ムーンエンド・キャンペーン第一部 第13章 【魔女】

 

ルイ 「短い命でしたね。」
エフェ 「せ、折角のペットが…。 あんたがさっさと倒さないからよっ!」
フェイグランス 「そんな無茶な。」
ジョン 「とにかく、さっさと倒してしまおう。」
 
パイソンはその後もファルスにダメージを負わせるなど、強敵ぶりを発揮ものの、一行の攻撃に長く持ちこたえる事はできなかった。
 
DM 「パイソンがその巨体をドウ、と横たえると、胴体に突き刺さった炎の短剣により、全身が炎に包まれ始める。」
エフェ 「思ったより、強敵だったわね。」
ファルス 「でも、良い事をしたんじゃないかな。 これの所為で村人が脅えていたんだろーし。」
ルイ 「そうですね。 村人の反応はどうですか?」
DM 「家の中から様子を見ていたらしい村人達が、ちらほらと外に出てきて、炎に包まれているパイソンの死体を遠巻きに見ているよ。 村人は、やはり殆どが女性や子供なんだけど、その中で唯一の男性である老人が進み出てくる。」
ルイ 「察する所、長老か何かですかね。」
DM 「そのようだね。 その老人は『ようこそ、旅の方。 私たちはあなた方を歓迎いたします。』と言う。」
ルイ 「歓迎、ありがたく思います。 しかし、なぜこの村には女性や子供しかいないのですか? それにさっきの蛇はなんなんです?」
DM 「『それに関しては、私の家でお話しましょう。』と言って家に招くよ。」
ルイ 「(エフェに)どうします?」
エフェ 「とにかく、話を聞かせてもらいましょ? 村で何か起こっているなら協力しておいて、あとでこっちのガレー船の乗組員になってもらえばいいじゃない。」
ジョン 「その方がスムーズだろうな。」
ルイ 「では、そう言う事で。  (老人に)それでは、お言葉に甘えさせていただきます。」
DM 「はい。 では家にご案内〜。 老人の家は古いながらもなかなかに大きく、結構な数の部屋がある。 そのうちの一室、暖炉があって、椅子が並べられている広い部屋に君達は通されるよ。」
ルイ 「ほう。」
DM 「『以前はここで宿を経営しておりましたが、妻を亡くしてからは商売を止め、のんびりと暮らしております。』と、君達椅子をすすめながら老人が説明する。」
フェイグランス 「おやおや。 それで、せっつくようですけど、さっきの笛の音や蛇は何なんですか? 男の人がいなくなったのと、何か関係が?」
DM 「老人は椅子に落ち着くと、話をはじめるよ。『我々の村は、あの笛の音に悩まされつづけているのです。 最初は1週間前でした。 突然、甘い笛の音が聞こえてきたのです。 それを聞いたとたん、男達は呪文で魅了されたようになってしまいました。』」
エフェ 「男だけ?」
DM 「そう。不思議な事に、男にしか効かなかったそうだ。 『男達は1人、また1人と村の外の砂浜に歩いていきました。 その目は何かに憑かれたように、怪しく輝いていました。 そして、村から半マイル(約805メートル)程離れた所に行った時、そこに1つの巨大な門が出現し、男達はその中に吸い込まれるように入っていってしまったのです。』」
ジョン 「女の人達は止めたり、呼びかけたりしなかったの?」
DM 「それは、したんだそうだ。 しかし、呼びかけには全く応えず、女性達が引き止めてもそれを振り切っていってしまったんだそうだよ。 そして、男達がすべて入ると、門はすうっと消えてしまったのだそうだ。」
ジョン 「そして、あとには女や子供がのこったと。」
DM 「そういう事。」
ジョン 「この老人はなんで無事だったわけ?」
DM 「この老人は、とっさにサイレンスの呪文を自分の周辺にかけて、呪文の効果を遮ったそうだ。」
ファルス 「なるほど。僧侶の心得のある方だったんだね。」
ルイ 「還俗して、宿屋の主人をはじめたわけですね〜。」
ファルス 「還俗って…やっぱり、仏教なんだね(笑)。」
ルイ 「適当な日本語がなかっただけですよ(笑)。」
DM 「さて、老人の話はもう少し続きそうだ。『男達が消えてからも、何日かに分けて幾度か笛の音が聞こえてきました。 その音が村に響き渡ると、必ず怪物が現れるんです。』」
ファルス 「なるほど。」
ルイ 「では、また笛の音が聞こえてくるかもしれないわけですねぇ。」
DM 「『はい。 つきましては、この村の村長としてお願いいたします。 どうか、男達の行方と、笛の音の原因を突き止めていただきたいのです。』」
エフェ 「村長だったのね。この人。 ルイ、交渉は任せたわ。」
ルイ 「任せられました。 (村長に)しかし、村長。我々は冒険者です。 依頼を受けるからには、相応の報酬をいただかなくてなりません。」
DM 「『はい。しかし、村には大したお金は…。』」
ルイ 「ええ。 今は内乱で国が乱れている時。 増してや男手が1週間も断たれた今、それ程の金額を要求するつもりはありませんが…。 しかし、我々も困りました。」
DM 「『と、いいますと?』」
ルイ 「ええ、私たちは船の乗組員を探していたのですよ。 もちろん、楽な仕事ではありませんし、海の上では命の保証さえありません。 ですから、相応の報酬を準備して、村の方々にご協力願おうと思っていたのです。」
DM 「『なるほど。そういう事でしたら、村の男達を助けていただく代りに、その男達にあなた方を手伝うように申し伝えましょう。 命の恩人に対してなら、誰も文句は言わない筈です。』」
ルイ 「おお、それは助かります。 それでは笛の方と男達の方は私たちにお任せください。 (エフェに)ってことでいいですよね?」
エフェ 「上出来上出来♪」
ファルス 「なんだか、今日のルイは真面目だなぁ。」
フェイグランス 「ファルスもそう思った?」
ルイ 「失礼な(笑)。 私はいつだってまじめ一直線ですよ。」
一同 「・・・・・(無言)・・・・。」
ルイ 「いえ、いいんです。 分かってますって、ちぃっ(笑)。」
フェイグランス 「さて、手掛かりはどこからとも無く聞こえてくる笛の音と、その門が出現した場所か。」
ジョン 「しかし、何の理由があってそんなことするんだ?」
ルイ 「考えてみましょうか。 思い付くものを並べてみましょう。」
ジョン 「1・只の嫌がらせ。 まぁ、これはないだろうけど、一応な。」
フェイグランス 「2・この村が王軍の補給地点にならない為の行動。」
ジョン 「3・実は俺達がここに来て、船の乗組員を募集する事を予想していた敵がいる。」
ファルス 「4・この村には何かがある。」
エフェ 「5・実は、男達を何かで働かせたい人がいる。」
ファルス 「他には?」
一同 「うーん」「えーと」「どうでしょう?」
ジョン 「じゃ、1つずつ考えてみるか。 まずは1の只の嫌がらせ説。」
エフェ 「暇な悪人がいればあるかもしれないけど、今は悪人もいろいろ忙しいでしょうからね。」
ジョン 「こんな村に関わっている暇はないか。 次は2の王軍の補給基地潰し。」
ルイ 「王軍と反乱軍がぶつかるのは、やはりシャスターとルードの中間にある、ミリオン山脈あたりでしょう。 この海岸はあまり関係ないかと。」
フェイグランス 「そうだねぇ。」
ジョン 「次は3の俺達の行動を予想していた奴がいる説。」
ルイ 「これだと、なんで私たちに直接攻撃してこないのか分からないですが、ありえる話ですね。」
ファルス 「こっちも強くなってきたからね。 さすがに正面から戦うのは危ないと思っているかもしれないし。」
エフェ 「だとすると、相手の目的はなに?」
ジョン 「人質をつかって、こっちのヴィクトリーワンドと、ガレー船の引き渡しか。 で、ガレー船をうごかすのに男をつかうと。」
エフェ 「そういえば、敵もゲルガランの塔の情報は得たみたいだったもんね。 私たちの後に来て、スカだった可能性もあるわ。」
ルイ 「そうですネ。」
ジョン 「次は4か。 この村に何かがある説。」
フェイグランス 「何か。 って、なに?」
エフェ 「村長さんに聞いてみたら?」
フェイグランス 「村長さん、この村に何かむかーしから伝わっている物とか、言い伝えとかはありますか?」
DM 「『いえ、べつに。 しかし、歴史の古い村ではあります。』」
ジョン 「可能性がゼロではないってくらいだな。」
ルイ 「5の男達を働かせる為にさらったと言うのは、3の話の時にもでたとおり、ありえる話ですね。」
ジョン 「今のところ、有力なのは3か。 …だとすると、村人達はとばっちりくっただけか?!」
エフェ 「まだ分からないわよ〜。 それに、どっちにしろマスター達が魔法の船を手に入れていたら、男達はさらわれるんじゃないの?」
ジョン 「それもそうか。 じゃあ、3と5あたりを目的として敵がなにかやろうとしているって事だな。」
ルイ 「ということは、向こうもビクトリーワンド狙いですね。 大物が出てくる可能性大です。」
ジョン 「なんとなく、ガゼリアっぽいやり方だよな。」
ルイ 「ですね。 マスターやミラーナイトならば普通の軍隊を使うでしょう。 ジャレスなら自分から姿を現すように思います。」
DM 「ふむふむ。 推測しておくのは大事だね。」
ルイ 「魔法の覚え方とかも違ってきますからね。」
ジョン 「よろしく。 俺は呪文はないんでな。」
DM 「さて、君達が村長の家で打ち合わせをしていると、また笛の音が聞こえてくる。 今度は暗くて沈んだ音色だね。 さらに家の外から女性達の悲鳴が聞こえてくる。」
フェイグランス 「外に出てみよう。」
ジョン 「窓から、サッと。」
フェイグランス 「お、かっこいい。おれもやろう。」
DM 「1階の窓だから、必ず外には出られるとして、かっこよく決められるかどうかは敏捷のチェックでどうぞ(笑)。」
ジョン 「よっし、成功だ。 ひらりっとな。」
フェイグランス 「ぐあ、失敗した! 窓から出る時にアタマうったー。」
DM 「室内には”ゴン!”と大きな音が(笑)。」
フェイグランス 「くそー、格好悪い。こぶになっちゃったぞ。」
エフェ 「砂糖でもつけておけば治るわよ(笑)。」
ルイ 「私は格好悪いのはイヤですからね。 玄関からでますよ。」
ファルス 「ぼくもー。」
エフェ 「私も。」
DM 「皆がいったあと、マリュータもひらりと窓から(笑)。」
フェイグランス 「格好悪いのは俺だけなりにけり〜。」
DM 「さ、表に出ると、10体もの死者が蠢(うごめ)きつつ、君達の方に向かってくるよ。」


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