわゆる”ナン”だと思ってくれ。」
ジョン 「思った。 うまーい!」
フェイグランス 「ぴりっとするけど、イケルね。」
イーグル 「どれどれ?」
ルイ 「踊り子もいいですが、こういうのもいいですね。」
ジョン 「同室の人もさそうぞ。 皆でくおーぜ!」
DM 「じゃあ、大部屋の人が集まってきて、皆でワイワイと食事になる。」
エフェ(個室) 「楽しそうだなぁ(笑)。」
 
明けて、10月5日。
 
DM 「召使いらしい男が、サービスだといってパンとスープを持ってきた。」
ルイ 「じゃあ、頂きましょう。 朝食朝食。」
DM 「この部屋にいるのは、エフェ以外か。 ではタレスティウスがパンをほお張りながらもごもごと話をする。」
タレスティウス 「”沈黙の森”の北のスミに、わしの小屋があるんじゃが、あそこはなかなか静かでいいぞい。 まったく静かすぎるほどの場所じゃ。 それに魔力もおかしくなる。 あれはたしか、暗いので”ライト”の呪文を唱えようとした時の事じゃ。 何故か火の玉が爆発しおっての。」
ルイ 「ほう。」
タレスティウス 「こんな呪文じゃったかのう…(呪文を唱え始める)。」
DM 「フェイグランスには、紛れも無くファイヤーボールの呪文だとわかるよ。」
フェイグランス 「ぅわ、ストップストップ!」
タレスティウス 「何を焦っておる。 只のライトじゃ。」
フェイグランス 「いーや、信用ならない(笑)。」
イーグル 「エフェか、フェイグランスか、どっちかを見張りにつけておかないと不安だな(笑)。」
DM 「それから、宿の従業員がイーグルを呼びに来るよ。 なんでも馬を連れてきた人がいるとかで。」
イーグル 「ああ、そうだ。 注文していたんだよ。 サンキュー。」
馬屋 「では宿の馬屋につないでおきましたので、確認して下さい。」
イーグル 「念の為確認しておくか。 他人の馬だったりしないように。」
DM 「大丈夫。 キチンと馬がいるよ。」
イーグル 「OKだ。 金を払うよ。」
馬屋 「毎度。 (空を見て)ああ、曇ってきたからまた雨になるかもしれないな。 そんじゃ、私はこれで。」
イーグル 「おう、ご苦労さん。」
ジョン 「(フェイグランスに)俺達は町を見回ってこようぜ。 北側の方を重点的に。」
フェイグランス 「え?俺も?」
ジョン 「宿代だしてるんだから、働けー!(笑)」
フェイグランス 「わかった、わかったよ(笑)。」
DM 「2人が町を歩き回っていると、昼前頃に何者かの視線を感じるようになってきた。」
ジョン 「…見られているな。」
フェイグランス 「ああ。」
ジョン 「ディテクトエヴィル(悪意の存在を見破る)。」
DM 「反応なし。」
ジョン 「ディテクトマジック(魔力の存在を見破る)。」
DM 「同じく、反応なし。」
ジョン 「物陰に隠れる。」
フェイグランス 「俺はジョンと反対側の建物の影に。」
DM 「(ダイスを振って)フェイグランスには、何か黒い豹のようなものが、チラリと見えた気がしたが、それはすぐに見えなくなった。」
フェイグランス 「黒い豹のような物か。」
ジョン 「心当たりがあるのか?」
フェイグランス 「黒いヒョウ…黒豹。」
ジョン 「そのままじゃないか(笑)。」
フェイグランス 「いやー、さっぱりわかんないな(笑)。」
ジョン 「いっそ、敵のスタンドだとか言ってくれたほうがよかったぞ。」
フェイグランス 「それじゃ、この位置から動かずに、ウィザードアイ(自在に動かせる、魔力の目)。」
DM 「裏通りや建物の死角などをくまなく探し回ったけど、それらしい物は見当たらないね。」
フェイグランス 「駄目か。」
ジョン 「でも、何か獣がいることはわかったわけだ。」
DM 「さて、その頃他の人は?」
エフェ 「私は宿屋で待機。 あら、このカレーナン美味しいわ(笑)。」
イーグル 「癖になりそう(笑)。」
ルイ 「では、私は他の酒場に行ってきますよ。 一ヶ所だけからの情報だと、偏ったりしている場合がありますからね。」
DM 「それじゃ、それにはマリュータもついていこう。 わりと近くにも酒場兼宿屋があって、そちらは”水晶の森”亭という名前だ。」
ルイ 「森関連の宿屋名が多いですね。 これも近くにある沈黙の森とやらの影響ですか。」
DM 「ルイが外に出ると、厚くたちこめた上空の雲の切れ間を、何か巨大な物が飛んでいったように見えた。」
ルイ 「おや、なんでしょうね。 件のワイバーンでしょうか。 まぁ、只の大コウモリがそう見えただけかもしれませんが。」
マリュータ 「ああ…(空を見上げて)…雲が厚すぎるな。」
ルイ 「仕方ありません。 酒場の方にいってみましょう。」
DM 「はい、水晶の森亭は、君達が泊まっている妖精の森亭と似たような造りの宿野兼酒場だよ。 店のオヤジが『いらっしゃい! 部屋は満員だが、テーブルは空いてるぜ。』と、酒場のテーブルを示す。」
ルイ 「ええ、一杯引っかけにきただけですから。 と、いいつつ、エール酒を頼んで情報収集。」
DM 「君とマリュータで夕方までいろいろと聞いてみたんだけど、さきほどと同じ情報くらいしか流れていないね。 ただ、やはり怪物に関しては脅えている人が多い。 衛兵達も動員されているようだけど、手掛かりを掴むにはいたっていないようだね。」
 
結局、この日は手掛かりも無く、日が暮れて行く。
  
DM 「空が曇っていることもあって、比較的早く暗くなるよ。」
フェイグランス 「カラスがなくから、かーえろ。」
ルイ 「やぁ、おかえり。 先に夕食頂いてますよ。 もっとも、水晶の森亭で色々食べたので、軽くやってますが。」
エフェ 「うーん、たまにゆっくりしているからいいけど、動きが欲しいわね。」
DM 「今晩も、マーニャの踊りがはじまる。」
ルイ 「踊りも気になりますが、周りの会話にも注意しておきましょう。 マリュータもお願いしますよ。」
マリュータ 「分かった。」
DM 「やがて、夜もふけてゆくよ。」
ジョン 「鎧を着て、『ちょっと出てくる』といって1人で出てみる。」
DM 「どのあたりに行く?」
ジョン 「さっきの、ヒョウみたいなのが出た場所に。」
フェイグランス 「こっそりと、クレイアボイアンス(千里眼)をかけよう。 これでジョンがピンチになっても駆けつけられる。」
ジョン 「こっそりに気づいた。 ありがとう。」
フェイグランス 「手をヒラヒラと。」
 
単独での夜の見回りをしたジョンだったが…。
 
衛兵 「(夜の町を武装して歩くジョンを見つけて)止まれ、そこの男。」
ジョン 「止まった。 武器を持たずに手を広げて、『俺の名はジョン=クレイン。 ラーラの聖騎士だ。』と、ホーリーシンボルを見せる。」
衛兵 「(ホーリーシンボルに明りをかざして確認し)これは、失礼いたしました。 しかし、現在この町では夜に怪物が徘徊しているとの噂があります。 充分お気を付け下さい。」
ジョン 「うん、俺もその怪物を倒そうと思って、こうして歩いているんだ。 もし何かあったら、音をたててくれ。 なるべくはやく駆けつけるからな。」
衛兵 「はっ。 それでは。」
フェイグランス 「(ジョンの目を通してやりとりを見て)うーん、会話の内容は聞こえないけど、誤解されずに済んだみたいだ。 聖騎士は便利だねぇ。」
ルイ 「何を1人で納得しているんです? 気持ちの悪い。」
フェイグランス 「1人で笑う人よりはいいと思うぞ。」
ルイ 「さて、そんな人いましたかねぇ。 ふふふ…。」
フェイグランス 「ははは…。」
エフェ 「気持ち悪い2人(笑)。」
DM 「しばらくして、ジョンが帰ってくるよ。」
ジョン 「なかなか怪物は出てこないな。」
イーグル 「明日は昼間寝て、夜に周ってみるか?」
ジョン 「そうするか。」
DM 「では、深夜の大部屋で。 ジョンは知力のチェック。」
ジョン 「お、成功。」
DM 「真っ暗な部屋の中で、何かが振り下ろされる音がするのに気づいた。」
ジョン 「なんか知らないが、ピンチだ! うーん、ちぢこもろうかな、いや、横に転がる!」
イーグル 「考えている間に殴られそうだな(笑)。」
ジョン 「今のは、0.001秒の間の考えなんだよ(笑)。」
DM 「何か大きな刃物が、ベッドの、君が先ほどまで寝ていた場所を切り裂いた。」
ジョン 「跳ね起きて剣を取るぞ。 みんな、起きろ!」
ルイ 「なんですか、うるさいですね…もう一眠り。」
ジョン 「するなー!(笑)」
DM 「同室の人達も、なんだなんだとおき出してくるよ。」
ジョン 「ルイ、明りを頼む。 マリュータは皆を避難させてくれ。 イーグルとフェイグランスは援護を頼む。」
イーグル 「いい指示だな。」
DM 「では、イニシアチブ。 エフェは今の音とジョンの声に気づいていいよ。」
エフェ 「あら、やだわ。 夜に襲ってくるなんて。 とにかく、私もそっちに行くわよ。」
ジョン 「イニシアチブは5!」
DM 「6。こっちからだ。 相手は剣らしきものでジョンに2回攻撃して、10ポイント。」
ジョン 「2回攻撃か。 こっちの攻撃は、AC3!」
DM 「君の剣は、相手の左腕らしき部分に跳ね返された。」
ジョン 「腕!?」


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