ウィッシュベル・キャンペーン 第2話 【揺り籠の目覚め】

 

イファ 「どうしたの?」
ウィル 「い、いや…イタチにはちょっと嫌な思い出が。」
ルイ 「ふふふ、前回酷い目に遭いましたもんね。 うふうふ(笑)。」
ウィル 「変なもんに金を使うなよ〜!」
ルイ 「変とはなんですか。 イー君、やっておしまい!」
ウィル 「いや、分かった、俺が悪かった!」
イファ 「ダメねぇ(笑)。」
  
アウェイン村からの手紙
DM その晩、ステファン神父が君達を訪ねる。
ルイ 「やー、ステファン神父。 どうですか、一杯。」
ステファン 「いえ、私は。」
リサ 「なんだ、飲みに来たんじゃないのか。」
ウィル 「神父は酒場で酒なんて飲まないだろ。」
リサ 「じゃあ、何しに来たんだ?」
アイク 「なにか、いいづらい事があるんじゃないのか? 心当たりあるだろうに。」
リサ 「さーて?」
ステファン 「まずは、リサさんにお手紙が来ております。 これを。」
リサ 「ん?」
DM 「手紙はアウェイン村のサミュエル神父からのもので、内容を要約すると『使命が終ったのなら、油を売っていないでさっさと帰ってきなさい!』だ(笑)。」
←サミュエル神父
リサ 「ああ、怒ってるみたいだな。 例の件もあるし、そろそろかえろー…」
ルイ 「(遮って)嫌です!(笑) 帰ったらまた毎日修行しないといけなくなります。」
アイク 「しかし、間接的に来たか。 やるな、ステファン神父。」
DM 「それに、最近アウェイン村の周辺に”ゴブリン”と呼ばれる小妖魔が出没するようになったので…」
ルイ 「(遮って)お?ネタですか?! 行きましょう。帰りましょう!今すぐ帰りましょう!(笑)」
ウィル 「切り替えが早い早い(笑)。」
 
翌朝、ジョーと別れた一行はアウェイン村にむけて出発する。
 
町人達 「おたっしゃでー!」
リサ 「おい、見送りが出てるぞ?!」
アイク 「さぞ嬉しいんだろうよ(笑)。」
DM 「蛇巻き山脈の谷間を東に抜けて、懐かしいアウェイン村へ。 3日間の道中だけど一応隊列を確認しておこうか。」
ルイ 「はい、先頭はウィルとイファ。 真ん中はアイクと私で、後ろにリサとリサの馬です。 私は基本的に武器は装備しておきませんから。」
リサ 「俺は酒ビン持ってるけどな(笑)。」
ルイ 「あ、いいですね、それ(笑)。」
イファ 「いいのかなぁ(笑)。」
DM 「街道沿いなので旅は楽に進んでいきまーす。 一応おさらいをしておくと、君達が住んでいたアウェイン村はモンマルトル王国とルメロニア王国との国境緩衝地帯に位置していて、両国の情勢によって属する国が変わるという流動的な地帯なんだ。」
ウィル 「だと、前回はモンマルトル王国に属しているみたいな表現だったから、今はモンマルトル王国が強いんだ?」
DM 「そうだね。 モンマルトル王国はかなり安定している。 一方のルメロニアでは数年前に前国王が病死し、新しい王が即位したものの、税金を厳しくした為に国民の生活が荒れて、治安も悪くなりつつある。」
リサ 「うんうん、知ってた(笑)。」
ルイ 「何でもかんでも知っていることになっていますねぇ(笑)。」
DM 「おさらい終わり(笑)。 君達は街道の両側に広がる小麦畑を見ながら村へ向かっている。」
ウィル 「両側に広がる小麦畑ね。 このあたりは穀倉地帯だったのか。」
DM 「まぁ、国を支えるほどの収穫量では無いけれど、村の重要な収入源なんだよね。」
ウィル 「あ、国境緩衝地帯なんだから、国がアテにするほど開発するわけないか。」
DM 「そういうこと。 やがて日も暮れてキャンプをはることになる。 さすがにパーティを結成してから2ヶ月目ともなると、みんな役割分担をしてテキパキと仕事をするようになっている…よね?(笑)」
ウィル 「リサはアテにしていない(笑)。 でも俺はがんばるぞ。」
イファ 「レンジャーの人はこういうの得意そうだもんね。」
ウィル 「それもあるけど、イファちゃんから頼りになるヤツだと思われたいから(笑)。」
ルイ 「ちゃんと魂胆があるわけですね。」
ウィル 「もちろん真意は言わずに、頑張った分としてリサ達のワインを頂くんだ。」
リサ 「おー、飲め飲めー!」
イファ 「ルイさんもリサさんも飲みっぱなしのような。 もしかしてアル中?」
ルイ 「まさか。 酒が無ければ落ち着かないだけですよ。」
アイク 「手が震え出したら終りだな(笑)。」
ウィル 「それは、時間の問題と言う気がする(笑)。」
DM 「そんな会話をしながらキャンプして、寝て、夜が明けて、といった具合に旅が続いて3日目。 ようやく地平線の向こうにアウェイン村の家々の屋根が見えるようになった頃、皆さん”聞き耳”ロールをしてくださいな。 15以上の人は?」
ルイ 「私と、ウィルです。」
DM 「その二人は右手にある小さな丘の向こうから、かすかに男性の悲鳴らしき声を聞いた。」
ルイ 「(全員に)右手の丘の方から、なにか悲鳴のような声が聞こえましたよ?」
ウィル 「でも、オトコだよ。」
リサ 「やる気なさそうだなー。」
ルイ 「ちょっと、冒険になるかもしれないんですから、やる気を出してくださいよ! ともかく、行ってみましょう。」
ウィル 「へいへい。」
リサ 「俺も馬に乗って行ってみるぞ。」
 
村人の救出
DM 「丘を越えてから30ヤード程度行ったところで、さきほどの声の主らしき男が小柄で平べったい頭をした妖魔6体に囲まれている。 妖魔達は手に手にモーニングスター(トゲ付鉄球)を持ち、古びたレザーアーマーで武装している。」
ルイ 「これが、手紙にあったゴブリンですね。」
DM 「ゴブリンのうち、3体が前方にいて、こいつらが男を囲んでギャースギャースとわめいている。 ゴブリン語が分かるアイクとイファには、妖魔達は本気で襲っているというよりは、男をいじめて遊んでいる事が分かるよ。」
イファ 「いーけないんだ!」
ルイ 「男に見覚えはありますか?」
DM 「うん。 1話に登場した薬草師のマルティンという青年だ。」
ウィル 「あー、カレンちゃん(村長の娘)の彼氏ね。」
DM 「では、イニシアチブの順番にどうぞー!」
ウィル 「あー。俺からか。 (男に)ぅおーい、助かりたければ頑張って逃げろよー! と言いつつゴブリンに弓を放つ。 あーら、ハズレ。」
ルイ 「ちょっと、全然気合が入っていませんよ!(笑)」
アイク 「次は俺か。 同じくライトクロスボウでハズレだな。」
ウィル 「気合が足りないよ。(笑)」
アイク 「そのようだ。(笑)」
リサ 「馬で移動して、マルティンの近くに降りる!」
マルティン 「リサさん、いい所に! 助かった!(怪我した足を引き摺りながら、リサに駆け寄る)」
ルイ 「マルティンは怪我をして、移動距離が短いですか。 次はゴブリンですね。」
DM 「ゴブリン達はトゲ付鉄球を振り回しながら襲い掛かってくる。」
リサ 「実際に目の前で振り回されると恐そうな武器だ。」
DM 「当たると痛いよ〜。 リサにダメージ4ポイント。」
リサ 「あいてて。」
ルイ 「さーて、私は移動してから”スリープ”の呪文でも使いますか。」
 
ルイのスリープでゴブリン2体が強制的に眠らされ、一行に有利に戦闘が展開するが…
 
ルイ 「リサの目の前の敵にライトクロスボウで攻撃です。 あ、でも1を出して外れ!」
DM 「それって、リサに当たるかも(笑)。 リサ相手に命中判定ロールをどうぞ。」
ルイ 「18ですよ! 命中!(笑)」
リサ 「アホか、おまえはー!(一同笑)」
ルイ 「4ポイントのダメージです。 ごめん、リサ。 ちょっと酔っ払って手元がくるったみたい。(笑)」
リサ 「ルイ、今度から禁酒な、禁酒!」
ルイ 「そんなぁ〜。」
 
次のラウンドで無事にゴブリンを倒し、マルティンを救出することに成功する。
 
マルティン 「みなさん、ありがとうございました。 もう駄目かと。」
リサ 「いやいや、なんのなんの。 …さてと、背中から矢を抜いてと。 さぁ返すよ、ルイ(一同笑)。」
ルイ 「い、いえ、それは、その…。」
リサ 「一ヶ月くらい、おまえのオゴリね。」
ルイ 「それは、ちょっと…。」
リサ 「あー! いたかったー!(笑)」
ルイ 「わかりました、わかりましたよ、もう(笑)!」
DM 「さて、スリープから目覚めたゴブリンは、君達の方を怯えたように見ているよ。」
アイク 「ゴブリン語が分かるのは、俺とイファか。」
イファ 「さーて、どうしようかなぁ。」
アイク 「助かりたければ、どこから来たのか言え。」
ゴブリン 「ボスに頼まれて、このあたりを捜索していた。」
イファ 「捜索って、なにを?」
ゴブリン 「よく分からんが”樹”だ。」
ルイ 「特殊な樹なんですかねぇ。 特徴はないんですか?」
イファ 「と、ゴブリン語で通訳。」
ゴブリン 「(死亡したゴブリンを指差して)あいつが知っていた。」
リサ 「こいつは知らないんだ? じゃあ、サヨナラ。(スラリと剣を抜く)」
ゴブリン 「た、たすけてぇ〜! たすけて、ボスー!」
アイク 「お前のボスは、やはりゴブリンなのか?」
ゴブリン 「ニンゲンだ。 最近ボスになった。」
アイク 「ならば、命を助ける代わりに、そのボスとやらのところへ案内しろ。」
ゴブリン 「合流場所も、アイツ(死体)が…。」
イファ 「えーっ、しょうもなーい!(笑)」
アイク 「仕方ない。 ボスの外見は?」
ゴブリン 「ニンゲンで、ローブを纏っていて、陰気。」
ウィル 「そういえば、最初の質問に答えていないような。」
イファ 「どこから来た。 ってヤツ?」
ウィル 「そうそう。」
イファ 「それじゃ、改めて聞いてみます。」
ゴブリン 「オレは東から来た。 他の奴等はボスの手であちこちから集められたので、わからん。 俺達の他にも2グループくらいはいるが、そいつらも同じだ。」
リサ 「さーて、聞くだけ聞いたし。 サヨナラ。」
ゴブリン 「こ、殺すなよ? 殺すなよ?!」
ウィル 「じゃー、こいつは樹が好きみたいだから、そのあたりの樹にでも縛り付けておくか。」
ゴブリン 「ひでぇ!ひでぇよぅ!」
イファ 「ほら、恐いお兄さんにやられないうちに、行きなさい。」
DM 「ゴブリンは一目散に逃げていく。」
ウィル 「イファちゃんは優しいなぁ。」
ルイ 「それで、マルチンはこんな所でなにをしていたんです? 危ないじゃないですか。」
マルティン 「マルチンじゃなくてマルティンだぞ(笑)。 や、僕もゴブリンがうろついていることは知ってたんだけどね。 ずっと村から出ずにいたから、さすがに手持ちの薬草が心許なくなってさ。」
ルイ 「なるほど。 薬草はもう採れたんですか?」
マルティン 「ああ、この通り。(カゴの中身をルイに見せる)」
アイク 「俺には、どれもただの草にしか見えんな。」
ルイ 「ええと、これが解熱で、こっちが解毒ですねぇ。」
ウィル 「そういえば、ルイは薬草に詳しいんだったな。」
リサ 「この2人、村では仲良くしてたよなぁ。」
ルイ 「ええ、話が合うもので。」
リサ 「さーて、帰るか。 足を怪我しているマルチンは馬にのっけてやるよ。」
マルティン 「マルティン!(笑)」
リサ 「あー、そういえば、今のお礼に今日の夕飯はお前のオゴリね。」
アイク 「今のお礼か。 こっちから要求するものかね。」
ルイ 「なーに、助けられっぱなしじゃ、相手も気分が悪いでしょうからね。」
アイク 「そんなものか?(笑)」
マルティン 「いや、もちろん奢るよ。(笑) 一緒に酒場まで行こう。」
 
村への帰還
DM 「村に入ると、通りすがりの人々がリサやルイをみて『おい、あの神父さんのところの…最近見ないと思っていたら、どこかへ出かけていたのか。』とか『ナサニエルさんの所のも一緒だったみたいだぞ。』などと、ひそひそ話しをしている。(笑)」
ルイ 「ふふ、有名人です(笑)。」
イファ 「悪い意味の方だと思うけど?(笑)」
ルイ 「うっ…厳しいツッコミ。」
DM 「ひそひそ話しの中には、『マルティンも一緒だ。 怪我してるぞ。』とか『やっぱり、ゴブリンが…』と言うのも混じっている。」
ウィル 「ゴブリンの方は、大分深刻なことになっているみたいだな。」
アイク 「ああ。」
DM 「そんなこんなで、酒場についたよ。」
リサ 「おやじー、酒ー! マルティンのオゴリで!」
マスター 「なんだよ、久し振りに帰って来たのに、いきなりそれかよ(笑)。」
リサ 「いいじゃんいいじゃん。」
マスター 「で、オゴリだって?(マルティンが頷いたのを見て) わかった。」
リサ 「なににしようかな〜。」
DM 「リサが酒を物色していると、酒場の扉が勢いよく開いて女性が二人入ってくる。 村長の娘のカレンと、イファが厄介になっているパン屋のおかみさんだ。」
イファ 「あ、おかみさん、ただいまー!」
おかみ 「イファちゃん、お帰りなさい! ゴハンはちゃんと食べてた? 怪我はなかった? 危ないことはしなかっただろうね?」
イファ 「(気圧されて)う、うん。 危ないことはあったけど(笑)。」
ルイ 「冒険者ですからね(笑)。」
ウィル 「大丈夫ですよ、おかみさん。 イファちゃんには俺がついていますから!」
おかみ 「(ウィルを見て)ええと…どなたでしたっけ?(一同笑)」
リサ 「ウィル、影薄っ!(笑)」
ウィル 「そういえば、こっちに来てからあまり滞在してなかったからな(笑)。 (おかみに)そういえば自己紹介がまだでしたね。 私の名前はウィルブックと申します。 どうぞよろしく。マダム。」
リサ 「(小声で)なにをおかみさんまで狙ってんだよ!(笑)」
ウィル 「(小声で)将を射るにはなんとやらってね!」
おかみ 「ま、まぁ、とにかく一緒に夕飯でも。」
ウィル 「本当ですか? うわー、楽しみだなぁ。 ふふふ。イファちゃんと一緒にゴハン♪ そんじゃ、皆、またなー!」
イファ 「(さっさと出ていってしまったウィルとおかみを見て)あ、ららら?(汗) (皆に)じゃ、パン屋にいるから。」
リサ 「行っちまったよ。」
ルイ 「いいじゃないですか。 3人で飲みましょうよ。」
アイク 「3人? マルティンはどうなるんだ?」
ルイ 「ほら、マルチンはカレンが来てますから。」
DM 「そうそう。 カレンはマルティンが怪我をして帰ったという噂を聞いて駆けつけたんだよね。 しきりにマルティンの怪我を心配しつつ、肩を貸して一緒に帰ろうとしている所だ。」
ウィル 「(振り向いて)いいなぁ…。」
イファ 「いい恋人同士じゃない。(笑)」
DM 「マルティンとカレンは君達にもう一度礼を述べて、宿を後にする。」
ルイ 「オゴリが成立してますし、別に行ってもいいですよ〜。」
リサ 「そうそう。」
アイク 「怪我の心配はいいのか?」
リサ 「別に、死ぬような怪我でもないだろ。」
アイク 「ま、それもそうか。」
ルイ 「そういえば、リサは呼び出されてたんじゃなかったでしたっけ?」
リサ 「まぁ…まずはビールだろ(笑)。」
ルイ 「ふふふ、そうですね(笑)。」
マスター 「早目に神父さんの所に行くんだぞ。 まぁ、無事に帰って来てよかったがな。 ゴクツブシでもいなければいないで淋しいもんだ。」
リサ 「お、嬉しいこと言ってくれるねぇ。」
ルイ 「ちょっぴり成長して帰って来たわけですよ。」
マスター 「ほう、じゃあ成長したところで、ツケの方も払ってくれるのかな?(笑)」
ルイ 「げげ、ヤブヘビになってしまいました。 えーと、いくら残っているんでしたっけ?」
DM 「2人合わせて18GPだね。 さっきの計算で行くと、普通の人の3ヶ月分の生活費(笑)。」
ルイ 「じゃあ、1人9GPずつで…」
リサ 「あー、背中が痛いなー。 ルイ。(笑)」
ルイ 「わかった、わかりましたよ! 私が払います。」
マスター 「へぇ、こんなに金払いがよくなるんなら、たまに旅に出るのもいいのかもしれないなぁ。」
ルイ 「そうでしょう? ナサニエル師匠にもそのセリフを是非言ってくださいよ。」
DM 「と、その時、酒場の扉がまたしても勢いよく開き、聞きなれた『リサさん!』という声が。(笑)」
アイク 「もう噂を聞きつけてきたみたいだな。」
リサ 「こ、こう…マントを羽織って…。」
ルイ 「無駄じゃないですか?」
DM 「正確な足取りで神父さんは君の方に近づいてくるよ(笑)。」
リサ 「(観念して)や、今帰って来た所でして…。」
サミュエル 「その、手に持っているジョッキは何です?(一同笑)」


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ちびイファ