ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第7章 【タレスティウスの挑戦!】

 

DM 「やぁ、みんな昨日ぶり(笑)。」
ルイ 「連休に連続プレイはありがたいですね。 前回の余韻を残したままプレイできます。」
ジョン 「おう! 今日こそは聖騎士に!」
エフェ 「そうだったわね。 行き場所はシャムシールの町でいいんだったわよね?」
DM 「そうそう。 ハーディアル王国の首都”ローンヘイム”を囲むように配置されている7つの都市の一つ、シャムシール。 交通の要衝でもあるので、それなりに活気もあるよ。」
エフェ 「七都市の一つかぁ。 ということは、残りの都市の名前も武器の名前だとか?」
DM 「察しがいいね。 シャムシールの他に、グラディウス、シミター、トライデント、サックス、ジャベリン、チャクラムがある。 首都ローンヘイムは海に面した三角州の上に建てられた都市であるので、それを半円形に取り囲むようにこれらの都市が配されて、いざ戦いとなると、それぞれの都市が連携して防衛にあたるんだ。」
イーグル 「へぇー。」
DM 「ちなみに、この防衛線が破られたことは、過去に一度もない。 また、首都のローンヘイムは”水の都”とも呼ばれ、建物同士の連絡が水路や橋によってなされている。 このことから『水路を制する者は、ローンヘイムを制する』という言葉もあるほどだよ。」
イーグル 「あれか、要塞都市のヴェネツィアみたいなもんか。」
DM 「それに近いね。 さらに、海の側の防衛としては、ローンヘイムの北東に位置する島にメルルードという海軍の拠点がある。 他にももう一ヶ所、北西にも同様の拠点が設置される予定で、それが完成すれば、完璧な防衛ラインが完成することになる。」
フェイグランス 「さすが、軍事力が強いというだけのことはあるね。 治安はどうなんだろ?」
DM 「国王の影響力が強くて、治安はいいよ。 また物流も盛んで、活気がある。」
ルイ 「流石、辺境の町々とは違って、いい感じですね。」
DM 「そういう事。 東の大国ランカスター、西の大国ジャコバンとそれぞれ国境を接していることもあって、東西の物流が盛んだ。」
エフェ 「なるほど、都会なんだわ。 それもいろんな国の人が集まる都会ね。」
イーグル 「まるでシルクロードだな。」
ルイ 「そうですね。 なんか儲かりそうな響きです。 もっとも、砂漠のイメージもありますが。」
DM 「砂漠地帯は、確かに国の西側にあるけれど、基本的には平原や山岳の国だよ。 特に中心部は広い平野になっている。」
ルイ 「ほうほう。」
DM 「さて、そんな話をしながら、もしキャラが知らなければ猫のトーマスが解説しながら、シャムシールに到着しました。 9月23日の夕方のことね。」
フェイグランス 「まだ夕方なんだ? 久し振りに町の見物でもしようかな。」
エフェ 「賛成賛成!」
イーグル 「まずは、宿を手配しようぜ。」
ジョン 「おぅ。」
DM 「宿は沢山あるよ。」
エフェ 「じゃあ、なるべく中心部に近いところ。」
DM 「はいはい。 1人5GPね。 食事は1GPだ。」
イーグル 「よし、これで落ち着けるな。」
エフェ 「そいじゃ、自由行動。 明日までね。」
ジョン 「えっ? ここで聖騎士になろうと思ってたのに。」
エフェ 「じゃあ、早く行ってらっしゃいな(笑)。」
ジョン 「OK、行ってこよう。 途中の武器屋でバスタードソードを買うよ。 前回ので剣が壊れちゃったからな。」
DM 「ほいほい。 80GPね。」
ジョン 「で、太陽神の神殿に。」
DM 「太陽神の神殿は、日が沈むと閉まってしまうよ。」
ジョン 「えーっ? ちょっとまったぁっ!!」
DM 「それじゃあ、丁度門を閉めようとしている時だったことにしようか。」
ジョン 「ほっ、間に合った。 これこれカクカク、こういうわけで、聖騎士になる為の儀式をお願いしたいのですが。」
僧侶 「そうでしたか。 では神官様にお取り次ぎしましょう。(ジョンを奥へと案内する。)」
ジョン 「緊張するなぁ。」
DM 「君は神殿の聖堂に通されて、少し待つ事になる。 やがて白を基調とした神官服を身に纏った男性がやってきて、君に声をかけるよ。 『ようこそ、シャムシールのラーラ神殿へ。 私はマイヨと申します。 あなたは聖騎士になりたいとのことですが?』」
ジョン 「キチンと挨拶しておこう。 私はランカスター王国出身の旅の戦士で、ジョン=クレインと申します。 どうぞ、お見知り置きを。」
マイヨ 「(ジョンの姿を見て)なるほど、充分に訓練を積まれたようですね。 しかし、騎士…ましてや聖騎士となると、ただ力があるだけではなることができません。 おわかりでしょうか?」
ジョン 「は、はい。」
マイヨ 「神に仕え、主命を護り、正しきの為に戦うのが太陽神ラーラの聖騎士です。 また、神殿から発せられる使命は命を懸けても遂行せねばなりません。 よろしいか?」
ジョン 「心得ております。」
マイヨ 「して、あなたの主は何処の領主ですか?」
ジョン 「いえ、私には主はおりません。」
マイヨ 「主が居ない? では、何者の為に戦う騎士となるつもりですか?」
ジョン 「俺の…いや、私が仕えるのは、全ての弱い民衆に対してです。 国や種族、性別を問わず、私の信じる者と共に、彼等を護る為に戦うつもりです。」
マイヨ 「なるほど…(少し考えた後)では、この件は評議にかけた上で決めさせてもらいます。 また明日の朝いらして下さい。」
ジョン 「はい。」
マイヨ 「騎士になることが認められた場合、3日3晩ここで祈りつづけて頂きます。 仲間がいるならば、そのつもりで。」
ジョン 「がーん。 なんか置いていかれそう(笑)。」
マイヨ 「何か?」
ジョン 「いえ、なんでもありません。 では、これにて。」
DM 「ジョンが戻ってきたよ。」
ルイ 「やー、お帰り。 先に夕食いただいてますよ。」
フェイグランス 「ここのサラダはいけるよ、なかなか。」
エフェ 「で、聖騎士にはなれたの?」
ジョン 「それが、直接仕える人がいるかどうか聞かれた時に居ないっていったら、評議にかけるとかで。 明日また来いってさ。」
エフェ 「ふむふむ。」
ジョン 「んで、騎士になる時には3日3晩祈りつづけろって。」
エフェ 「じゃ、置いていこう♪」
ジョン 「だぁー! いわれると思った(笑)。」
エフェ 「冗談よ(笑)代わりにこの町で遊んでるから、ゆっくり祈ってらっしゃいな。」
ルイ 「なにしてましょうかねー。 ふふふ。」
フェイグランス 「買い物しながら情報収集かな。 いろいろ珍しいものがありそうだ。」
エフェ 「私もそうしよう♪」
 
明けて、9月24日。
 
DM 「神殿に来たジョンを、マイヨ神官が出迎えるよ。 『昨日評議にかけましたら、あなたについて知っている者が多数おりまして。 あなたは”夢狩人”のジョン=クレインさんですか?』」
ジョン 「え、ええ、そのようにも呼ばれてますね。 なんか照れるけど。」
マイヨ 「それでは、聖騎士になる為の儀式を始めましょう。」
ジョン 「おお、それでは!」
マイヨ 「(にっこりと頷いて)はい。」
ジョン 「やったぜ! …そういえば、神殿に寄付とかしなきゃだめだよね?」
DM 「そうだね。」
ジョン 「じゃあ、250GPで…」
DM 「ちょっと少ないな。」
ジョン 「うわぁ、お金が足りない。 じゃあ500GP相当のルビーでどうだろう?」
DM 「いいね。 それでは、瞑想の部屋に案内されるよ。 君はここで心を乱すことなく3日3晩祈りつづけて下さいな。」
ジョン 「とくに、判定とかは要らないの?」
DM 「うん。 3日経てば、君は立派な聖騎士だ。 多分(笑)。」
ジョン 「なんか不安だけど、とにかく瞑想しよう。」
イーグル 「500GPか…何時の世もボウズ丸儲けだな。」
フェイグランス 「そのわりに、僧侶のイーグルさんは貧乏だよね(笑)。」
イーグル 「言うなよ(笑)。」
DM 「というわけで、他のメンバーは3日間どうするかな?」
フェイグランス 「店を見て周ろう♪ 露店なんかも出ていないかな?」
エフェ 「私も一緒に行くわ。」
イーグル 「俺は久し振りに眠りまくろう。」
ルイ 「ワインで一杯、一杯。 また一杯。」
DM 「では、まずフェイグランスとエフェから。 店そのものも多いけど、広場には旅の商人が出している露店があるよ。」
フェイグランス 「西の方からきた商人の露店を探そう。 これから行く先の情報も聞けるかもだし。」
DM 「それじゃあ、君が広場を歩いていると、『ちょっと、そこのエルフさん!』と声をかけられる。」
フェイグランス 「な、なんだべ?」
DM 「男はランカスターの商人が好んで着る、ポケットの多い服装をしている。 目の前には民芸品みたいな商品が並んでいるんだけれど、君にはなんとなく懐かしい品々に見える。」
フェイグランス 「あなたは、ランカスターの商人?」
商人A 「ええ、ランカスターでも、特に東の辺境や海岸を拠点にしておりまして。 実は先日の雨の夜に”東のエルフの森”に迷い込んでしまいましてね。 そこに少し滞在させてもらったんですが、折角だからエルフの人の道具を買いつけてきたんですわ。」
フェイグランス 「なんて商魂逞しい(笑)。 しかも、俺の故郷に迷い込むとはね。 道理で懐かしいわけだ。」
商人A 「エルフの方の道具だから、エルフの方に合うんじゃないかと思いましてね。 いかがですか、この横笛なんか。」
フェイグランス 「故郷の横笛か。 いくら?」
商人A 「へい、20GPで。」
フェイグランス 「よし、買った。」
エフェ 「いいものが見つかったみたいね。 東の森では、私も魔法を学んだりしたし、住んでいた時期もあるから、私もなつかしいな。」
DM 「そんなエフェにも、声をかけてくる商人がいるよ。 『そこのお嬢さん、アクセサリーもいいけど、ジャコバンで作られた精巧な懐中時計はいかが?』と。」
エフェ 「時計? 珍しいわねー。」
商人B 「ええ、ジャコバン王国の山脈そばに、精密な機器を作っている町がありましてね。 その中でも、小型の時計は珍しいんでさ。」
エフェ 「どんなものか、見せてくれる?」
DM 「商人が脇に立たせていた馬の鞍袋から、小さな箱をとりだしてあけてみせる。 中には軟らかな布に包まれた、銀製の懐中時計が入っているよ。 ボタンを押すと蓋が開いて文字盤が見られる仕組みなんだけど、あちこちに銀の装飾が施されていて美しい。」
エフェ 「うわー。 でも、ちょっと高そうね。」
商人B 「本来は、貴族の方々にお売りするものなんですがね…。 あなたがたは、見たところ、相当経験を積んでこられた冒険者のようだ。 そんな方に使って頂ければ、こいつ(時計)も本望でしょう。」
エフェ 「歴戦の冒険者だから、お金持ちに見えるってわけね(笑)。」
商人B 「1500GPでどうです?」
フェイグランス 「たっかいなー。」
商人B 「いやぁ、それだけの値打ちはありますぜ。 本当だったら、宝石商あたりに卸して、そこから販売ですから、店で買えば2000は下りませんよ。」
エフェ 「よーし、ケチケチしないで買っちゃおう♪ 1600GPだすわ。」
フェイグランス 「豪気だな(笑)。」
商人B 「1600?! いやぁ、それじゃ、この銀のチェーンもおつけしましょう。 時計を下げておくのにぴったりですよ。」
エフェ 「ふふーん、懐中時計ゲット♪」
フェイグランス 「買い物の、ケタが違う(笑)。」
商人A 「じゃあ、珍しいこの置物でもいかが?」
フェイグランス 「置物?」
商人A 「そうです、珍しいカエルの置物。 玄関にどうぞ。」
フェイグランス 「それって、買ってなにかいいことあるのだろうか(笑)。 どんなものなの?」
DM 「20cm四方くらいの厚手の板の上に、高さ5cmくらいのガマガエルが鎮座していて、周りに馬車や雪だるまみたいなものが配された、よく分からない彫り物だ(笑)。」
商人A 「1GPで結構ですが。」
フェイグランス 「いらねー(笑)。」
商人A 「これも、東の森で仕入れたものですぜ。」
フェイグランス 「うぁぁ、こんなんあちこちで売り込まれたら、東の森のエルフの品性が疑われるって(笑)。 しかたない、買うよ。」
エフェ 「あんたを見て、品性ならとっくに疑ってるわよ(笑)。」
商人A 「毎度〜♪ いやー、やっと捌けた。」
エフェ 「よほど売れなかったのね(笑)。」
フェイグランス 「とほほ。」
 
一方その頃、ルイとイーグルは
 
ルイ 「お〜れはハーディアル〜のけいびへいー♪」
警備兵 「てーつのぼうぎょだしゃむ〜しーる♪」
DM 「と、ここの兵士達と意気投合しながら歌ってるわけね(笑)。」
ルイ 「今日は楽しくやりますよ。 情報収集は明日明日!」
DM 「イーグルは?」
イーグル 「なんか、下がうるせーぞ。 わけわかんねーな。 と言いつつ寝る(笑)。」
ルイ 「酒がたりませんよ、酒が!」
警備兵 「おっしゃ、オヤジ、樽あけろ、樽〜!」
ルイ 「シャムシールにかんぱいー!」
警備兵 「この町の旅人にかんぱーい!」
DM 「エフェ達が帰ってくると、酒場がこの有り様だ(笑)。」
エフェ 「あらら(笑)。 すっかり盛り上がっちゃって。」
ルイ 「エフェも一杯、いかがです?」
エフェ 「頂きましょう。 エールをジョッキでぐいっと!」
警備兵 「おおー!」
店の主人 「今日は俺からも奢るぞ! だれか地下の倉庫からビールの樽持って来てくれー!」
常連客1 「おっしゃ、任せとけ!」
イーグル 「なんか、下がすげー盛り上がってるけど。 まだ眠いから寝る。」
フェイグランス 「んじゃあ、イーグルの枕元にカエルの置物でも置いておくか。」
 
翌朝
 
DM 「イーグルが目覚めると、枕元に怪しいカエルの置物が(笑)。」
イーグル 「うわぁっ、呪われてねーだろうな、俺。」
フェイグランス 「さぁねぇ。 正体不明だからな(笑)。」
イーグル 「犯人はおめーか(笑)。 わけわかんねーもの置いておくなよ。 心臓に悪い。」
フェイグランス 「ちょっとしたお茶目ってやつだよ(笑)。 それよりも、手伝ってくれると嬉しいんだけど。」
イーグル 「何を?」
DM 「イーグルが宿屋の1階にある酒場にいくと、そこには酔いつぶれた男達がゴロゴロと。(笑)」
エフェ 「まったく、だらしないわね。 私なんかピンピンしてるわよ。」
客1 「誰だよ、あの娘を酔っぱらわせようとか言ったのはよ…。」
客2 「おめーだよ、おめー! なんてつよさだ。」
エフェ 「あのくらいで伸びるほうが悪い。」
イーグル 「…ほっとけば?」
フェイグランス 「いや、ルイが…。」
DM 「ルイは男達と肩を組んだまま、酒ビン持って熟睡している。」
イーグル 「2階のカエル部屋に運ぶか(笑)。 そっち持ってくれ。」
フェイグランス 「あいよ。 さて、朝まで騒いだから、俺も寝よう。」
エフェ 「あたしもー。」
イーグル 「なんだ、後は俺だけか。 んじゃ、倒れている椅子を1つ拾って、腰掛けるか。 店のマスターはおきてんの?」
DM 「客と一緒にひっくり返ってるよ(笑)。」
イーグル 「だらしねーな、いい大人が(笑)。 しかたねぇから、ちょっと別の食堂にでもいって、情報を集めてくるか。」
DM 「ほいほい。 朝だからね、大通り沿いには食堂が軒を連ねている。 オープンテラスのカフェもあるよ。」
イーグル 「なんか、そういうのは男1人じゃ気が引けるな(笑)。 普通の地味なところに入るよ。」
DM 「ほい。 木製の扉を開けると、小さいながらも暖かい雰囲気の食堂になっている。 ここは60歳くらいのオヤジさんが経営しているようだね。『いらっしゃい!』と声がかかる。」
イーグル 「パンと野菜と、ハムもらえるか。 あと、水も頼む。」
オヤジ 「はいはい! おまちどう!(柔らかいパンと、ハムエッグのレタス添えを渡される)」
イーグル 「おお、なんかいいな。 久し振りに暖かい感じの食事だ。」
オヤジ 「そうでしょう、旅の方。 普段冷たくて塩辛い保存食を食べている方には、これが一番のご馳走なんじゃないかってね。」
イーグル 「まったく、その通りだな。 ところで、オヤジは”デマヴァント山”って知ってるかい?」
オヤジ 「ええ、もちろん。 私も昔は商人でしたからね。 ハーディアルの西の国境を越えて、さらに砂漠を越えたところにある、(標高の)高い山ですわ。」
イーグル 「この国よりも、さらに西の西か。」
オヤジ 「ええ、しかし、あんな所へ何をしに行かれるんです? 途中の砂漠は盗賊がでて危険ですし、山自体には何もありはしませんよ? むしろ火を噴く山として、遠方の者からまで恐れられています。 なんでも、昔山の麓に栄えていたという都市が、一瞬にして廃虚になったのだとか。」
イーグル 「冒険者は、危険を好むものさ。 それより、火を噴く山って言うのは珍しいのか?」
オヤジ 「ええ、このムーンエンド島には2つしかありませんからね。 もう一つは、ハーディアル東部の”ブラックスモーク山脈”にあるらしいです。」
イーグル 「なるほどな。 や、うまかったよ、おやっさん。」
オヤジ 「お急ぎでなければ、暖かいショコラはいかがですか? 力がつきますよ。」
イーグル 「…もらおうか。」
 
その頃、神殿で瞑想しているジョンは
 
ジョン 「むー、煩悩退散、煩悩退散!」
エフェ 「座禅じゃないんだから(笑)。」


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