ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第5章 【過去】

 

前回のプレイから2週間後の週末、プレイヤー一同はルイの家に集まる。
 
プレイヤーJ(ルイ) 「いやー、頑張って掃除しておきましたよ。 コンピュータの周り以外は(笑)。」
プレイヤーT(フェイグランス) 「シャープのX1…初期型はセパレートタイプなんだよね、こっちの方がかっこいいなぁ。 でも、コードが多くて掃除しづらいのは宿命だよね。」
DM 「今日は飲み物買ってきた人はいないのか。」
プレイヤーT 「金がもうない(笑)。 貧乏学生だからね。」
プレイヤーE(エフェ) 「でも、社会人になったら今度は時間がなくなりそう。 今のうちに遊んでおきたいよね〜。」
DM 「いや、全く。 それじゃ、そろそろ準備はいいかい?」
ジョン 「おう、いいよーん。」
DM 「軽くあらすじから。 君達は『キャリスタンの炎』を求めて王都シャスターを後にし、リアンの町の事件を解決する際、偶然マリュータと再会する。 再び陣容の厚くなった君達一行だったんだけど、道中に待ち受けていたジャレスによって、死の呪いをかけられてしまう。 それを解くことのできる魔術師・フィルモンに支払う金を稼ぐ為に『デス・トラップ・ダンジョン(迷宮探検競技)』を制覇し、呪いを解いてもらう直前、フィルモンと領主の妻がジャレスの配下であるヴァルカン及び『ヤーンの瞳』イリスに誘拐された。 領主エルサレムから2人を救出する依頼を受けた君達は、死線をくぐりながらも無事にフィルモンと奥方を救出し、ヴァルカンを倒すことに成功したわけだ。」
ルイ 「そんな感じでしたね。 途中幾つも小さなイベントはありましたが。」
ジョン 「謝礼はもらったんだっけ?」
DM 「うん、まずは奥方を領主に届ける所からなんだよね。」
エフェ 「あ、そうか。 前回は助け出した所までで終りだったわよね。」
ジョン 「フレイム(ジョンの馬。 前回、敵の魔術師であるヴァルカンに馬刺しにされてしまった。)が居れば奥方を乗っけて行く事もできたのに。」
エフェ 「残念だったわね〜(笑)。」
ジョン 「ええい、せめて骨とかは埋めていくからな!」
DM 「はいはい。」
イーグル 「前回念仏はとなえたっけ?」
ルイ 「適当にとなえてましたね。」
イーグル 「じゃあいいな。」
ジョン 「キチンととなえてくれよ! むぅ、こうなったら、やはり聖騎士になって自分で弔うしかないな。」
ルイ 「そういえば、お金も取りかえしたんですよね?」
DM 「うん、3万GPはフィルモンに支払ってしまったけれど、領主から預かった2万PP(=10万GP)は無事に取りかえしている。」
ルイ 「よかった。 無くしたら弁償できませんからね〜。」
フェイグランス 「『敵に持って逃げられたことにして、代わりに奥方は無事に救出しました!』と言う手もあるけど?」
ルイ 「それ、奥方がもう聞いてますよ。 お金が無事なのも見てますし。」
フェイグランス 「ああぅ、しまった! やるならもっと早く気づくべきだったね。」
ジョン 「ダメダメ、人様を騙すようなことをしちゃいけません!」
フェイグランス 「まったく、善人なんだから。」
ジョン 「ほら、さっさと行くよ。」
フェイグランス 「はいはい。」
エフェ 「奥方様、このように不便な状態ですが、もう少し辛抱ください。 只今、足の速い者が馬車を呼んでまいりますので。(マリュータを見る仕草)」
DM 「エフェの視線を受けて、マリュータも『仕方ないな』といった感じで町の方に向かって駆けて行く。」
ルイ 「それじゃ、私たちもゆるゆると出発しましょうかね。 ヴァルカンが何か持っていないか確認したら。」
DM 「ヴァルカンはそうめぼしい物はもっていないよ。 ただ、封を解いたばかりの手紙のようなものを持っている。」
ルイ 「ほう。」
DM 「『引き渡し日が決定。 いつもの場所で。 ディーダー』とだけ書いてある。」
ルイ 「なんでしょうね、シェルトとかディーダーって。」
イーグル 「シェルトってのは、前々回あたりだかに『盗賊都市』とか呼ばれてなかったか? そこからきた奴が悪さをしていたような覚えがあるぞ。」
ルイ 「盗賊都市ですか。 それはそれは。 ランカスター王国にも大層な都市があったものです。」
奥方 「(ルイの話を聞いて、口を開く)盗賊都市シェルトは、このランカスター王国の町ではありませんわ。」
ルイ 「あら、なんと。」
奥方 「シェルトは隣国ハーディアルと、このランカスター王国の国境緩衝地帯とも言える場所に位置する町ではありますが、枠組みとしてはハーディアルの町となっています。 ハーディアルの首都であるローンヘイムからも遠く、また盗賊ギルドの力がとても強い為に、事実上ハーディアルの領主は存在せず、ギルドの長である『ディーダー』が町の一切を取り仕切っているのです。」
ルイ 「なるほど。 奥方様、恐縮です。 ギルドの長ともなれば、自分の本名などは出したりしないでしょうから、便宜上『ディーダー』と呼ばれているのかもしれませんね。」
エフェ 「そうね。 でも、そのシェルトを通るのが一番近道なんでしょ?」
DM 「そういう事。 船で湖を行くにしても、シェルトあたりで降りないと湿地帯か山岳地帯を越えなければならなくなるからね。」
エフェ 「ならば仕方ないわね。 危ない所を通るのも冒険者の性ってものよ。」
イーグル 「まぁな。 ジャレスの一派が、盗賊ギルドとどんな関係なのかは気になるが。」
ルイ 「この調子で行けば、巻き込まれる確率も高そうです(笑)。」
DM 「ははは(笑)。 さぁて、マリュータが馬車をつれてやってきたよ。『近くの農家からの借り物だが、贅沢は言えないだろう。』と言っている。」
エフェ 「白馬に宝石のちりばめられた馬車がくるのを期待していたわけじゃないから、いいわよ(笑)。」
 
奥方を連れ、領主の館に帰還した一行は結果を報告する。
 
エルサレム(領主) 「なるほど。 そのジャレスとやらが一連の事件の黒幕と言うわけか。 ご苦労だった。 一切は王に報告しておこう。」
ジョン 「ははっ。」
エルサレム 「それから、妻を助けてくれた礼をせねばなるまい。(侍従に指示して、1万GPをジョンの前に運ばせる。)」
ルイ 「(こっそりと)貧乏脱出ですね。」
エルサレム 「そして、これからの君達の旅の足しに、これも持っていってくれたまえ。(さらに1万GPを運ばせる。)」
ジョン 「こんなに…!?よろしいのですか?」
エルサレム 「君達の旅は、おそらく辛い旅になるだろう。 持って行き給え。」
ジョン 「ありがとうございます!」
エフェ 「(こっそりと)さすが、エルム王の信任厚い領主よねー。 なんとなく、私たちが目的を持って旅しているのを知っているみたい。」
ルイ 「そのようですね。」
エルサレム 「君達はシェルトの町に向かうそうだな。 知っていることかとは思うが、シェルトの治安は無いに等しい。 シェルトから西に行った所にはカステラと言う町もあるのだが、こちらも最近領主が替わったばかりで、情勢が落ち着いていない様だ。 充分に気をつけなさい。」
エフェ 「カステラ!?」
ルイ 「おいしそうな名前ですよね〜。」
ジョン 「とにかく、充分にお礼を言っておこう。」
DM 「それから、さらに、エルサレム伯は君達に船を用意してくれるよ。 今言ったとおり、シェルトは危険な町だから、この町との直接の交流は殆ど無く、船も出ていないからね。」
ルイ 「おおっ! それをこれからどうしようかと考えていたんですよ。 助かりますね、ほんと。」
エルサレム 「王が認め、妻を助けてくれた君達だ。 このくらいはさせてもらう。 急で大した物は準備できなかったが、宴席も用意しておいた。 今晩はゆっくりと休んでいきなさい。」
ジョン 「(エフェに)どーする?」
エフェ 「断わったら失礼と言うモノよ。 それに宿代と食事が浮くじゃない♪」
ジョン 「では、ありがたくお言葉に甘えさせて頂きます。」
 
夕食まで時間が空いた為、一行はバルコニーでお茶を飲みながら今後について相談する。
 
エフェ 「これよこれこれ、これがやりたかったのよね〜。 優雅にドレスを着てベランダでお茶なんて最高よね♪」
イーグル 「なんなんだか。」
エフェ 「これで、相手がよければ最高なんだけど。」
イーグル 「むさ苦しいのばっかりで悪かったな(笑)。」
フェイグランス 「一緒にするなぁっ!(笑)」
ルイ 「何を。みんな一緒ですよ。」
イーグル・フェイグランス・ジョン 「ルイと一緒にするなぁっ!(笑)」
ルイ 「なんなんですか、もう。」
イーグル 「それより、これからシェルトに行って…って、あまり長居する所じゃないよな? 着いたらさっさと抜けちまうか?」
エフェ 「そうね。 常に財布に注意してなきゃいけなさそう。」
マリュータ 「…。(遠い目をして、湖の方を眺めている。)」
エフェ 「珍しく、マリュータがたそがれているようだけど?」
ジョン 「意外と、マリュータの出身地だったりして。」
フェイグランス 「マリュータの大切な人がいる所だったりして(笑)。」
マリュータ 「(少し笑って)まぁ、そんなところだ。」
ルイ 「あららっ、意外なような、そのままなような。」
エフェ 「大切な人って?」
マリュータ 「聞くな(苦笑)。」
エフェ 「そういえば、前回はなんでここに兵士が集められてたんだっけ?」
ルイ 「奥方捜索の為じゃないですか?」
エフェ 「あ、そっか。 それなら、今回は静かでいいでしょうね。」
ルイ 「近頃はずっとタイムリミットに縛られて、ドタバタしていましたからね。 ちょっとした息抜きになりますよ。」
フェイグランス 「とうとうランカスター王国を抜けるのか。 他の国には出た事が無いから、ちょっとドキドキだな。」
DM 「シェルトより少し北に行った所には、エルフ達の住む『北の森』があるよ。 ちなみに君は『東の森』の出身ね。」
フェイグランス 「そっかそっか、仲間がいるかもしれないんだ。 ちょっと楽しみ♪」
エフェ 「そんな治安が悪い場所に、安楽主義のエルフがやってくるとも思えないけどね。」
フェイグランス 「むぅ。」
イーグル 「行ってみてのお楽しみってことだな。」
DM 「いいかい? それでは時間を進めて夜。 ささやかながら暖かい感じの宴会が催される。 蝋燭の火が銀の食器に反射してキラキラと美しく輝く中、これまた美しく着飾った貴婦人がダンスを踊る。」
ジョン 「エフェは踊らないの?」
エフェ 「ファルスがいれば踊ったかも。」
ジョン 「およよ、エフェはファルスが好きだったのか?!」
エフェ 「あれだけ好意を示してたんだから、分かってもいいじゃない(苦笑)。」
ルイ 「そういえば、そんなやり取りもありましたね。」
イーグル 「そいじゃ、その貴婦人には俺がダンスを申し込もう。」
ルイ 「おや、イーグルもダンスなんて踊れるんですか?」
イーグル 「一度、とある領主の下で働いていたことがあるんでな。」
フェイグランス 「じゃ、エフェは俺が誘おう。 一曲お相手願えませんか?」
エフェ 「仕方ないな〜。(苦笑)」


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