ムーンエンド・キャンペーン第一部 第13章 【魔女】

 

ファルス 「いけない、外した。」
フェイグランス 「当たったけど、低い!4ポイント。」
ルイ 「蛇もあたりません。」
エフェ 「ダガーを投げて…はずれ。」
ジョン 「7ポイントでどうだ〜!」
DM 「ガゼリアはかなりのダメージのようだけど、それでも何とか立ち上がって、『私の勝ちだ。』といい、ファイヤーボールの呪文を唱え始める。」
ルイ 「それは、いけませんね…。」
DM 「だが、その時ガゼリアが突然悲鳴を上げた。 魔女の背中に炎の短剣を突き刺したマリュータが、ガゼリアの首をしっかりと掴んでいる。」
ジョン 「うわっ、マリュータ?!」
DM 「魔法の短剣の力で、マリュータとガゼリアは炎に包まれ始める。(エフェ:「あああ…」)ガゼリアは何か…おそらくテレポートの呪文を唱えようとしているが、熱さと痛みで精神集中ができないらしい。
やがて、2人の体が裂け目の方に動き出し、そのふちに来た時、立ち尽くす君達の耳に、マリュータの声が響いた。『あばよ』と。」
ジョン 「マリュータぁぁぁぁぁ!」
DM 「止める間もなく、ガゼリアを抱え込んだマリュータは裂け目へと飛び込んだ。 魔女の恐怖の声が長く、長く、あとを引きながら洞窟を震わせ、そしてそれが魔女ガゼリアの最期だった。」
フェイグランス 「裂け目のふちに走る!今ならレビテートの呪文でマリュータを助けられるかもしれない。」
DM 「フェイグランスが走ろうとしたとき、大地が揺れ始め、壁や天井にヒビがはいった。 ガゼリアの魔力によって作られた洞窟が、その主の死によって崩れようとしている。 揺れはどんどん激しくなり、マリュータとガゼリアを飲み込んだ裂け目の口が見る見る閉じて行く。」
フェイグランス 「それでも走るぞ。」
ルイ 「駄目ですよ、フェイグランス。 マリュータに追いついても、出てこようとする頃には口が閉じてしまいます。 あなたまで死んではいけません。」
フェイグランス 「ううう。」
DM 「ドン、という大きな音がして、裂け目の口が完全に閉じられた。 そろそろ天井も崩れ始めているよ。」
ルイ 「さ、行きますよ!」
フェイグランス 「…わかった。」
ジョン 「ラルフは、俺がおぶっていこう。」
DM 「ガゼリアの私室に向かう途中、君達の目の前の天井が、大きな音を立てて崩れる。」
エフェ 「もしかして、道が塞がったの?!」
DM 「そう。完全に。」
ジョン 「折角、マリュータが助けてくれたのにな。」
DM 「その時、突如君達の目の前に”門”が現れた。」
ジョン 「なんだか知らないけど、移動できる奴だな?! 急いで入ろう!」
エフェ 「おー!」
DM 「入ると、例の男達が閉じ込められている部屋に出る。 男達は君達が突然出現したのでびっくりしているよ。 そして、この部屋にも門が出現している。」
エフェ 「不思議よね〜。 ん?もしかして…」
ジョン 「もしかして?」
エフェ 「ジョンのダークスレイヤーの力なんじゃない?」
ジョン 「ライト、オマエなのか?」
DM 「エフェの推測どおり、ダークスレイヤーが淡く光を発しているところをみると、そのようだね。」
ジョン 「なら、迷う事ないな。 みんな、この門に!急いでくれ!」
DM 「洞窟は振動を続け、今にも天井が崩れてきそうだ。」
ジョン 「全員逃がしたら、俺らも急いで入ろう。」
フェイグランス 「だね。」
DM 「君達が門に飛び込むのと、背後で天井が崩れる音がしたのはほぼ同時だった。 門に入った君達は砂浜に転移しており、断崖の上の方では『ゴゴゴゴゴゴ』と洞窟が崩れる音がしている。」
ジョン 「間一髪、間に合ったな。」
エフェ 「マリュータ、残念だったわね。」
ルイ 「復活しようにも、死体が埋まってしまいましたし…。」
 
村の男達を救出する事に成功し、魔女を倒した一行は村長から手厚い歓迎を受ける。
そして、翌日。 一行は断崖に沿った海岸に集まっていた。
 
ジョン 「ルイ、墓ができたぞ。」
フェイグランス 「中身は空だけどね。」
ジョン 「仕方ないだろ。」
ルイ 「では、祈りを捧げます。 誇り高き盗賊にして、我らが親愛なる友、マリュータをここに…ぐすん。」
ファルス 「泣いちゃだめだよ。 彼の御霊は天に召され、神々との杯をかわすだろう。」
ルイ 「我らは彼の遺志を継ぎ、一日も早く、この戦乱を終わらせる事を誓います。」
ファルス 「誓います。」
ジョン 「全員、マリュータに礼!(一同、各々に礼)」
ファルス 「マリュータ、また、いずれ。」
フェイグランス 「忘れないよ。」
エフェ 「さよなら。」
ルイ 「いずれ、我々も行きますよ。 それまでゆっくり休んで下さい。」
ジョン 「お前みたいな奴とは…もう会えないだろうな。」
フェイグランス 「最後に、マリュータの好きだったワインを墓にかけていこう。」
ジョン 「たっぷり、飲んでくれ。」
 
村に戻った一行に対して、村長は船長を1人、こぎ手50人を集め、紹介する。
 
ルイ 「村長。 ご協力感謝します。」
DM 「『あなた方の旅の幸運を祈っておりますよ。 お元気で。』」
ジョン 「村長もお元気で。 じゃあ、いこうか!」
DM 「魔法の船を海面に浮かべると、一瞬眩いばかりの光を発し、その光が収まるとそこには船体に美しい装飾を施された1隻のスモールガレーが浮かんでいる。 それは長さが60フィート。 幅が10フィートほどで、へさきにはラムが取り付けられている。 男達が次々と乗船し、出港の準備を整えてゆく。」
ルイ 「ラム(船のへさきなどに取り付けられ、相手の船に穴を空ける武器)ですか。 エフェの望みどおり戦艦でしたね。これは。」
エフェ 「これで、海賊も怖くないない。 マリュータの分も、頑張りましょ!」
ジョン 「出港だ〜!」
DM 「その掛け声と共に、魔法の船は大海原へ船出する。 ビクトリーワンドが眠る、島を目指して。」
ムーンエンド・キャンペーン
第一部 第13章・完
 
ジョン 「あー!」
ルイ 「どうしました?!」
ジョン 「ラルフの事忘れてた…。」
ルイ 「あ、そういえば…。 ま、まぁ、村長も悪いようにしないでしょ!」
DM 「やっと気づいたか(笑)。 ラルフは村長の家で手当を受けることになるから、安心してくれ。」
ジョン 「安心した。」
ルイ 「折角最後シリアスだったのに、惜しいですねぇ。」
ジョン 「そういう運命なんだろ。」


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1991年当時、ノートに書いたエフェ。