ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第10章 【炎の丘の小人と魔剣】

 

ジョン 「うしろから、水の入った袋をなげるぞー! うりゃ、命中!」
DM 「君達が水筒代わりにつかっている水袋の水の量では、あっという間に蒸発してしまってダメージは与えていないようだ。」
イーグル 「熱いのをガマンして、ハンマーで4ポイントだ。」
フェイグランス 「同じく、剣で7ポイント。」
ルイ 「後ろからスリングで命中させて、3ポイントです。」
エフェ 「みんな、頼むわよー。」
DM 「ラウンドの終りに炎によるダメージ。 イーグルに4、フェイグランスに5ポイント。」
フェイグランス 「熱いじゃないか!」
 
炎の精霊、サラマンダー相手に手を焼いた一行だったが、3ラウンド後にはこれを撃破する。
 
イーグル 「一体だからよかったけど、これが3匹も4匹も出てきたら厄介だったな。」
フェイグランス 「その時は、なるべく逃げよう(笑)。」
イーグル 「賛成(笑)。」
DM 「サラマンダーが出てきた亀裂のあとは、行き止まりだよ。」
エフェ 「あら? あとは道がないわよ?」
ジョン 「隠し扉を探そう。」
 
ダンジョン内のめぼしい地点を探し回った一行は、アンデットのいた部屋に隠し扉を発見する。
 
ジョン 「やっぱりな。」
ルイ 「時間はかかりましたがね(笑)。」
DM 「扉を開けると、壁にレバーがつけられている部屋に出る。」
エフェ 「レバーねぇ。」
フェイグランス 「がちゃっとな。(レバーを引く)」
ルイ 「あ、そんなロクに調べもしないで…。」
DM 「テレポートして、どこか別の部屋に出たようだね。 正面に扉が見える。」
フェイグランス 「時には大胆さも必要だと…」
エフェ 「(遮って)単に引いてみたかっただけでしょ?」
フェイグランス 「いきなり核心を突くのは感心しないな(笑)。」
ジョン 「さぁ、どんどん行こうぜ!」
DM 「扉を開けると、3ブロック四方の部屋。 東と南に通路。 この部屋には大中小と3つの宝箱が置かれている。」
イーグル 「”欲望に打ち勝てば道は開かれる”の部分かもしれないから、開けちゃいけないんだよ。」
ルイ 「し、しかし気になりますね。」
フェイグランス 「あけてみたいなー。」
エフェ 「だーめ(笑)。 東の通路ね、東。」
DM 「ほいほい。 通路を進んだところに、また部屋があり、ここの壁には次のような文章が書かれている。 『お前はいないところにいるし、いられる筈ない所にいる。 それでも、お前はいつもいる。 私の目が届くところに。』」
エフェ 「いるのかいないのか、ハッキリしなさいよ。」
イーグル 「これって、謎賭けじゃねーの?」
ジョン 「なんだと思う?」
フェイグランス 「空気とか?」
ルイ 「私は鏡に映った自分の姿だと思いますね。」
エフェ 「うーん。 じゃあ、ルイ案で。」
DM 「ほい。 答えを言うと『正解』と声がして、本物の10分の1の大きさの銀の盾が現われる。 ちなみに、空気でも正解だったけどね。」
フェイグランス 「じゃあ、2つ正解だったんだから、景品も2つおくれよ(笑)。」
DM 「駄目(笑)。」
ジョン 「こっちの道は、あとは行き止まりか。」
エフェ 「さっきの部屋に戻って、南の通路をいきましょ。」
DM 「南は、しばらく通路があって行き止まりね。」
エフェ 「シークレットを探してー。」
フェイグランス 「はいはい。」
DM 「では、フェイグランス、シークレットドアを見つけた。」
フェイグランス 「東にシークレットドアがあったぞー!」
DM 「いや、南だ(笑)。」
イーグル 「やっぱり、方向感覚が怪しいんだな(笑)。」
フェイグランス 「たしかに、東だと思ったんだけどな〜(笑)。」
エフェ 「じゃ、”南に”いきましょうね。」
フェイグランス 「イヤミだ(笑)。」
ルイ 「ふっ(笑)。」
DM 「通路が4ブロックで西に折れて、1ブロック後に2ブロック四方の部屋。 ここの中央には銀で作られたと思われる、戦士の彫像が置いてあるね。 ただし、それは実寸の10分の1程度の大きさしかない。 また、左右の手に何か持っているようなポーズを取っているが、その手には何も握られていない。」
ジョン 「ここに、さっきの盾を持たせるといいのか。 かちゃっとな。」
DM 「はい、盾は戦士の左手にぴったりとはまったけれど、右手がまだ空いている。」
ルイ 「おそらく、武器を持つのでしょうね。」
エフェ 「探しに行くわよー。 …って、またしてもシークレットドアかしら?」
ルイ 「あっ……(書いていたマップを見て)…あー。 あー。(一部修正する)」
イーグル 「あれ、そこに通路があったんだっけ?」
ルイ 「一番最初の通路のところなんですがね。 まだ探索していなかったのに、行き止まりにしちゃってました。 ふふ。」
ジョン 「『ふふ』じゃないよ(笑)。」
  
該当の部屋に戻った一行は、そこで再び謎かけに挑戦する。
 
DM 「ここの壁には、『僕らは2人の兄弟で、損と得の調停者。 僕らの周りには大勢が必死になって目を見るけれど、勝つのもいれば負けるのもいる。 連中だって知っている。 勝つのは少なく、負けはたっぷり。 偶然だけで動くのに、誰もが僕らにいい結果を求める。』」
ルイ 「これはなーんだ? ってことですか。 サイコロじゃないです?」
DM 「あったりー。」
エフェ 「おー♪」
ルイ 「皆分かったでしょうに(笑)。」
エフェ 「や、聞いてなかった。」
ジョン 「こら(笑)。」
DM 「今度は、さっきと同じサイズの剣が手に入るよ。」
ジョン 「早速さっきの彫像につけてみよう。」
DM 「はい、今度もぴったりと収まる。 彫像と、その背後の石畳が動き始め、地下へと続く階段が現われる。」
エフェ 「凝った仕組みねー。」
イーグル 「これで、”賢さを示し”た事にもなるのかな?」
フェイグランス 「多分ね。」
ルイ 「行く前に、キュアをかけておきましょう。」
DM 「ほい。 それから、ジョンは身体が楽になったように感じる。」
ジョン 「む! 自分にキュアをかけてみる。 6ポイントだけど?」
DM 「半分にならずに、普通に回復するよ。」
ジョン 「おー! やっと前に立てる。」
イーグル 「これで交代できるな。」
エフェ 「準備はできた?(ジョン:「おう!」) じゃあいきましょ。」
DM 「地下へ地下へとながーい階段が続いている。 明りの届く先は真っ暗闇で、行けども行けども階段しか見えない。 狭い階段の両側は石壁になっており、その隙間からピチャピチャと水滴が流れている。」
エフェ 「なんか、不気味〜。」
ルイ 「じゃあ、歌でも歌いましょうか?」
エフェ 「敵がいたら気づかれちゃうでしょ!(笑)」
ルイ 「そうですか、じゃあ一曲。」
イーグル 「つくづく、人の話を聞いてないな(笑)。」
DM 「そんなやり取りをしながら、かれこれ10分ほど進んだけれど、まだまだ階段は続く。」
エフェ 「幻覚の階段じゃないわよねー? ちょっと戻ってみましょ。」
DM 「戻ったけど、さきほど通った覚えのある階段が上に向かってひたすら続いているだけだね。」
ジョン 「すくなくとも、同じ場所で足踏みしていたわけではないと。」
エフェ 「改めて、下へ。 あと20分ほどはガマンして進むわよ。」
DM 「はい、では階段を降り始めてから20分。 先ほど立ち止まってから10分ほどの地点で、階段が行き止まりになっており、扉が見えてきた。」
マリュータ 「(扉の前で聞き耳をたてて)中から沢山の人の声がするぞ。」
エフェ 「ジルワン達かしら。」
ルイ 「さぁ。 推測が正しければ、この先が神殿という事になりますが…。 扉は木ですか?」
DM 「木に、金属製の枠がつけられている。 木の部分には細かい隙間もあるけれど、どうもよく見えないね。 ただ向こうはぼんやりと明るいようだ。」
フェイグランス 「隙間があるのなら、ウィザード・アイの呪文だ。 これで向こうの様子が分かるよ。」
DM 「ほい。 扉の向こうは、向こう側の壁が見えないほど広大な地下洞窟になっている。 そこには家々が立ち並ぶ町になっており、天井は遥か上にあって、光輝いているようだ。」
フェイグランス 「穴が空いているわけではないの?」
DM 「いや、天井の岩に付着しているコケのようなものが光っているんだね。」
フェイグランス 「なんか、すごいなぁ。」
DM 「ただし、家々は通常の大きさの半分ほどであり、そこに行きかう人々もまた小人のようだ。」
フェイグランス 「そんなわけで、この向こうは小人の国だよ。」
エフェ 「メルヘンだわねー。」
ルイ 「まさか、地下に小人の町があるとは。 しかも、結構大規模なんですね。」
DM 「そのようだね。」
ルイ 「そういえば、今下りてきた階段の段差は、人間向けでした? 小人向けでした?」
DM 「人間向けだね。 君達が自然におりられるくらいの段差だった。」
イーグル 「どういうことだ?」
ルイ 「この階段を作ったのが、小人なのか人間なのか知りたかったんです。 これで、少なくとも小人達は積極的に今の階段を使っていなかったと言う事は分かりますね。」
イーグル 「積極的に使っているのなら、階段の段差を小さくしたりするか。 そうだな。」
ルイ 「ええ。」
エフェ 「だと、地上との交流が少ないって事ね。 私たちが現われたら驚ろきそう。」
フェイグランス 「友好的に行こう。 友好的に。」
ルイ 「では、私が。 ふふふ。」
エフェ 「だめ(笑)。」
ルイ 「なぜです?」
エフェ 「どうせ、ろくな事しないでしょ。 ヘンタイの巨人の一行が来たなんて言われたら嫌ですからね!」
ルイ 「心外な(笑)。」
フェイグランス 「小人達の様子に変わったところはない? 慌てているとか、ソワソワしているとか、どこかを気にしているとか。」
DM 「特にそういった様子はないね。 気軽に路上に出て、知り合いらしき人々と話をしたり、遊んだりしている。」
フェイグランス 「ジルワンとタルシスが中で騒ぎを起こしたりはしてないってことか。」
ジョン 「それか、まだ到着していないって事だな。 俺達が通って来た道は誰も通ってなかったみたいだしな。」
エフェ 「だとしたら、一歩先んじたわけね。」
イーグル 「でも、ここで考えていても仕方がないんじゃないか? 友好的に行くなら友好的にで、さっさと行っちまおうぜ。」
ルイ 「そうですね。 では扉を開けますよ。 武器はしまっておいて下さいね。」
ジョン 「おう。」
DM 「扉を開けて、君達が姿を現すと、町を歩いていた人々がビックリして君達の方を振りかえる。 その大きさは人間の3分の1くらいであり、全体的に痩せている。 肌の色は真っ白で、病的な感じもするね。」
イーグル 「そりゃ、ずっと洞窟に住んでいりゃな。」
ルイ 「挨拶しますよ。 はぁーい、ぼくたち人間です! 皆さんと仲良くしに来ました。 こーんにーちわー!」
イーグル 「小さいからって、子供向けの喋りじゃなくていいと思うぞ(笑)。」
DM 「人々は君達を遠巻きに見詰め、なにやらヒソヒソとお互いで話している。」
ルイ 「あ、いやな雰囲気。」
エフェ 「挨拶の仕方が不味かったんじゃないの?」
ルイ 「いや、挨拶は完璧でした。」
ジョン 「自信あるんだな(笑)。」
DM 「やがて、向こうから完全装備の、槍を持った衛兵らしき小人が4人ほどやってくる。 それから、古臭い布に身を包んだ2人が後ろについているね。」
ジョン 「あまり怖い感じはしないけど、後ろのは魔法使いか?」
DM 「そんな感じだね。」
ルイ 「手を広げて敵意のないところを見せましょう。 我々は、あなたがたに危害を加えるつもりはありません。」
DM 「どうやら言葉が通じているようだ。 衛兵の1人が甲高い声で『お前達は何者だ!』と聞いてくる。」
フェイグランス 「地上では冒険者と呼ばれてる者達ですよ。 でも、少なくともあなたがたの敵ではありません。」
衛兵 「その冒険者が、なにをしに来た!?」
ルイ・エフェ 「あそびに。」
イーグル 「観光に!」
衛兵 「それは、嘘だろう。」
DM 「そうした受け答えをしていると、向こうから衛兵の隊長らしき人物がやってくる。 小人とはいえ、がっしりした体格で、髭をたくわえており、貫禄があるよ。」
衛兵隊長 「本当の理由を教えてもらおうか。」
フェイグランス 「実は、剣を探しに。」
衛兵隊長 「剣? どんな剣だ?」
フェイグランス 「たしか”夜明けの剣”とか。」
DM 「その言葉を聞いて、周囲の小人達の顔色が変わるよ。」
フェイグランス 「青ざめたとか?」
DM 「いや、怒っているようだ。」
エフェ 「もしかして、この都の秘宝だとか?」
イーグル 「そうかもな。」
衛兵隊長 「(難しい顔をして、兵士達に)リーンド様のところへ連れて行きなさい。 (一行に)お前達を信用して、武器はとりあげまい。 その兵士達についていきなさい。」
エフェ 「ここは、大人しく。」
ルイ 「そうですね。」
DM 「周囲を衛兵に囲まれて町の中を連れられていく君達の姿を、町の人々が好奇心や嫌悪の表情で見詰めている。 そして大人達はペチャクチャとよく分からない言葉で君達の方をチラチラみながら話していたり、イタズラな子供がエフェのローブにトマトらしきものを投げつけたりする。」
エフェ 「うわー、でもここはガマンよ。」
DM 「それじゃあ、ベシャッと赤いトマトがつぶれて、エフェの白いローブにくっつく。」
エフェ 「がーん。 が、ガマン!」
ルイ 「エライですよ〜。」
DM 「こうして歩いていくと、縮尺は小さいけれど、かなり立派な屋敷についた。 先ほどの隊長が一旦中に入り、君達の方を見上げて『庭でお会いになるそうだ。』と言って、庭へと案内する。」
エフェ 「庭ねぇ。 広いのかしら。」
イーグル 「立派な家なら、足元のものを踏み潰さないようにして歩かないとな。 弁償とか言われると厄介だ。」
DM 「庭は君達から見ても、かなり広いよ。 それに、君達がいる場所からそれほど遠くないところに、見覚えのある”門”がある。」
ジョン 「(門を見て、隊長に)あれは、なんですか?」
衛兵隊長 「お前達、外の者には関係のないものだ。」
ジョン 「銀の民の”門”じゃないですか? あれは。」
DM 「隊長はその言葉を聞くと黙りこくってしまい、そのままどこかへ行ってしまった。」
ジョン 「おやおや。」
エフェ 「でも、その”門”は、銀の民の門に似てるのよね?」
DM 「そうだね。」
エフェ 「じゃあ、やっぱりここは銀の民と関係があるんだわ。」
ルイ 「これまで、神殿とか神聖な場所の近くには必ずと言っていいほどありましたものね。 この”門”は。」
フェイグランス 「でも、その神殿の周りにこんな種族がいたとはなぁ。 ハーフリングではないんだよね?」
DM 「うん、体格や特徴から、まったく別の種族のようだね。 さて、暫くすると小人にしては大柄な人物が、苦々しい表情でこちらに歩いてくる。」
ルイ 「この方がリーンドさんですか。」
リーンド 「左様。 そなた達の名は?」
ルイ 「全員紹介しますよ。 私がルイ。 あとは取るに足らない者達ですが、一応紹介しておきましょう。 エフェとかジョンとかです。」
イーグル 「こら(笑)。」
エフェ 「後で袋叩きに1票!」
ジョン 「5票!」
フェイグランス 「土俵!」
ジョン 「押し出しぃ〜!」
ルイ 「こ、こら、押さないでよ!」
フェイグランス 「ジョンの〜やまぁ〜!」
イーグル 「…ふざけてていいのか?」
エフェ 「い、今のは思っただけ!(笑)」
ルイ 「それにしては、押された気がします(笑)。 ともかく、あなたがたは我々をどうするつもりです?」
リーンド 「それは、これから決める。 そなた達が”夜明けの剣”と呼んでおるものは、我々の聖宝で、別名を”イシュナード”言う。 これを持って行こうと言う事であれば、考えなければならん。」
ルイ 「なるほど。 我々はその”イシュナード”が廃虚となった神殿に安置されているものと思って取りに来ただけです。 あなたがたの存在は地上では知られておりませんでしたので。」
リーンド 「ならば、わかったであろう。 あれは私たちの宝なのだ。 (入って来た扉を示して)おひきとり願おう。 そしてここの事は忘れて欲しい。」
ジョン 「しかし、地上では”魔獣”と呼ばれるものが人々を苦しめていて、それを倒す為には”夜明けの剣”が必要なんですよ。」
リーンド 「地上の事など、知った事ではないし、我々には関係ない。」
ジョン 「もらっていくのが駄目なら、借りるだけでも…。」
リーンド 「くどい。 これ以上言うならば、こちらとしても相応の手段をとらざるをえんが?」
ルイ 「仕方ありません、諦めましょう。」


【BACK】 【NEXT】