ムーンエンド・キャンペーン第一部 第1章 【プロローグ】

 

 秋の陽光が薄れて冬の訪れを感じさせる頃であった。
森を抜けた二人の視界に、その村が姿を見せたのだ。

「あれ………?」

不思議な感じがした。今見ている風景に、妙に見覚えがあるのだ。
だが、そんな筈はなかった。ここに来るのは初めてなのだ。
それは自分がエフェ=ランヴァースであるのと同じくらいはっきりしていた。
 でも……

「おかしいな」

 フェイグランスが呟いたのを聞いて、エフェはギクリとした。
エルフ族の青年に目を遣ると、彼も不思議そうな顔をしているではないか。

「あのさあ、フェイグランス」

「ん?」

「もしかして、あんたも―――」

 不意にエフェは口をつぐんだ。
奇妙な考えが浮かんだのだ。

(あの村は、あたしたちを待っていた?)

(まるで誰かが決めていたみたい)

(あの村で私達は出会いをしなければならない)

「どうしたんだよ、エフェ」

「――何かがはじまるのよ」

「え?」

「………何かとっても重大な事が………」


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