ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第12章 【秘宝−熱砂の世界2−】

 

2日後、一行は廃虚となった町を発見する。
 
DM 「君達の行く手に、おそらく水が枯れた為にうち捨てられたのであろう、町の廃虚がある。」
エフェ 「(アイリーンに)こういう事って、よくあるの?」
アイリーン 「ええ、よくある…というわけではありませんが、何らかの原因で水脈が変わってしまった場合、人々は水を出る場所を求めて町を離れていきます。」
エフェ 「その、廃虚か。」
DM 「廃虚の中には井戸も見えるよ。」
ルイ 「ふむ。 ちょっと覗き込んでみましょうか。」
DM 「井戸はすっかり干上がってしまっている。 底の方にも砂がたまっていて、ここが放棄されてからかなりの年月が経っていることを物語っている。 井戸を構成していた煉瓦の壁も、底の方の一部は崩れて、ぽっかりと穴になっているようだね。」
ルイ 「え? 穴ですか? 土とか砂が井戸に入りこんできているんじゃなくて。」
DM 「穴だね。 ここで全員1D6してみて。 (出目を見て)フェイグランス以外の全員は、中に入らなければならない様な気がしてきた。 あの穴の中に何かがあるような気がする。」
ジョン 「ねー、入ってみない?」
エフェ 「そうよね、そうよね。」
フェイグランス 「えー、ただの穴じゃん。 そもそも人は入れるの?」
DM 「入れそうだね。 井戸の入り口も、中に開いた穴も。 アイリーンとシオンも『入って、調査するべきだ。』と言っている。」
エフェ 「嫌なら、1人で待ってたら?」
DM 「ここで、フェイグランス以外は呪文のセーヴィングスローを。(出目を見て)ジョンとイーグルのレベルは11か。 ではジョンは逆に入ってはならないような気がしてきた。」
ジョン 「やっぱり、俺も外で待っていよう。 なんかイヤーな予感がするんだが。」
ルイ 「こっちは、すっかりそのつもりになっていますので、行きますね。」
エフェ 「そうそう。 キャラがそうだから仕方ない〜。」
イーグル 「わけわかんねーけど、入りてぇ〜!(笑)」
エフェ 「んじゃ、ジョンとフェイグランスは外で見張りね。 私達は中を探ってくるから。」
ルイ 「大体井戸に横穴なんて意味深です。」
フェイグランス 「早く帰ってきてね〜。」
 
井戸の中に入ったプレイヤーは部屋の外に出、ジョンとフェイグランスのみが残る。
 
ジョン 「この井戸が罠だって可能性はないかな?」
フェイグランス 「あると思うけど、仕掛けておくには不確実だよなぁ。 長時間、場所に対してかけておくタイプで相手の思考をコントロールする呪文なんてあったかな。」
ジョン 「まぁ、こうなったらのんびり待ってようぜ〜。 ちょちょちょーっと砂を集めて山を作ってと。 てっぺんに棒を立てる。」
フェイグランス 「下から砂をかきとって、棒を倒した方の負けか(笑)。」
ジョン 「そういうこと♪ まずは俺から。 ごっそーり。」
フェイグランス 「うぁ、次きびしーなー!」
ジルワン 「楽しそうだな、夢狩人。」
フェイグランス 「悪いけど、今集中してんだから邪魔しないでくれよ。 …って、えええ?!」
DM 「気がつくと、何時の間にか君達からそれほど離れていない場所に”炎の槍のタルシス”と”鋼の腕のジルワン”が立っている。」
フェイグランス 「来るなら、気配くらいさせてこいよ。」
ジルワン 「テレポートで来たんだから、そんな器用な事できるか。」
ジョン 「で、俺達に何の用だ? 砂遊びに混ぜて欲しいんだったら、お断りだぞ。」
ジルワン 「嫌われたもんだな。 だが心配するな。 俺達はお前達を殺しに来ただけだ。」
ジョン 「この井戸は、やはり罠か。」
ジルワン 「ああ。 全員引っかかってくれれば楽だったんだがな。 だがお前達2人で俺達を止められるかな?」
ジョン 「やってみなくちゃ、わからないだろう?」
DM 「イニシアチブだ。」
 
炎の槍を操る戦士タルシスと、スクロールを使用した魔術を使う盗賊ジルワン。
彼等の危機を知らせるべく、井戸の中に呼びかけようとしたジョン達の目論見は、
先制されて井戸の入り口への「サイレンス(沈黙)」で阻まれてしまう。
そしてタルシスはジョン、ジルワンはフェイグランスと対峙する。
 
ジョン 「アベンジャー(復讐者)か。 相手にとって不足はない。」
タルシス 「パラディン(聖騎士)とはいえ、まだ成りたてのお前には負けんよ。」
フェイグランス 「なぁなぁ、その次々使い捨てにするスクロールって誰かから貰ってるの? 俺にもくれよ。」
ジルワン 「やるか、アホ(笑)。」
 
5ラウンド後。 本来であれば、パーティ全員が揃ってはじめて対抗できる相手ではあるが、ジョン、フェイグランスが善戦する。
 
ジョン 「命中、9ポイント!」
フェイグランス 「こっちもだ。 7ポイント。」
DM 「結構、与えてくるな。 ジルワンが2人に”ホールドパーソン(対人金縛り)”。」
ジョン 「セーヴィング成功!」
フェイグランス 「こっちも成功!」
DM 「タルシスの槍はジョンに命中して、9ポイントね。」
ジョン 「この槍が炎に包まれると、ダメージがデカイんだよな〜。」
DM 「今日はまだ炎が出ていないけどね。」
 
2ラウンド後
 
DM 「相手を代えて、ジルワンがジョンにダークネス。」
ジョン 「セーヴィング…今度も成功!」
DM 「やるなぁ。 タルシスは槍に炎を灯してフェイグランスに攻撃。 ミラーイメージが1コ消えるだけか。」
フェイグランス 「ふふん。 こっちの攻撃は7ポイントだ!」
ジョン 「こっちは8ポイント! このまま2人でコイツらを倒しちまおうぜ〜!」
タルシス 「ちっ。」
 
しかし、3ラウンド後
 
DM 「ジルワン、これが最後の”ホールドパーソン”だ。 2人に。」
ジョン 「げっ、最後でかかっちまった。 すまーん。」
フェイグランス 「ディスペルとかできないからな〜。 俺は。」
タルシス 「さぁ、あとはお前1人だぞ。」
フェイグランス 「1人で充分さ。」
 
しかしフェイグランスの強がりも空しく、あっという間に体力を削られて行く。
 
フェイグランス 「まだまだ。 タルシスに6ポイント。」
DM 「ほい。 ではタルシスの反撃で”ミラーイメージ”が2つ消えて、これで全部だね。 それからジルワンはジョンに近づいて、動けないジョンの腹に剣を突き刺す。」
ジョン 「ぐふー!!」
DM 「さらに利き腕の右の拳を潰して、後頭部を殴って気絶させた。」
ジョン 「うぐっ。」
フェイグランス 「うはー。 次はこっちから。 またまた”ミラーイメージ”で2体出現。」
DM 「はい。 ジルワンは”ヘイスト(高速化)”による2回攻撃で2体を消し去り、タルシスの炎の槍が直撃。 15ポイントだけど、生きてる?」
フェイグランス 「辛うじてね。 これはマズイな。 ここは死んだフリでもしよう。」
DM 「はーい。 ではタルシスが『てこずらせたな。』と言っている。」
フェイグランス 「本当は倒したかったんだけどなぁ。」
タルシス 「(ジルワンに)中の奴等を始末しておけよ。」
ジルワン 「ああ。 分かっている。(スクロールを取り出す)」
タルシス 「しかしセレニカの”意識操作”の術はなかなか上手くいったな。 そんな術があるとは知らなかった。」
ジルワン 「あいつは”魅せられし者が為の紅玉”を持っているからな。 1つはセレニカが、もう1つはパール様の元に。 これで俺達の側には3つのうちの2つが揃っている事になるわけだ。」
タルシス 「問題はもう1つだが…。」
ジルワン 「まぁ、それはいい。 それよりもこの2人を連れて帰るとしよう。」
タルシス 「このエルフは放っておいてもよかろう。 問題は、この”剣の騎士(ジョンの事)”だ。」
ジルワン 「そうだな。(井戸の中にむかってファイヤーボールを撃ち込む。)」
フェイグランス 「うわぁ。」
DM 「井戸が崩れて、大量の土砂が流れ込んで行く。 タルシスとジルワンはジョンをかついで消えてしまった。」
ジョン 「がーん。」
DM 「フェイグランスは土砂が流れ込む前に短い言葉なら言う事ができるけど、まだ入り口にサイレンスがかかっているから、向こうに聞こえないか。」
フェイグランス 「みんなの幸運を祈る(苦笑)。」
DM 「ほーい、それでは交代と行きましょうか。」
 
2人に代わって、エフェ、ルイ、イーグルが入ってくる。
 
DM 「横穴は約30フィート(約9m)くらいの深さのところにある。 ここに暗い通路がぽっかりと穴を空けているよ。」
エフェ 「それじゃあ、ランタンを灯して入ってみましょうか。」
DM 「はい、砂岩質の岩をくりぬいたような通路が続く。 最初は背の高さギリギリくらいだったんだけれど、次第に10フィート(約3m)くらいの高さになってくるよ。」
ルイ 「これは、本格的な通路ですね。」
イーグル 「ああ。 でも、何の目的で?」
ルイ 「分かりません。」
DM 「やがて分かれ道にでる。 直進と斜め右と、右と斜め右後方、左と、その左の通路を3フィート行ったところですぐに前方と斜め前方。 それらの道も更に分岐している感じだ。」
イーグル 「なんつー複雑さだ。 メンドクセー作りだな。」
ルイ 「本当に、なんなんでしょうね。」
DM 「ここまで来た時、突然後ろの方で爆発音が響き、猛烈な勢いで天井が崩れてくる。」
エフェ 「ま、まっずーい!」
イーグル 「通路を戻る事はできそうか?」
DM 「いや、入り口の方から次々に崩れてくるから、戻ればあっという間に生き埋めだね。」
イーグル 「これは、とにかく進むしかない!」
DM 「全員、知力のチェックをどうぞ〜。」
ルイ 「私と、イーグルが成功です。」
DM 「2人はさらに1D6を。」
イーグル 「6だ。」
ルイ 「1です。」
DM 「ではルイは、全体的に崩落してくる洞窟の中で、斜め前方の部屋だけが崩れていない事に気づいた。」
ルイ 「みなさん、こっちです、こっち!」
イーグル 「ああ、考えている暇はないぞっ!」
エフェ 「シオンさんもアイリーンも、はやく〜!」
シオン 「分かった!(アイリーンの手を引いて部屋へと駆け込む。)」
DM 「やがて、洞窟はすっかり崩落し、君達が入って来た通路も砂に埋まった。 通路から部屋の中へ砂が入りこんできているが、この部屋自体は無事だね。」
ルイ 「またもや生き埋め状態ですが、なんとか助かりましたね。 外の2人が生きていればなんとかなるでしょう。」
イーグル 「ええと、この世界に爆薬とかはないよな?」
DM 「無いね。」
イーグル 「なら、さっきの爆発はファイヤーボールか何かの魔法だろ? 多分外の二人はやられちまったんじゃないのかな。」
エフェ 「そうよねー。」
ルイ 「水と食料は何とかなります。」
エフェ 「明りも。」
イーグル 「あとは空気か。」
DM 「と、いった危機的状況で、次回に続く。」
エフェ 「えーっ!」
DM 「次回をお楽しみに〜!」
イーグル・ルイ・エフェ 「ぱちぱちぱち(拍手)。」
ジョン 「ん、もう終ったのか?」
DM 「終ったよ。 次回に続く〜。」
ジョン 「うわ、次回が気になる展開(笑)。」
エフェ 「お互いどうなったか気になる展開ね(笑)。」
DM 「まぁ、プレイヤー同士で情報交換しておいていいからね(笑)。」
ジョン 「あーい。 おつかれー。」
一同 「ぱちぱちぱち(拍手)。」
 
ムーンエンド・キャンペーン
第二部 第12章・完


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