ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第12章 【秘宝−熱砂の世界2−】

 

ジョン 「痛ってぇ〜。」
DM 「それでも、扉には鳳凰をかたどった紋章が現われたよ。」
エフェ 「やっぱり、アイリーンさんじゃなきゃ駄目なのかしら?」
ルイ 「一応、扉に”ディスペルマジック(魔法解除)”でもかけてみましょうか。」
DM 「ほい。」
ルイ 「で、今度は私がペンダントを受け取って開けてみます。」
DM 「扉が壁に固定されているかのように開かないけどね。 電撃は流れなくなっている。」
ルイ 「よしと。 これならばアイリーンさんに触ってもらっても大丈夫そうです。 …鍵穴とかはないんですよね?」
DM 「ないね。」
ルイ 「では、お願いします。」
アイリーン 「分かりました。」
 
アイリーンが扉に触れると、「13,16,17,5,13,22,10,20,7,7,」といった数字が扉に浮かび上がる。
 
ジョン 「謎かけか。」
エフェ 「アルファベット…でもなさそうね。」
ルイ 「最後の2は何でしょう?」
DM 「ああ、四角の中に2という数字が入っているものが書かれていると思ってくれ。」
ルイ 「これって、もしかして階差数列とかですか〜?」
フェイグランス 「うわ、面倒くさそう。」
 
5分、10分と時間が過ぎ…
 
DM 「(のんびりとお菓子をほお張りながら)わかったかーい?」
ジョン 「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
エフェ 「あれ、もしかして…」
 
出題から15分後。
 
エフェ 「扉にノックを3回!」
DM 「OK! 扉は勢いよく内側に向かって開いた。」
フェイグランス 「やー、スゴイスゴイ!」
エフェ 「うふふ、まーかせて♪」
DM 「中は50フィート四方の部屋になっていて、四方に配された円柱状の柱が天井を支えている。 奥の壁にはレバーが一本設置されている。 それから、この部屋の中は暑すぎず寒すぎず、ちょうどいい気温になっているね。」
ルイ 「もしかして、冷暖房完備の部屋なんですか? ここ。 スゴイです。」
フェイグランス 「住んだら快適そうだね。」
DM 「そうそう、快適だからなのか、番人なのか、身長が10フィート(約3m)もあるアルマジロのような体つきのモンスターが3匹たむろしている。 その体からは2本の触覚が伸びていたりするわけだ。」
ルイ 「もしかして、ラスト・モンスターですかっ?!」
DM 「そのとおりー!」
イーグル 「なんだよ、それ?」
ルイ 「ラスト(錆)を操るモンスターと言うか。 普通の金属剣や鎧だったら、あっという間に錆びてボロボロにされてしまいます。 魔法の武器でも、その性能を徐々に落してくれて、最後に錆にしてくれますよ〜。」
イーグル 「うわぁ、厄介だ!」
ルイ 「その分、ダメージとかはあまり与えてこないですけどね。」
フェイグランス 「遠距離でやろう。 エフェ、頼むよ。」
エフェ 「はいはいっ。」
 
戦闘開始と同時にエフェのファイヤーボールが飛ぶ。
特殊な能力を持つものの、耐久力は決して高くないラストモンスターは2体がこれで死亡。
ルイはディゾルブの呪文で相手の足元をぬかるみに変えようとするものの、床の部分に魔法がかかっているらしく、呪文は不発に終る。
フェイグランスはミラーイメージ(分身)をかけて直接攻撃を回避しつつ攻撃。
イーグル、ジョンは飛び道具でバックアップ。
約3ラウンドの戦闘でラスト・モンスターをすべて倒す事に成功する。
 
イーグル 「ええと、ダメージを食らっている奴は…いないのか。」
フェイグランス 「慎重に戦ったからね。」
ルイ 「装備もやられなくて何よりです。」
エフェ 「で、レバーだけど。」
DM 「マリュータが素早く調べて、『罠はないようだが…』と言っている。」
エフェ 「あ、マリュータがやる気だと助かるわ。 でも保留付きなの?」
マリュータ 「ああ、さっきのモンスターのせいか、錆び付いていて動かないんだ。(小道具の中から油を取り出して、可動部に塗って)これで少しは動きやすくなるかもしれないが。」
ジョン 「よし。 ここは力押しだな!」
イーグル 「OK。 いくぞ。」
ジョン 「せーの!!」
DM 「ジョンの筋力が14で、イーグルが15か。 まだ動かない。」
ジョン 「フェイグランスも手伝え〜!」
フェイグランス 「あいよ。 俺の筋力は13だよ。」
DM 「全員筋力チェック。」
ジョン 「(イーグルとフェイグランスの出目を見た後、ダイスを振って)…全員成功!」
ルイ 「おー!」
DM 「いいね。 ギシギシと音をたてながらレバーを動かすと、床の一部に円形の穴が開き、ゆっくりと台座がせり上がってくる。 その台座の上には高さ7フィート(約210cm)長さ12フィート(約360cm)幅5フィート(約150cm)の卵が載せられている。」
イーグル 「秘宝って、卵だったのか〜。」
フェイグランス 「何人分のオムレツができるだろう。」
ルイ 「やってみましょうか。」
アイリーン 「ま、待って下さい!(汗)」
ルイ 「ご心配なく、冗談ですよ。(笑)」
エフェ 「これを割ると秘宝が入っているんじゃないの?」
ルイ 「食玩入りのチョコエッグみたいなものですか?」
エフェ 「そうそう♪」
フェイグランス 「ますます旨そうだ(笑)。」
アイリーン 「(卵が乗った台座の前に立ちはだかって)こ、この秘宝が別の形態になった時、砂漠に平和が…!」
ジョン 「アイリーンさんがドモってるぞ。 お前らいじめ過ぎ(笑)。」
イーグル 「別の形態ってことは、やっぱりこの卵から何か孵るんだろうな〜。」
ルイ 「卵と言えば鳥とか爬虫類ですよね。」
エフェ 「鳥か〜。 でも、孵るまで温めるわけ?これ。」
フェイグランス 「その間に、襲撃されて壊されそうだ。」
マリュータ 「(突如、後ろを振り向いて)誰だっ!?」
ジョン 「どうした?」
DM 「振り向くと、2人の人影がこの部屋を出て行くところが見える。」
ジョン 「追う!」
DM 「向こうは軽装だからね。 走って追いつくのは難しそうだ。」
フェイグランス 「ディメンジョンドア(短距離瞬間移動)で!」
DM 「はい、二人の前に回りこんだ。 洞窟の外から差し込む光で2人の姿を見る事が出来る。 漆黒の肌に真っ赤な目が印象的な”影の民”だ。」
フェイグランス 「悪いけど、このまま帰すわけにはいかないんだなぁ。」
DM 「では、イニシアチブで解決しましょうか。」
 
”影の民”には魔法を使いこなす者もいる。
1人は倒したものの、もう1人はディメンジョンドアの呪文で脱出してしまう。
 
フェイグランス 「やられたな。」
ルイ 「これは、連中の襲撃隊がきますよ。」
イーグル 「これ(秘宝)、持って逃げたいけど、重そうだよなぁ。」
エフェ 「敵に渡すくらいなら、いっそ!」
アイリーン 「待って、待って下さいってば! 少し時間はかかりますが、持ち運びができるくらいに小さくする事は可能です! そういった呪文があるんです〜!!」
ジョン 「だから、いじめるなっつーの(笑)。」
ルイ 「そんな呪文ありましたっけ?」
アイリーン 「一族に伝わる秘伝です。 呪文の詠唱が必要になりますので、少し時間がかかりますが。」
ジョン 「それって、どの位かかるの?」
アイリーン 「今から始めれば、夜には。」
ルイ 「じゃあ、早速かかって下さい。 我々も迎撃の用意くらいはしておきましょう。」
イーグル 「そうだな。」
 
一行は夕方までの間に岩棚に大き目の岩を多数用意し、秘宝の部屋にはマリュータとアイリーンを残して魔法の鍵をかける。
 
ジョン 「俺達は岩棚を守ると。 これで、簡単には中に入れないな。」
イーグル 「ああ、敵が登ってきたら(岩を示して)コイツで人工メテオストライクをくれてやる(笑)。」
ジョン 「飛んできたら?」
イーグル 「撃ち落とすしかないんじゃないか?」
エフェ 「でも、まぁ、守るのには有利な地形だわよね。」
 
薄闇があたりを支配する頃、岩棚の周辺に続々と人影が現われる。
見えるだけでも地上に20名。 空中に5名。
 
ジョン 「やってやるー!!」
DM 「戦闘を開始しまーす。」
 
ルイは用意しておいた枝を16体の蛇に変え、襲撃に備える。
ジョン、イーグルはよじ登ってくる影の民に岩を落して応戦。
命中度は今一つだが、相手の足止めにも役立っている模様。
エフェ、フェイグランスは空中の相手に魔法を放つも、倒すにいたらず。
 
エフェ 「全員があたしのファイヤーボールに耐えるとは、さすがに強敵が出てきたみたいね。」
DM 「ああ、存分に戦闘を楽しんでくれ(笑)。 こちらの空中の敵からファイヤーボールだ!」
 
敵側のファイヤーボールにより、ルイの作り出した蛇が全滅。
ジョン、ルイ、エフェが手傷を負う。
 
ルイ 「ううっ、私の蛇子ちゃんとウワバ美ちゃんが〜!」
イーグル 「只の枝だったんだろーに(笑)。」
DM 「空中にいた5人のうち、3人が岩棚に降りたつ。」
ジョン 「コイツらは、俺に任せろ!」
 
岩棚の上に敵が降り立った事で、戦いは混戦模様となる。
更に地上から登坂してくるグループが”クライミング・ロープ(自動で登るロープ)”を使用したことで、幾人かが岩棚の上に登り切る事に成功。
加えて5人が洞窟の入り口そばにワープアウトし、奥を目指そうとうかがう。
 
フェイグランス 「数の暴力だなや。」
イーグル 「まかしとけ、洞窟の入り口に”バリアー(打撃による障壁)”の呪文をかけて通れなくしてやる!」
DM 「”バリアー”って通ろうとするとダメージを食らうんだっけ?」
イーグル 「ああ、最大72ポイントだったかな?」
 
一進一退の攻防を繰り広げていた一行の耳に、洞窟の奥からマリュータの声が響く。
 
マリュータ 「こっちにも敵が出たぞー!」
ルイ 「なんと。 どうやって入ったのでしょう?」
エフェ 「”ディメンジョンドア”や”テレポート”なら、自分の知っている場所にしか行けない筈だから、呪文で壁に穴でも空けたのかしら?」
イーグル 「入り口にバリアかけちまったよ。」
フェイグランス 「んじゃ、ここは任せたっ! ”ディメンジョンドア”でマリュータのところに行く。」
イーグル 「地上から登ってくる奴の中でも、岩棚に近い方4人に”ホールドパーソン(対人金縛り)”だ。」
DM 「3人が金縛りになって落下していく。 この高さだから助からないね。 フェイグランスの方は、”パスウォール(壁に穴を空ける)”で進入してきた5人組みと対峙する事になる。 1人以外はみんな同じような格好をしており、服装が違う1人がこの襲撃隊のリーダー格のようだ。 部下の4人のうち1人はずば抜けて背が大きく、筋骨隆々だ。」
フェイグランス 「卵はまだ?」
DM 「まだ元の大きさのままだね。」
 
戦闘は続き、岩棚側では敵の半分近くを倒したものの、ジョンが金縛り、エフェは”ウェブ(魔法の網)”でからめ取られ、イーグルも”コンフュージョン(混乱)”させられてしまう。
 
ルイ 「動けるのは私だけですか〜。」
DM 「更に崖の上に5人の影の民が姿を現す。 こちらも1人が大男だ。」
ルイ 「厄介です。」
 
洞窟内部の戦いでは、辛うじてフェイグランスとマリュータが持ちこたえる。
 
フェイグランス 「あとは、リーダーと大男か。 残りの体力が7ってのはキツイかな。」
マリュータ 「でかいのは俺がやる。 お前はリーダーをやれ。」
フェイグランス 「あいよっ!」
DM 「外の方は、合計35いた影の民が、15まで減らされているわけだ。」
ルイ 「こっちも1人ですがね(笑)。 そこで”ディスペル・マジック(魔法解除)”です。 まずはイーグルを。」
イーグル 「悪いな。 俺も2人を回復するぞ。」
 
復帰したイーグルがエフェを行動可能にするものの…
 
DM 「ファイヤーボールをくらえっ!」
イーグル 「うあ、下手すれば死ぬぞ。」
DM 「35ポイントね。」
エフェ 「あ、あぶなーい。」
DM 「それからエフェに”ダークネス(視界を遮る)”。」
エフェ 「あ、かかったー。 真っ暗だ〜。」
ルイ 「もう回復呪文はありません。 がんばって下さい。」
 
戦いは更に3ラウンド続くものの、動けるようになったジョンが着実に相手を切り伏せる。
 
ジョン 「そこの大男、覚悟! ”スマッシュ(強打)”で24ポイントだ。 どうだ!」
DM 「『グァッ! 瀕死の男に…まさか…。』と言って男は息絶える。」
ジョン 「瀕死は余計だ。」
ルイ 「飛んでくる相手に向かって”コントロールウィンズ(風を操る)”で暴風を起こします。 簡単には着地できないでしょう。」
 
一方、洞窟の内部では
 
マリュータ 「(無言で攻撃を繰り出し、巨漢の男を倒す。)…よし。」
フェイグランス 「止めのマジックミサイル〜! 14ポイント。」
DM 「まだ持ちこたえている。 今度はこちらがフェイグランスに3本のマジックミサイルが飛ぶ。」
フェイグランス 「”マジックシールド(魔法の盾)”で…防御、防御、防御!」
DM 「全部止めたか。」
フェイグランス 「もう、一発でも当たったら死ぬからね(笑)。」
 
こうして、一行はかなりの傷を負いつつも、1人の死者も出す事なく敵を撃退する事に成功する。
 
エフェ 「今回はマズかったわぁ。」
イーグル 「下の方に落下して死んだ奴等の死体が沢山…。」
ルイ 「あまりいい光景ではありませんネ。」
ジョン 「そういえば、俺達が乗ってきたラクダは下につないでたんだよな?」
DM 「うん。 殺されてはいないようだけど、連れ去れれたのか放されたのか、その姿が見えない。」
ジョン 「がーん。 高かったのに〜。」
フェイグランス 「(洞窟の奥から出てきて)やー、まいったまいった。 危うくやられるかと思ったよ。」
ジョン 「おう、お疲れ〜。」
エフェ 「秘宝はちゃんと守ったでしょうね?」
フェイグランス 「うん。 このとおり。」
DM 「アイリーンが、手のひらに収まるほど小さくなった卵を君達に見せる。」
ルイ 「ほっとしました。」
フェイグランス 「で、回復とかして欲しいんだけど。」
イーグル 「悪いけど回復呪文は使いきっちまった。 あとでな。」
ジョン 「んじゃ一旦休んで、少し回復してから出発するか。」
ルイ 「そうですね。 警備だけはしっかりしておきましょう。」
 
翌朝、完全とはいかないものの、体力を回復させた一行は帰途につく。
 
エフェ 「このまま無事に帰りたいわよね〜。」
イーグル 「せめて、今日だけは敵に遭いたくないな。 なんたって軍隊と戦ったようなものだからよー。」
DM 「しかし、そうは行かないんだな(笑)。 君達が拓けた場所を歩いていると、10名の影の民とゆったりとしたローブを羽織った、盲目の男が前に立ち塞がる。」
フェイグランス 「それって、”盲目の魔術師”セレニカ?」
DM 「そういう事。」
セレニカ 「(口元に皮肉っぽい笑みを浮かべて) あれだけの襲撃隊を送り込んで失敗とは、おかしいと思っていましたが…なるほど。 あなた達が絡んでいたのですか。」
ジョン 「悪いけど、あんたのお仲間は全員崖の下だぜ。」
セレニカ 「仕方が無いですね。 私としては折角蘇らせた”影の民”なのですから、あまりいい気分ではありませんが。」
ジョン 「そうか、影の民を蘇らせたのはお前か。」
セレニカ 「いかにも。 さて、あなたがたは秘宝を持っていますね? それをよこしなさい。」
ジョン 「嫌だと言ったら?」
セレニカ 「死んで頂きます。」
ジョン 「渡したら?」
セレニカ 「苦しまずに死ねるようにして差し上げましょう。」
エフェ 「なんだ、結局殺すつもりなんじゃないの。」
セレニカ 「あなたがたを生かしておくと、なにかと目障りですからね。」
ジョン 「そんじゃー仕方ない。 やるかー。」
イーグル 「まったく、わけわかんねーな。 やるしかないか。」
 
しかし、第一ラウンドで…
 
DM 「セレニカの”ムーブアース(地震)”で岩の地面に亀裂が走る。 君達は地割れの底に落下するけど、何かする事はある?」
フェイグランス 「アイリーンも一緒に落ちたの?」


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