ムーンエンド・キャンペーン第一部 第15章 【勝利の眠る島】

 

エフェ 「第一王位継承者はリリア王女よね?」
ジョン 「そうだよ。」
エフェ 「すると、第三王位継承者のエルムさんと、リリア王女が結婚したらどうなるの?」
DM 「エルムが王になって、リリアは王妃。 ホバートは公爵だね。」
エフェ 「ホバートは、弟のエルムさんの臣下になるのは嫌だったのかしら?」
ジョン 「さぁ。」
エルム 「いや、兄は自尊心が強く、野心もあったが、分別のある人間だった。今回のように国中を乱すようなことは考えられない。」
ジョン 「なるほど。 あ、そういえば、前から気になっていたんだけど、ネリーナって何者だったんだろう? ずっと前に出てきて、王位に関係あるとかで殺されちゃったけど。」
エルム 「(やや驚いたように)ネリーナを知っているのか? いや、ネリーナは死んだのか…。」
ジョン 「隠してもしかたないから、全部その時の様子を話す。」
エルム 「ネリーナは第四位王位継承者で、我々の妹だ。 おそらくホバートにとって邪魔になった為、狙われたのだろう。」
ジョン 「それで、シャスターの身内の所に帰るみたいな話をしていたんだな。」
エフェ 「その身内と言うのが、国王だったり、リリア姫だったわけね。」
エルム 「ホバートは最初のうちは戦争などせずに事を済ませるつもりだったのだと思う。 皆は覚えているだろうか? 我々兄弟が行方不明となったあと、国王は病に伏され、王女は誘拐され、また国王の病を治す事のできる唯一の人物、カサンドラも幽閉されていた事を。」
ルイ 「そうでしたね。 我々が偶然リリア王女をお助けして、エルムさんと我々でカサンドラを救出しちゃいましたものね。 カサンドラのおかげで王様も息をふきかえしたし。」
ジョン 「それさえなければ、第二王位継承者のホバートが『実は生きてました〜。』と登場するだけで自動的に王様になれたわけだ。」
エルム 「そう。 それらが失敗したホバートは次に軍を動かし始めた。 ルードを拠点として兵を挙げ、アンデットコントローラで死者の兵団をつくり、南の貴族達を懐柔して味方につけた。 そして、万が一の為にビクトリーワンドを集め始めたわけだ。 その後の展開は、君達も知ってのとおり。」
エフェ 「とうとう、マスターも最後の手段を使わざるを得なくなったわけね。」
フェイグランス 「エルムさんに質問があるんだけど…ですけど。」
エルム 「何かな?」
フェイグランス 「エルムさんがヴィクトリーワンドを手に入れたら、どうしますか?」
エルム 「この内乱を鎮める為に使用する。」
ファルス 「戦いはこちらが有利になったんじゃなかったっけ?」
エルム 「いや、不利な状況が多少覆っただけで、このまま反乱軍と戦いを続ければ長期化するのは目に見えているし、そうなれば相当な数の死傷者や職を失うものが出てくる。 それは避けたい。」
フェイグランス 「ならば、安心です。 失礼ながら、他国を侵略する為に使うようならば…」
ルイ 「皆まで言わなくてもいいですよ。フェイグランス。 一応国王になられる方ですからね。」
エルム 「いや、かまわないよ。 それに、一度このワンドを使用してしまえば5年の間は力を失う。 そうそう便利に使えるものでもないらしい。」
ルイ 「ふむ。」
エフェ 「そういう事なら、いいわね。 実は私もちょっと心配していたの(笑)。」
ジョン 「この戦いが終われば、一気に国が鎮まるわけだ。」
ルイ 「そうですね。 エルムさんもリリア王女も、まぁ立派な方ですし、大丈夫でしょう。」
ジョン 「それじゃ、出発するか。 あまりゆっくりもしてられないだろ。」
DM 「それなんだけど、エルムが説明してくれる。これから向かう神殿の扉は、夜にならないと開かないのだそうだよ。 まだ夕方にさしかかったばかりだから、時間に余裕はある。」
ジョン 「なるほど。 じゃあ、扉の前まで行っておこう。」
エフェ 「そうね。」
DM 「では、君達は不気味に捻じ曲がった木々が繁る森を進んでいくと。」
エフェ 「不思議な樹よね〜。」
ジョン 「神殿に、なにか悪い力を出すものでもあるんじゃないのか?」
ファルス 「ヴィクトリーワンド?」
ジョン 「いや、それだったらレイド老人の裏の森も変化しているだろ。」
フェイグランス 「やっぱり、アレじゃないの?さっき話に出たダークスレイヤーで倒すべき敵みたいな。」
ジョン 「だなぁ。 マスターとかガゼリアとかは違うとして、魔獣とか悪霊とかな。」
ルイ 「大変ですね。ジョン。」
ジョン 「手伝ってくれ(笑)。」
DM 「さて、君達が神殿に近づいてくると、霧の中から馬の蹄の音が聞こえてくる。」
エフェ 「みんな、戦闘準備!」
ジョン 「おう、剣を抜くぞ。」
DM 「蹄の音がこちらに向かって近づいてきて、やがて銀の仮面をつけ、黒馬にまたがった男、『マスター』が姿を現した。」
ジョン 「でたな、コノヤロウ。」
DM 「マスターの服装は、黒色で統一されているが、鎧の方はエルムがに着ているものとよく似たものを身につけている。」
ルイ 「別プレーンですか。やはり悪運も強かったみたいですね。」
DM 「その通り。マスターは仮面の奥から声を出す。」
マスター 「やはり来たか、エルム。 私の計画をことごとくつぶした輩も一緒のようだな。」
DM 「そういって、マスターは仮面を取ると、そこにはネリーナとの一件の時に見たのと同じ、エリムそっくりの顔があるよ。」
マスター 「杖は私の物だ。 ビクトリーワンド私の計画が全てつぶされた時の最後の手段。 この国は私が統治する。 …エルム、お前ではなく。」
ジョン 「統一して、何をする?」
マスター 「(ジョンをちらりと見たあと、あえて無視して)2本目の杖を手にいれたあと、貴様らの杖も頂く。 その時に大人しく渡せばよし、さもなくば死だ。 それを言う為に来た。」
エルム 「(森の中に戻っていこうとするマスターに向かって)ホバート! 何があなたをそれほどまでに変えたのだ!昔のあなたはそんな人ではなかった。」
マスター 「私にも分からん。時々、何故こんな事をしているのだろうと思う事がある。 おそらく、私は何者かに操られているのだろう。 だが、それを振り払うつもりは全く無い。」
ジョン 「自覚はあるのか。」
DM 「マスターは、森の奥に向かって去っていくよ。」
ルイ 「ここで去らせるほど、我々もお人好しではありませんよ。 折角敵の大将が1人なんです。やってしまいましょう。」
フェイグランス 「お、応よ!」
 
マスターを追う一行は、森の中を進む。
 
DM 「奇妙にねじくれた木々が生い茂る森の中を、君達は進んでいるわけだけど、その木々に隠れて昔の町の遺跡があちこちに見える。」
ルイ 「すると、この島は元々、神殿を中心にした町だったわけですね。おそらく銀の民の。」
エルム 「(ルイのそばに並んで)ああ、ここはかつて月の女神を奉る神殿のあった場所だったらしい。そして神殿はここに住む人々か、彼等の子孫でなければ入る事がかなわず、その通路には進入者除けのトラップがいくつもしかけられているという話がある。」
ルイ 「それは、重大ですね。 しかし、神殿に着くまでにマスターを捕捉して倒す事が先決です。」
フェイグランス 「神殿の前で追いつめる事ができるかもしれないしね。 今の時刻は?」
DM 「もうそろそろ、日が暮れるよ。」
ジョン 「急ごう!」
DM 「そんな君達の周囲を不意に炎の壁が取り囲む。 と同時に、上空から笑い声が聞こえてくる。」
ジョン 「上を見る!」
DM 「浅黒い肌に厳しい目付きの、そして恐ろしいまでの存在感を漂わせた男、ジャレスが暮れ行く空をバックに浮かんでいる。」
ジャレス 「大いなる暗黒神、ドールの名において貴様らに死をくれてやる。 夜明けまでに、貴様らは灰塵と帰すだろう。 (軽く手を上げて)…これは、俺からの挨拶代わりだ。」
DM 「ジャレスがそういって君達の足元を指差すと、突然土の中から1体のスケルトン・ウォリアーが出現する。」
ルイ 「うーん、罠でしたか。 そうじゃないかなぁ〜。とは思ったんですけどね。」
ジョン 「だったら、言えよ(笑)。」
ルイ 「みすみす見逃すのも悔しくて。」
エフェ 「ジャレスはどうしてるの?」
DM 「そのまま飛び去ってしまう。」
ジョン 「仕方ない、コイツ等をやっつけてから後を追うか。」
DM 「スケルトンウォリアーは、手にノーマル・ソードを持っているからね。」
ジョン 「結構ダメージがでかそうだな。」
ルイ 「なるべく消耗しない様に闘いましょう。」
フェイグランス 「あいよ。」
 
ジャレスの召喚したスケルトン・ウォリアーはなかなか強く、パーティも苦戦を強いられる。
 
フェイグランス 「もう、12ダメージか。 思ったより食らったな。」
ルイ 「回復しておきましょう。 6ポイント。」
ジョン 「攻撃して…8ポイントだ。」
DM 「ウォリアーは倒れた。 それと同時に炎の壁も解除される。」
ジョン 「明らかに足止め目的だな。」
ルイ 「それだけ、相手にも余裕が無いという事ですかネ。」
DM 「既に日は落ちて、月が昇ってきているよ。」
ルイ 「もう、マスターを追うのは無駄ですか。」
ジョン 「だな、入り口に行こう。」
DM 「その入り口なんだけど、エルムの話では東と西にそれぞれ1つずつあるのだそうだ。」
ルイ 「ほうほう。」
エフェ 「それって、どちらからでも入れるのかしら?」
DM 「入れるそうだよ。」
フェイグランス 「片方に行くと、マスターたちと鉢合わせもアリか。トラップも解除されているかもしれないけど。」
ジョン 「トラップがあるっていうのはなぁ〜。 マリュータがいないのはツライ。」
DM 「さて、どっちにするね?」
フェイグランス 「右。」
DM 「どっちだよ(笑)。」
エフェ 「(ルイに)どっちがいいとおもう?」
ルイ 「分かりませんよ、そんなん(笑)。」
エフェ 「よーし、それじゃあコインで決めよう! 表が出たら東、裏なら西。」
ジョン 「OK。」
エフェ 「(コインを投げて)平等院鳳凰堂だ(笑)。」
DM 「10円玉か(笑)。」
エフェ 「500円とかだと恐れ多くて。 いつかリッチになって500円でやりたい(笑)。」
ルイ 「そういうわけで、東ですね。」
フェイグランス 「おー。」
DM 「東の入り口にやってきた。 入り口は岩肌につけられていて、両開きの鉄扉が開いている。」
ファルス 「開いてるって事は、ここをマスターたちがとおったって事?」
DM 「いや、エルムの話では、夜になるとひとりでに開くのだそうだ。」
ファルス 「魔法の仕掛けか。すすんでるなぁ。」
ジョン 「中を覗き込んでみるか。 何か見える?」
DM 「とりあえず、見える範囲内では通路が真っ直ぐに続いている。」
エフェ 「隊列を決めましょうか? そういえばエルムさんはさっきから何してるの?戦闘にも参加しなかったし。」
DM 「エルムは何事か考え込んでいるんだ。 特に君達の決定にも異議は言わないから、好きに考えて。」
エフェ 「そう? じゃあ先頭は犬とロバね。」
フェイグランス 「犬はジョンとして、ロバって俺か!?」
エフェ 「そうよ? 耳がロバ。」
フェイグランス 「エルフなのにー。」
エフェ 「それからエルムさんも前ね。 真ん中は私1人。」
ルイ 「まぁ、そうですね。」
エフェ 「あと、僧侶2人は後ろね。 それからマッパーはフェイグランス。」
ジョン 「大丈夫なのかよ?」
エフェ 「いいのいいの。 (方眼紙を渡して)しっかりね。」
フェイグランス 「お、おう!」
ファルス 「気が向いたらかわってあげるよ(笑)。」
フェイグランス 「早く気が向いて(笑)。」
ファルス 「まだ気が向かない(笑)。」
エフェ 「ホラホラ、入るわよ。中は暗い?」
DM 「真っ暗。」
エフェ 「では、コンティニアル・ライト(永遠に持続する明り)を使う。」
ルイ 「便利ですね。」
エフェ 「あたしは、用意がいいのよ。」


【BACK】 【NEXT】