ムーンエンド・キャンペーン第ニ部 第5章 【過去】

 

DM 「夜が明けて、朝になったよー。 何かする人は?」
エフェ 「別に、ないわよ。」
ジョン 「馬は買えない?」
DM 「馬泥棒が多いからね。 ギルドの施設に行かないと買えないよ。」
ジョン 「ギルドの施設では、俺達マークされるだろうからなー。 止めておこう。」
フェイグランス 「夜までのんびり。 ワインでも飲むか。」
ルイ 「つまみがありませんよ、つまみが!」
ホセ 「(エフェに)おい…あいつら、いつもこうなのか?」
エフェ 「いつもああよ。(笑)」
イーグル 「変に緊張しないんだよな。 ここの奴等は。 俺なんか、戦闘のたびに緊張してるぞ。」
エフェ 「それが普通なんでしょうけどね。 慣れちゃったのかも?」
ジョン 「剣を磨いておくか。 あ、砥石借りるね。」
エフェ 「私も一眠りさせてもらおう♪」
イーグル 「人ん家だってのに、このくつろぎ様はなんなんだ(笑)。」
 
日が傾き、一行は取引き場所近くの茂みに潜伏する。
 
エフェ 「ばれないかどうか、マリュータにチェックしてもらおう。」
マリュータ 「まぁ、暗いしなんとか誤魔化せるんじゃないか。 もっとも、相手はプロだからな。 なるべく物音を立てるんじゃないぞ。」
ルイ 「金属鎧の人達は、とくに注意が必要です。」
フェイグランス 「ルイも注意が必要だと思うけどね。」
ルイ 「私は、革鎧ですが?」
ジョン 「いや、聖水をたんまり持ってるからな。 ガチャガチャうるさいだろう(笑)。」
フェイグランス 「うんうん。」
ルイ 「むぅ、だからと言って置いていくわけには…、あ、そうだ。ホールディングバックにいれよう♪」
エフェ 「便利よね、それ。」
DM 「やがて、街道の両側からそれぞれ集団が近づいてくる。 どちらも馬車を連れているよ。」
ジョン 「そっと見ていよう。」
DM 「ほい。 街道は北と南にのびていて、北はカステラ、南はシェルトに続いているんだけれど、北の方の集団は20名ほど。 そのうちの中心と思われる人物は馬に乗っており、その周りに4人の魔術師が付き従っている。  南の方からは10名ほど。 やがて、その集団が接触すると、馬車の中から3人の魔術師を連れたディーダーが下りてくる。」
ルイ 「どっちも警戒厳重です。」
エフェ 「そりゃそうね。」
DM 「北からきた人物も、馬から降り立つ。 月明りに照らされて浮かび上がったその顔は、紛れもなくジョンの父親の仇であるエルのものだ。」
ジョン 「おわ、畜生。 あのヤロウ!」
エフェ 「短気はだめよ?」
ジョン 「分かっているが…。」
DM 「やがて、ディーダーとエルが接触し、エルの側が口を開く。」
エル 「ディーダー殿、品物は持ってこられたかな?」
ディーダー 「ここにある。 しかし、この毒をこれほど買ってどうするつもりかな?」
エル 「(低い声で、見下すように笑いながら)これほど…と言われるが、私はあなたの毒草の栽培場を全て手に入れたいと思う。 これだけでは、少なすぎるからな。 それからもう一つ。 私は金を払うつもりは全くない!」
DM 「このエルの言葉を合図に、彼の率いていた集団がディーダー達に襲い掛かる。 ディーダーもそれをまるで予測していたかのように口笛を吹くと、周囲から盗賊達が15名ほど現れ、激しい戦闘がはじまる。」
エフェ 「やった、理想的な形だわ。」
イーグル 「悪人は悪人同士で殺しあってくれればいいんだよな。」
ジョン 「エルだけは俺が倒すけどな。」
フェイグランス 「まぁ、しばらく見てよう。」
DM 「街道はまるで戦場のような様相を呈している。 ファイヤーボールが飛び交い、戦士と盗賊が入り乱れ、激しくあらそっているよ。」
エフェ 「ファイヤーボールが乱れ飛ぶ戦場か。 こわいー。」
イーグル 「流れ魔法に当たらないようにしないとな(笑)。」
DM 「全員、敏捷のチェック。 マリュータは成功している。」
エフェ 「成功よ。」
ジョン 「成功だ。」
フェイグランス 「成功ずら。」
ルイ 「おや?ふふふ。」
イーグル 「失敗だ。 僧侶2人が失敗かよ。」
DM 「上空から、『ここにも誰かいるぞー!』と言う声が聞こえてくる。 見上げると、さきほどまで誰もいなかった君達の上空に、魔術師らしき人物が浮かんでいる。」
イーグル 「”透明化”と”飛行”かよ。 ご丁寧なこった。」
ジョン 「こうなりゃ、戦うしかないな。」
DM 「よし、イニシアチブ。 エルの側からも、ディーダーの側からも数人が駆け寄ってくる。」
エフェ 「イニシアチブは、2!」
イーグル 「低いな。」
エフェ 「仕方ないでしょ!」
DM 「こっちは4だ。 まずはファイヤーボールから食らえ!」
フェイグランス 「うわ、早速かっ。」
DM 「セービングスローに失敗した人は、27ポイントね。 成功したら14ポイント。」
イーグル 「それにしても、両方相手にするのはつまらんな。 ディーダー側には、『まて、俺達は今日あんたらに雇われた者達だ!』と言ってエルの方の兵士を攻撃する。」
DM 「ディーダー側の兵士達は半信半疑の様子だけど、とにかく今は戦闘中ということもあって、彼等もエルの側の兵士を攻撃し始める。」
エフェ 「やるじゃない。」
イーグル 「ちょっと、ズルイけどな。」
ルイ 「なぁに、どっち道、両方殲滅するんです。 騙し上等ですよ。」
ジョン 「まったく、うちの僧侶達は…(笑)。」
エフェ 「さぁさぁ、ちゃっちゃと目の前のをやっつけちゃうわよ。 エルを倒すんでしょ?」
ジョン 「おう!」
エフェ 「上空の魔術師にマジック・ミサーイル! 9ポイント。」
フェイグランス 「同じく! 14ポイント。」
DM 「うわ、やられた。」
 
戦闘が続き、双方に大きな被害が出始める。
 
DM 「エルの周囲の護衛が甘くなってきたよ。」
ジョン 「おーし、突撃だ!」
DM 「ホセはディーダーの側の部隊に突撃する。」
ジョン 「だれか、一緒にいってやって。」
フェイグランス 「そいじゃあ、俺が。」
ジョン 「頼んだぞ〜!」
DM 「さて、ジョン。 エルのところまで辿り着きました。」
ジョン 「ようやく会えたな。 親父の仇!」
DM 「エル若干太り気味の、瞳がギラギラとした輝きを放つ男で、ジョンの顔を見ると『貴様の顔はどこかで見たことがあるぞ。』と言う。」
ジョン 「そうとも。 俺はジョン=クレインだ。 親父の仇を討たせてもらうぞ!エル!」
エル 「貴様の父親は、この俺に殺されたのだ。 商人のエルにではない。」
ジョン 「何を分からんことを。」
エル 「エルは小金もうけの為にセコセコと動き回る、ケチな小物よ。 その体を乗っ取ってやったのが、この俺というわけだ。」
ジョン 「なにー?」
エル 「もちろん、俺を解放してくれたジャレス様の命令だ。 あの方は王族の中にも俺の仲間を取りつかせ、また俺をルードの貴族に潜り込ませて反乱を容易にしたのだ。 完璧な計画の筈だった。」
イーグル 「それは、上手くいかなかったわけだ。(第一部参照)」
ジョン 「お前は、何者だ?!」
エル 「私は、銀の民が”悪霊”と呼んでいた者だ。」
ルイ 「”悪霊”って、確か第一部の最後にダークスレイヤーで倒したはずですが…。」
エル 「俺を倒すことはできん。 たとえ、エルの肉体を破壊しても、俺は他の者に乗り移ることができる。 無理なんだよ。 俺を倒すには”ダーク・スレイヤー”が必要なんだ。」
ジョン 「ダークスレイヤーか。」
エル 「だが、それはもはや砕け散った。 銀の民が封じた悪霊は一体だけだと勝手に判断したお前達が迂闊だったのだ。」
ルイ 「そういうことですか。 厄介な。」
ジョン 「投げつけちまったもんな。」
DM 「そう、第一部の最終回に出てきた、アレと同じ物だと考えてくれ。」
ジョン 「どうしたもんかな。」
ルイ 「仇が変わってしまうとは。」
DM 「さて、フェイグランスとホセ。 フェイグランスにはマジックミサイルを6本と、コンティニアルライトをプレゼントだ。」
フェイグランス 「要らないくらい沢山きたな(笑)。 マジックシールドがかかっているからセービングスローで…ミサイルは全部はじいた。 で、ライトの方は…あれ? かかっちゃったよ。」
DM 「ほい、失明と。」
フェイグランス 「これは、面倒な。」
 
一行の主力も、エルの護衛達から激しい攻撃を受ける。
 
DM 「ライトニングボルトだ。 26ポイント。」
エフェ 「うわー、死にそう。」
DM 「盗賊の攻撃が、ジョンに10ポイント。 ルイに8ポイント、イーグルに11ポイント。」
エフェ 「こうなれば、こっちだってファイヤーボールよ! 38ポイント!」
ルイ 「流石に、威力が違います。」
DM 「それで魔術師1人と盗賊3人が死亡。 でも、まだまだくるぞー。」
 
4ラウンド後。
 
DM 「フェイグランスにマジカル・ウェブだ。」
フェイグランス 「あちゃ、失敗。戦闘不能。」
エフェ 「こっちも、体力が残り1だよぅ。 イーグル〜。」
イーグル 「今いくから、待ってろ。」
ルイ 「ホールド・パーソンっていうのは、本当に動けませんね。ふふ。」
ジョン 「俺はこれくらいでは止まらないぞー!」
DM 「しかし、この三つ巴の戦いの中で、もはや立っている者は少ない。 ディーダーは何時の間にか姿を消し、やや優勢に闘いを運んでいたエルの方も、もはや5,6人を残すのみだ。」
ジョン 「倒せないのなら、気絶させてでもつれていくぞー!」
DM 「エルは周囲を見回すと、さっと身を翻してディーダーの残した箱をつかむ。」
ルイ 「あ、逃げられそうですよ、ジョン。」
ジョン 「まだ、目の前に敵の兵士がいるんだよなー。 だれか、止められないか?」
エフェ 「もう、使える魔法が残ってないよ。」
イーグル 「駄目だな。」
DM 「エルは君達を睨み付けると、箱をもってテレポートしてしまう。」
イーグル 「逃げられたか。」
DM 「あとは敵の部隊が残っているけれど、彼等もエルが撤退したのを見ると、引き始める。 ディーダー達の部隊も同様だね。」
フェイグランス 「やれやれだ。」
ルイ 「どちらか片方だけでも仕留めたかったですねー。」
エフェ 「エルがあの”悪霊”だなんて予想外だったもの。 こちらがやられなかっただけでもマシよ。」
ジョン 「取引きも終ったわけだし、もどるかー。」
イーグル 「しかし、取引きが終ったからといってパールが狙われなくなる…なんて考えは甘いだろうな。やはり。」
エフェ 「そうねー。 危険な芽は少しでも摘み取っておきたいでしょうね。 最近の戦闘の連続で、ディーダーの組織も弱っているでしょうし。」
ホセ 「そのあたりは、帰ってから本人達と相談するのが一番だろう。 …しかし、カステラの富豪…エルだったか? 奴は厄介だな。」
ルイ 「報告の仕方も困りそうですね。」
ホセ 「まったく、頭がいたいぜ。」
フェイグランス 「俺はあちこちが痛いずら。」
イーグル 「もう、キュアは使いきっちまったんでな。 エフェとかを優先にかけたから。」
フェイグランス 「しかたない。 レディー・ファーストだよ。」
DM 「ホセの隠れ家に帰ると、タレスティウスやアルン、パール達が待っているよ。 あ、犬のジョンもね。」
フェイグランス 「ただいまー。」
DM 「アルンとパールは食事を用意してくれている。」
エフェ 「そいじゃ、食事したら少し休んで、その後で今後の事を考えましょうか?」
ルイ 「賛成です。 一応、皆さんに今回の事はお話しておきますけどね。」
DM 「アルンはディーダーが健在なことには残念そうな顔をしているね。さすがに。」
ルイ 「パールが今後も狙われますからねぇ。 そのあたりを考えつつ、今日は寝ることに。」
ジョン 「こんなにボロボロになったのは、久し振りだ〜。」
 
翌日
 
イーグル 「さて、回復するか。 でも、今日の分だけではとても全員を回復できないぞ。」
ルイ 「受けたダメージが大きすぎますからねー。」
フェイグランス 「でも、大分マシになったよ。 魔法も覚えなおせたし。」
ジョン 「で、どうする? 俺はパールとアルンはこの町を離れた方がいいと思うんだが。」
イーグル 「離れている途中も、危険かもしれないけどなー。 まもる相手が多いと、大変だ。」
ジョン 「アルンオヤジさんは狙われているんだっけ?」
イーグル 「狙われてはいなかったと思うが、今回アルンの家で戦闘にもなったからな。 マークされているだろう。」
フェイグランス 「どっちにしても、アルンさんとパールは一緒のほうがいいんじゃないの?」
エフェ 「そうね。 でもあまり沢山つれて歩くと目立つし守りづらいから、2手に別れましょうか?」
タレスティウス 「ならば、アルンはわしが引き受けよう。」
エフェ 「それならありがたいけど…大丈夫でしょうね?!」
タレスティウス 「大丈夫だとも。 わしにどーんとまかせておきなさい。」
エフェ 「じゃあ、集合場所を決めておいて、私たちはパールを預かりましょうか。」
ジョン 「そうだな。 次の町…カステラで落ち合うことでいいのか? 例のエルがいるところだから、危険かもしれないぞ。」
エフェ 「エルはアルンとパールには興味ないんじゃないかなぁ。」
イーグル 「それもそうか。」
ジョン 「それに、エルは『栽培場を手に入れる』とかいっていたから、先にってその栽培場をつぶしちまおう。」
フェイグランス 「賛成賛成。」
ホセ 「よし、そういう事なら、俺もついていくぜ。」
ルイ 「ただ、回復してさらに予備の魔法を覚えるのにあと3日はかかりそうですが。」
エフェ 「急ぐ必要はないでしょうから、完全にしてからいきましょ。」
ジョン 「早く、エルに迫りたいんだが…。」
エフェ 「不完全な状態でいって、返り討ちにあったらどうするのよ。」
ジョン 「そうだな。仕方ない。」
ルイ 「では、アルンさん、そういう事でよろしいでしょうか? パール君は我々が責任をもって預かりますので。」
アルン 「はい、このままこの町にいては危険なのは重々承知しております。 是非お願いします。」
エフェ 「話が早くて助かるわー。 じゃ、いきましょうか!」
DM 「ごめん、今日はこれで終りなんだ(笑)。」
エフェ 「あら(笑)。」
DM 「次回をお楽しみに!」
一同 「おう」「ほーい」「おおー!」「(拍手)」
イーグル 「バラバラだな。」
エフェ 「いつもの事よ(笑)。」
ムーンエンド・キャンペーン
第二部 第5章・完


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