山形でTRPGやっちゃうよの会 第9回
【暗黒洞の尖塔−2−】

 

DM 「さて、前回のセッションの続きから行きましょうか。
前回のセッションでは洞窟をぬけ、コックローチの巣窟となっていた地のノードを突破して、”暗黒洞”と呼ばれるアンダーダークの巨大な洞窟へやってきました。」
ウィンシー 「アンコ食う洞…」
DM 「暗黒洞ね。(笑) そこでドゥエルガル(地下ドワーフ族)のブルスウォル・コールホラーという商人に出会い、ペデスタルという町や、暗黒洞について色々聞いたわけです。
その後”陰鬱湖”と呼ばれる地底湖を渡り、途中で怪魚アボレスに襲われつつ、ペデスタル入りを果たしたのでした。
ペデスタルに入る際、門のところでクオトア(魚人間)と戦闘になり、ここで1人のクオトアを捕虜にしているわけですね。」
バーン 「道案内に立ててたんだ。」
 
<雫石亭>
DM 「さて、あなた方は今、”雫石亭”と呼ばれる宿屋の前にいます。
建て増しを重ねて奇怪な姿になった3階建ての建物から、様々な色合いの光が漏れています。」
バーン 「建築基準法違反だ。(笑)」
DM 「ないよ、そんな法は。(笑)
中からは話し声や、歌声や陶器の触れあうガチャガチャと言う音やらが外の通りまで漏れ聞こえてきます。
空気の中には風変りな異国のたばこのにおい、泡立つ酒の匂い、肉の丸焼きの匂いがあります。
通りに面した壁はだらりと垂らした、何十本もの手のように鍾乳石がたれ下がり、それがくっつきあってカーテン状になったのを削って形を整えたものです。
明らかにずっと高いところから雫が垂れてきて、この鍾乳石を造ったのでしょう。
そうして、鍾乳石の間のあちこちから、石の顔がこちらを覗いています。」
グラム 「ここの煙草が好みに合うといいな。」
ウィンシー 「扉を開けて中に入りましょうか。 カランカランカラーン。」
DM 「扉を開けると、入口近くの話声はすうっと静まり、常連客の面々があなた方に目をむけます。」
ウィンシー 「『珍しい、地上人だぜ』って感じかな。」
DM 「そんな感じです。 あなた方を暖かく迎える顔は少なく、腹を減らした顔や、狂気を宿した顔は少なからず見受けられます。」
バーン 「と言う事は、温かい目もあるのか?!」
ユーヌ 「生暖かい目じゃないか? 『あ、カモが来たカモが来た。 大歓迎ー!』とか。」
DM 「この部屋は広く、天井も高く、壁には十数個の窪みがあって、その中に様々な者たちがあるいは立ち、あるいは座っています。
黒ずんだ顔のドワーフ、目をぎらつかせたデロ、痩せたドラウ、もっと風変りな色々な生き物たち。
まぁ、種族的にはいっぱいいます。」
アレクセイ 「クオドアとかもいるんですか?」
DM 「いますね。」
アレクセイ 「あれが口をつけたコップでものを飲むのは嫌だなぁ。」
ウィンシー 「手がいっぱいある奴とか、目が見えない奴とか。」
DM 「部屋の真ん中のバーには酒瓶やら酒樽、パイプや葉巻、それに何かを吸うためと思しき見慣れぬ器具が山と積まれています。
その奥に、白い麻布をかぶった白い人影が立っています。
部屋を動き回る4人の給仕も、これまた白い麻布をかぶっています。
横手の扉の奥にあるのは活気のある厨房で、調理の音とにおいがもれてきます。
広間の反対側には石造りの大きな椅子があって、1人の人影がそこに座って部屋を見渡しています。
真紅のフードを目深にかぶり、真紅のローブには目玉を模った、複雑な模様がいくつもついています。
この者が何物かは分かりませんが、部屋中のおよそあらゆる事に気づいているような感じです。」
バーン 「エス・サーチ…か?」
ユーヌ 「レッド・ウィザードじゃなければな。」
DM 「客席にはさっき言ったのとかぶりますけど、グリムロックとかデロとかクオトアとかが腰かけていますね。」
ウィンシー 「地下の生き物がいっぱいだわ。 ではマスターらしき人物に話しかけてみますか。」
バーン 「赤いローブの奴か?」
DM 「赤いローブの人影は、マスターと言うよりも店のオーナーと言った感じです。
店の方で一番偉そうなのは、バーテンですね。
こちらも麻布をかぶっていますが、この広い部屋の中央にあるバーに立っています。」
バーン 「とりあえずバーテンの所に行って、酒でも頼むか。」
ウィンシー 「『ブルスウェルさんに、ここの場所を聞いてやってきました。 今日の宿と食事をお願いしたいのですが。』」
DM 「『値段はどれでも1品5spだ。 但し貴重品は量が減る。 部屋を借りるのは、原則1日5gp。』」
ウィンシー 「もう、6人部屋でいいよね?」
アレクセイ 「そ、そうですね。」
DM 「メニューとしては、マッシュルームスープ、チーズに凝乳、魚料理、骨髄とレバーのシチュー、スパイスを利かせた八つ目ウナギのスープ、ゴキブリの冷製グリーンソース、各種のあぶり肉、甘い血のゼリーなどなど。」
ウィンシー 「ゴキブリー?!」
ユーヌ 「えー?!(笑)」
DM 「『飲み物には、大方の注文には対応できる。』」
グラム 「G料理か。」
アレクセイ 「Gは嫌だなぁ。」
グラム 「選択肢にはならないか。」
ウィンシー 「ここは健康的に凝乳じゃない? ヨーグルトよ、ヨーグルト!」
バーン 「ここは骨髄とレバーのシチューと、水で割ったワインでも飲みながら話するか。」
アレクセイ 「頼まないのも不自然でしょうからねー。 酒は飲まないから、凝乳だけでいいかな。」
DM 「『せっかくだから、僕はゴキブリの冷製グリーンソースを選ぶぜ!』とゼル。(一同笑)」
バーン 「勇者がいるぞ。(笑)」
DM 「『だって、こんなところにでも来なければ、食べられないじゃないですか。』」
グラム 「確かに、こんなところでなければ正しい調理方法はないかもしれない。」
アレクセイ 「じゃあ、グラムも頼む?(笑)」
ウィンシー 「いやー、きっと養殖した衛生的なゴキブリなんですよ。(笑) エスカルゴみたいなもんだよ。」
バーン 「まぁ、<生存>5レベルあるしな。 作り方は分かるかもしれないが、とにかく食いたくないもんは食いたくない。 死にかけたら考えるよ。(笑)
レバーのスープなんかも、『なんでこう、見栄え悪くつくるかな』と思いながら食っているかもしれない。」
ウィンシー 「白っぽかったり、黒っぽかったりするのかな。」
バーン 「ていうか、何の骨髄ですか?みたいな。(笑)」
ユーヌ 「(バーテンにドラウ金貨と普通の金貨を出して)この町じゃあ、どっちの金貨が価値が高いんだい?」
DM 「『どっちも価値は同じだよ。』」
ユーヌ 「これでどっちも使えることが分かったな。 『で、片方が俺の飯と飲み物、もう片方はあんたへの挨拶料だ。』」
DM 「はい、バーテンは黙って受け取るよ。 彼はあまり愛想がいい感じではないですね。
うつむいて囁くような感じで、今言ったような事をボソボソと口にしています。
他の給仕たちも大層痩せこけ、骸骨同然であるような印象で、一言も言葉を話していません。
全部身振り手振り。」
ウィンシー 「もしかして、スケルトンじゃないの?!(笑)」
バーン 「一応、料理も毒を警戒しながら食べるか。」
グラム 「従業員としては金もかからないし、いいかもな。」
アレクセイ 「毒を見分ける魔法もありますけど…」
ウィンシー 「こんなところで魔法を使った瞬間、囲まれる気がする。(笑)」
アレクセイ 「だよねー。(笑)」
ウィンシー 「一応、『10年前に来た時よりも、ずいぶん様子が違うようだけど…』とバーテンに話しかけてみるけど、どう?」
DM 「やはりボソボソと、『ああ、そうですか』などと返してきますよ。」
グラム 「この町の住人は、総じて魅力が低そうな気がする。」
DM 「そんな事ないですよ。 バーテンだって10ありますし。」
グラム 「ナンダッテ?!(一同笑) 俺6しかないのに。」
アレクセイ 「まぁ、不気味なモンスターが18だったりしますからね。(笑)」
ユーヌ 「どれだけ神に愛されているか、みたいなもんだからなー。
まぁ、飯を食いながら顔をあまり動かさずに店の中を観察するけどね。
給仕の人達のフードの中の顔が見られるようなら、確認したいけれど。」
DM 「それは、ですね…」
ウィンシー 「覗いてしまったから、SANチェック!(笑)」
ユーヌ 「えぇぇ!?」
DM 「殆ど前が見えないんじゃないだろうかと言うくらい目深にかぶっていますので、直接覗こうとしない限り、なかなか覗きこめないようですね。」
ウィンシー 「それが4人いるってのも、怖いよね。(笑)」
アレクセイ 「だね。(笑) かといって魔法を使うのもこわいし、じっとしてるけど。」
ウィンシー 「パラディン(聖騎士)なら、念じるだけで”ディテクト・イービル”が使えるだろうけどね。」
バーン 「ここの人たちは、皆共通語で話してるわけ?」
DM 「”地下共通語”ですね。 バーテンはあなた方を見て共通語で話しかけてきていますけど。」
バーン 「さて、とりあえず直球でバーテンに聞くしかないだろうな。 エス・サーチの事を。」
アレクセイ 「ここにいるって聞いたんだけど。 って?」
バーン 「そう。 『商人のブレスウォルさんから聞いたんだが、ここにエス・サーチって言う人がいるって聞いてね。
その人に色々とものを尋ねたらいいんじゃないかって言われたもんで、教えてくれないかなぁ。』」
DM 「『少し待て』とボソボソと言って、店の奥、影になった場所にいる赤いローブの人物に話を伝え、すぐにあなた方はその人物の前に案内されます。」
アレクセイ 「やっぱり、あの人がエス・サーチだったわけだ。」
バーン 「まぁね。 大抵赤い人は特別な人なんだ。(笑)」
DM 「さて、その人物の顔は奇妙なローブの、ゆったりとしたフードに隠れて見えません。
片手を挙げて、歓迎のしぐさをすると蛇香草と泥の混じったような臭いが鼻をつきます。
彼がこするような耳障りな声をあげて言うには、『太陽に汚された、大地の薄皮からの旅人よ、ようこそ来られた。 私は、エス・サーチ。 情報を扱っている。 それゆえ多くの事を知っている。
だが、何があなた方を没落した都市へ導いたのかは知らぬ。』」
バーン 「えらいもったいぶった言い回しだな。」
DM 「とりあえず、話はできそうです。」
ウィンシー 「まず、この町でもめ事を起こすつもりはありません、と前置きして、『人を探しています。 目撃情報ではローブをかぶった女性の姿で、名前は偽名かもしれませんが、ファディーラ。 我々よりも2週間先に、この町に来ている筈。』」
DM 「『あなた方が尋ねたことについて、私は多少の知識を有している。 だが、より多くを知るためには手間をかけ、財産や人脈を使わなければならない。 そこで提案するが…手を組もうではないか。』」
バーン 「ええっ?」
DM 「『ペデスタルの権力構造の外にいるあなた方に成し遂げてほしい仕事がいくつかある。
あなた方の仕事が終わるころには、私もファディーラについて、より多くの情報を有しているだろう。
首尾よく仕事を果たしてくれれば、私も情報を渡す。 どうだろう?』」
ウィンシー 「要は金じゃなく、労働で払えって事ね。」
DM 「そういう事です。」
バーン 「”ファディーラ”と、”サートラスの尖兵”について出来るだけの事を教えてくれるならば。」
DM 「『調べておこう。』」
アレクセイ 「話している様子を見て、生きている人間か、死んでいる人間かは判断できますか?」
ウィンシー 「まぁ、明らかにこのにおいは、におい消しなんだよね。(笑)」
DM 「全身ローブに包まれていますが、生きているか死んでいるかは(イラストを見せて)こんな感じで。」
アレクセイ 「これは、死んでますね。(笑) 下手するとリッチーとか…。」
ウィンシー 「いくら”秩序にして善”のハイローニアスの神官だからって、暴れださないようにね。」
アレクセイ 「まぁ、それをすれば任務成功が難しくなりますからね。 大義のために我慢しますよ。 それに私自身は”中立にして善”だし。」
バーン 「このパーティは”秩序にして善”はいないんだよな。 だから、こういう奴とも手を組めるわけだ。」
ウィンシー 「じゃあ、『その申し出、受けましょう。 しかし私は長くここを離れていた上、仲間達もこの町の知識はありません。 従って基本となる知識から教えていただければありがたいのですが。』」
バーン 「説明を飛ばして、だれそれを殺ってくれと言われても困るぞと。」
DM 「なかなか、勘が鋭いですね。 ではペデスタルについて、ざっと話します。
彼は町の地図を出しながら、説明してくれます。
『まず、町の中心にあるのが”死霊術師の尖塔”。 ドラウが街の支配者である時代も、この塔だけは独立の存在だった。
ここに居を構えていた者の名は”マロー”。 またの名を”青白き使徒”と言う。』
そのマローは相当の腕の死霊術師だったようですが、今はその塔に住む者はなく、何が出るか知れぬ廃墟となっているようです。」
グラム 「町の中心にクレーターがあるようですが?」
DM 「このエリアは”貴族の崖下”と呼ばれていて、そこにあるクレーターは”疫病の炸裂跡”と言われています。」
ウィンシー 「ええっ?!」
DM 「”疫病の炸裂跡”は今なお病原菌を宿しており、これに近寄りすぎた者は”灰化病”という病気に感染する可能性があります。
この病に感染した者は、体が次第に崩れて緑色の燐光を放つ灰と化し、やがて”プレイグロスト(疫病によって失われた者)”の仲間入りをすると。
”プレイグロスト”は生者を憎み、”灰化病”を広めるために存在するような、幽霊のようなクリーチャーですね。
普通の市民は、また疫病が流行り出したのではたまらないと思っているので、その”貴族の崖下”エリアは避けて通ります。」
グラム 「出会いたくないな。」
DM 「他にも説明は続きます。 安全で信頼できる宿り場で、食事を求めることができるのはここ(雫石亭)だけだそうです。
自分で言う形になりますけどね。」
アレクセイ 「この町ではここが一番安全というわけですか。」
DM 「そうですね。」
ウィンシー 「ブレスウォルさんもそういう意味で名前を挙げたんだろうしね。」
DM 「『何か物を売り買いしたいのであれば、バザールへ行くといい。』」
バーン 「(地図を見て)遠いな。」
アレクセイ 「ここから2マイル位か。」
ウィンシー 「距離だけでも1.5マイルくらいね。」
アレクセイ 「30分くらい歩くことになりますね。」
ユーヌ 「整備された道ならね。」
アレクセイ 「うん。 前回の描写によると、柱の根元の斜めになっている場所に出来ている町みたいだから、道も平坦じゃないだろうね。」
DM 「そういえば、話は”疫病の炸裂跡”に戻りますが、この名前の由来について熱心な議論の的になっています。
諸説ある中で有力な説としては、一柱の疫神が顕現した影響であるというものや、ごく普通の疫病が錬金術的実験の失敗によって大増幅したのだという説、マインドフレイヤーなどの敵が、この町に攻撃を仕掛けたのだという説。」
ウィンシー 「マインドフレイヤーは、アンダーダークでも共通の敵だからなぁ。」
バーン 「いやーな予感がするんだが、その緑のグズグズの奴が出てきたら、病気に気をつけなきゃいけないってことかな?」
DM 「”灰化病”は気をつけなきゃいけませんね。 何しろアンデットにまで効果を及ぼすような病気なんですから。」
ウィンシー 「えええ?!」
DM 「この病気は”接触型”及び”吸入型”で、頑健難易度14。 潜伏期間1ラウンド。 1ラウンドごとにセーブして行って、失敗すると耐久力が減ると。」
ウィンシー 「ゼロになったら?」
DM 「おめでとう! 君はプレイグロストだ。(笑)」
アレクセイ 「そんなに早く進行するわけ? これ?」
DM 「そういう事です。 いやらしいんですよ、これ。」
ウィンシー 「やばいなー。 デス・トラップだよね。」
バーン 「ガスマスクが必要なんじゃないか。(笑)」
グラム 「ところで、”跡を継ぐ者”というのは、この町の外からやってきた連中なのか?」
DM 「『この町の権力構造についての知識は、ある程度得ているようだな。
”跡を継ぐ者”に関しては、この町からドラウを追い出そうと企むデロ、グリムロック、クオトアその他の者たちの組織であるが、大半は町の外から来た連中だ。
この組織の首領は”青騎士”と呼ばれる謎の人物である。』」
グラム 「やはり。 構成が雑多だからな。」
DM 「まぁ、アンダーダークならどこにでもいるような種族ばかりですけどね。」
グラム 「外から来た連中が、急速に人数を増やそうと思えば雑多になるかと思ったんだ。」
ユーヌ 「”跡を継ぐ者”と言う事は、外から来た連中が、もともとこの町に持っていた権力を奪い返しに来たという…」
DM 「と、そんな主張をしていれば分かりやすいわけですが、そういった主張は聞かれず、この町を支配しようとしている事くらいしか分かっていないそうです。」
バーン 「”青騎士”だけに塔から降りて来たんじゃないか? 騎士って言うからには何か権威を持っているという事を、言外に物語っているからな。」
DM 「さて、他の2つの組織について。 まずは暗殺ギルド。
他の暗殺ギルドと違って、このペデスタルの暗殺ギルドは権力の空白に乗じて公然と町の支配権を握ろうとしている。
このギルドは強力かつ効率的な犯罪組織であり、数々の成功を収めてきた。
町の住人のうち、ギルドに所属していない者の中には、ギルドに保護してもらう代わりに金を払っている者が多数いる。
ギルドは”ダスクローン家”と手を結んで権力を確固たるものにしようとしている。」
ウィンシー 「”ダスクローン家”は、確かドラウの組織なんですよね。」
DM 「そうです。 そしてギルドに仕事を依頼する方法がありますけど、知りたいですか?」
ウィンシー 「駅前の伝言板に”XYZ”とか?」
ユーヌ 「同じこと考えたんだけど。(笑)」
バーン 「ごめん、俺も同じこと考えてた。(笑)」
グラム 「シティハンターとか?」
DM 「あれは、暗殺者じゃないでしょ。(笑)」
ユーヌ 「全然、闇に葬ってないからね。(笑)」
グラム 「で? できれば方法も知っておきたいんだけど。」
DM 「町の”髑髏通り”のギルドの郵便箱に依頼票を入れますと…」
ウィンシー・バーン 「妖怪ポスト!(笑)」
DM 「言われると思った(笑)。 誰でもギルドに依頼を出せます。」
グラム 「金はどうやって払うの?」
DM 「依頼は標的を明記し、依頼人との会合場所及び依頼人の連絡先を明記しなければならない。
ギルドがその相手なら殺しても問題ないと判断したならば、ギルドの代理人が依頼人と連絡をとり、報酬の半額を前金として貰い受けますが、前金は決して返済されません。
成功の暁には別の代理人が現われて、残りの報酬を受け取ることになっています。
暗殺が失敗したとしても契約は完了したとみなされるが、再度の依頼は可能。
暗殺者達は暗殺が成功したならば、頭部を破壊し、容易には相手の死体に魔法(復活など)をかけられないようにする。」
バーン 「ふーん…」
DM 「お値段の方はですね、基本料金が1回1000gpとなっております。(笑)
相手料金の力や、名望によって追加料金が発生します。
ゲーム的に言うと、標的のヒットダイス×300gp…」
ウィンシー 「じゃあ、私達の値段は2500gpか。(笑)」
アレクセイ 「意外と安いですね。 生き返らせるのに最低5000gpはかかるというのに。(笑)」
DM 「ちなみに、ペデスタルの住人の中には、これよりも高い金額を払って、暗殺者ギルドの『この人物の暗殺はお引き受けできませんリスト』に載せてもらっている人もいます。」
ウィンシー 「なるほど。」
DM 「と言うのが、この町の暗殺者ギルドの概要ですね。」
アレクセイ 「合理的なシステムですねー。」
ウィンシー 「まぁ、グッドのパーティだし、暗殺を依頼するような事はないと思うけどね。」
DM 「で、最後にダスクローン家です。 身分が低く”疫病の炸裂跡”から遠かったドラウ達や、疫病に生き残った者、あとになって勇敢にも戻ってきた者で1個の貴族の家を興し、これを”ダスクローン家”と名付けた。
この一派は”貴族の崖下”に邸宅を有しており、館は要塞化されている上に警備も厳重。
これを正面から攻めるのは自殺行為と言える。」
グラム 「わざわざ炸裂跡に近い所を選んで住んでいるわけか。」
ウィンシー 「そうよねー。」
グラム 「その範囲内によらなければ大丈夫なのか、彼らなら大丈夫なのか…」
DM 「近くに寄りすぎれば危ないと言うだけで、多少離れていれば大丈夫ですね。
で、ダスクローン家が貴族を称する上で必要不可欠な人物が一人います。
ペデスタルにただ一人残る、正統なロルスの女司祭、”エレッサルワ・ヌレドール”。」
グラム 「まぁ、ドラウは女系だとか聞いたことがあるからな。」
DM 「ペデスタルに残るドラウ達の間で、エレッサルワの地位はみるみる上がり、これに伴って彼女のロルスに対する信仰も強まった。
彼女は別段ダスクローン家の指導層の中で、最強の一人というわけではないが、家の者たちから尊敬を受け、大事な神輿役になっている。」
ウィンシー 「一目置かれている存在なんですね。」
DM 「そういう事ですね。」
グラム 「ロルスか。 確か蜘蛛の女神。」
DM 「ええ。 そしてダークエルフ(ドラウ)の神様ですね。」
ウィンシー 「ハイローニアスの天敵ね。」
アレクセイ 「そうそう。」
バーン 「そういえば、そいつらが喜びそうな彫像を前回手に入れたんだけど。」
ユーヌ 「これ、本当のロルスの司祭は失踪していて、今は別の人が司祭になり済ましているとか。
その証明になるのが、あの彫像だったらやだな。」
ウィンシー 「ロルス司祭の正統後継者の証とか?(笑)」
DM 「一応、あれはそこまで大層なものとは思えない造りです。(笑)」
ウィンシー 「これをアレクセイに持たせて潜入しようと思ったのに。(笑)」
アレクセイ 「そんな忌まわしいもの、触りたくもない。(笑)」
DM 「さて、この3勢力の他にならず者の一味など、有象無象の集団があります。
彼らの野心は大きいが、手持ちのリソースは小さい。
例として、ドラウを狙う”蜘蛛狩りし一味”、紛争のおこぼれにあずかろうと徘徊する、グリムロック達、ウィザードのヌーン率いる、ドゥエルガルの”ヌーン一家”などなど。」
グラム 「こいつらが3勢力についたり離れたりしているわけだ。」
DM 「ええ、ある時は手を組み、ある時は敵対し、離合集散を繰り返しているわけです。
エス・サーチはここまでを一通り言った後に、『この位が私が知っていることだ。 もっと情報を得たければ町へ出て自分の足で調べるしかないだろう。』と言っています。」
バーン 「で、俺たちに何をしろと?」
DM 「では、そろそろ仕事の話に入りましょうか。 まずは1つ目。
『ペデスタルの西、陰鬱湖の面にキノコでできた大きな島がある。 私の聞いたところでは、島は周りの空中に光を放ち、物を食らう危険な胞子を放っている。
胞子がおぼろげな青色の光を発しているのは、ここに来る途中、君達が見た通りと思う。』」
ウィンシー 「そうだったわね。」
DM 「『この胞子は肉の体を持つクリーチャーを、ゆっくりと食いつくして行く。 私の使う、アンデット達も例外ではない。』」
アレクセイ 「アンデットを使う?!」
ウィンシー 「言っちゃったよ、さらっと言っちゃったよ。(笑)」
DM 「『おや、気付いていなかったのかね? 給仕達はみんなアンデットだよ。』」
グラム 「やはりな。」
アレクセイ 「ここでターンとかかけたくなってきた。(笑) いや、我慢するけど。」
ウィンシー 「ハイローニアスだからねぇ。(笑)」
 
<エス・サーチの依頼>
DM 「『この土地、すなわち暗黒洞に住む者達は、そうでない者よりも、この胞子に弱いのだ。
私が求めるものを採取する為、ペデスタルの住人を島に送れば生きては帰ってこないだろうが、あなた方地上人ならば被害は最小限で済むはずだ。』」
ウィンシー 「なるほどね。」
DM 「なお、あの塔は”リカリオン島”と呼ばれているそうです。
『島に生えているキノコは、このペデスタルでは大層高く売れる。
というのも、このペデスタルに住んでいたドラウ達は疫病によって住処を追われ、権力の座からも追われてしまったが、このキノコの傘の部分が、この病に聞くのだ。』…早くいえば、特効薬ですね。」
バーン 「はーん、なるほどね。」
DM 「『まずはここから西、陰鬱湖の畔まで行き、航海に耐える舟を見つけるがよい。 数隻は残っている筈だ。
そして舟で島へ行くのだ。 目指すキノコを探すのは容易い。
それは色が黒く、ポツポツと赤い斑点が小さな手のような形になってついている。
見逃すことはないだろうが、見つけるには島の中央まで行く必要があるだろう。
これを、10本以上は持ってきて欲しい。』」
バーン 「ではサッと羊皮紙を取り出して、『こんな感じか?』と絵を描いてみせる。」
DM 「『おお、うまいではないか。 そんな感じだ。』」
グラム 「エス・サーチも術者としてのレベルは高いんだろうが、島には行けないんだろうな。」
ユーヌ 「できたとしても、自分が動く程度じゃないと思ってるんじゃないか?
行ないことはないが、ダメージを食らうのもバカバカしいから、下々の者を使えばいいじゃないか、と。」
グラム 「で、2つ目は?」
DM 「『ペデスタルの没落以後、混乱は今に至るまで続いている。
ドラウ達が逃げ出し、町に権力者が居なくなったことが私の得になった事は否定しない。
だが、当時この町が完全な混沌に陥いらずにすみ、今なおそうならずに済んでいることについては、私の努力も大きいと思っている。
町の殆どの物は、私が与えた良い影響を褒めたたえてくれる。
だが、人の感謝は長くは続かないものだし、私を排除しようとする者もいる。
(声を抑えて)暗殺者ギルドは、ダスクローン家と手を組むことにした。
だが、私の手の物にこれを妨害させたのでは、かえって同盟を強化する事になりかねない。
そこで、ある人物を殺害するか、排除してほしい。 ”エレッサルワ・ヌレドール”。
ダスクローン家の母長であり、狂気に冒された女だ。
私はエレッサルワの秘密の拷問部屋に通じる、隠された道を知っている。
彼女はその部屋で、ダスクローン家の勤めを離れ、ペデスタルの路上から連れてきた罪なき犠牲者に残忍な拷問を加えているのだ。
もし、彼女が死んだなら、ダスクローン家には暗殺者ギルドが動いたのだと思わせるよう、既に手筈は整えている。
事はその線で決着するだろう。』」
ユーヌ 「つまり、実行部隊の使い捨てをやれと。」
DM 「『私は君達が戻ってくることを期待しているよ。』」
ウィンシー 「これって成功しても、失敗してもこの町にいられなくなるんじゃ?(笑)」
グラム 「このエス・サーチが権力を維持すれば…」
ウィンシー 「口封じに殺されそうな気がする。(笑)」
DM 「『君達の安全は、私が保障しよう。』」
バーン 「ま、とりあえずキノコ採りだな。」
ユーヌ 「その前に聞いておきたいんだが、『ゴーレムを送り込むような事は今までにあったのかねぇ? 特効薬が採れるなら、富を求めてそれくらいはやる人が出てきそうなもんだが。』」
ウィンシー 「でも、9レベル呪文だよ? それだけあれば、何でもできそうな気がする。」
DM 「『残念ながら、私はゴーレムは作れないし、おそらくこの町にはゴーレムなぞ作れる人間はいないだろう。
少なくとも、私は知らない。 君達のように、たまに外から流れてくる者に依頼して採取するのが、今のところ唯一の方法だ。』」
バーン 「それは、たまに人間という餌を送りこまないと、キノコが繁殖しないという事も考えられるな。(笑)」
ウィンシー 「苗床ね。 失敗しても栄養になるからいいや、と。(笑)」
グラム 「どっちにしても、むこうは損しないわけだ。」
バーン 「そう、悪い事は一つもない。 まぁ、それはいいとしてだ。
10本以上手に入れた場合は、その分を買い取ってくれたりしないのかい?」
DM 「では、<交渉>を振ってください。」
バーン 「だから、<交渉>は苦手だというのに!(笑)」
DM 「そういう事を言うからですよ。(笑)」
バーン 「交渉はマイナス1か。 あ、20が出たから19だ。(笑)」
DM 「では、11個目から1個を超えるごとに50gp。 基本的にキノコの傘1つから、1服分の粉薬ができる。
この粉薬を服用すれば、1週間の間は灰化病に対する完全耐性を得ます。
また、同じく1週間の間は灰化病から回復するための<頑健>セーブにプラス6。
さらに、この粉薬は”プレイグロスト”に対して、まるで聖水であるかのように作用します。
この薬はペデスタルでは、1服100gpで売れます。」


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