山形でTRPGやっちゃうよの会 第2回
【鬼哭き穴に潜む罠】

 

ゴブリン達はワンド以外、金目の物を持っていなかったが、装備と武器は没収する。
 
ユーヌ 「ところで、この馬車は倒れてるんだよね。」
バーン 「持って行ってあげないと、塚ふもとの人がかわいそうか。」
ユーヌ 「ひとまず、馬車を元に戻そう。」
DM 「ユーヌが馬車に近づくと、横倒しになった馬車の大きな樽の影から、1人のハーフリングが目をまんまるに見開いて、皆さんをマジマジと見ています。」
ユーヌ 「小鬼だ。 小鬼がおる。(笑)」
DM 「『小鬼じゃないよ! …もう、出て行っても大丈夫かしらね? あたしはステン。
”物売り上手のステン”と言って、”塚ふもと”から来た商人だよ。
(たたみかけるように)あんたたち、ゴブリンをやっつけて、あたしを助けてくれたんだろ?違うかい?!そうだろ?いやー、そうに違いない。』」
バーン 「なんか、だんだん追剥をしたくなって来たんだけど、気のせいか?(笑)」
アレクセイ 「気のせいにして、我慢して。(笑)」
DM 「<知識(地域)>持ってます? あったらロールしてください。」
ユーヌ 「ありますよ。 (ダイスをふって)22。」
DM 「それなら、知っていてもいいですね。 ”塚ふもと”の村に、ステンという評判のいい女商人がいると聞いたことがある。」
バーン 「女か。 女ならこれくらいの軽口は許そう。(笑)」
DM 「『いやぁ、まいったよ。 ”塚ふもと”に戻ろうとしたら、ゴブリンに襲撃されてねぇ。』」
ユーヌ 「災難だったねぇ。」
DM 「『いや、全く。』」
ユーヌ 「僕たちは、正規の料金で人助けをしているグループさ。」
バーン 「今、頭の中で『ボク?僕?ぼく?!』と。(笑)」
アレクセイ 「お金とるんですか。(笑)」
DM 「『正規の料金!?』」
ユーヌ 「うん。」
DM 「『ううーん、まぁ、うん…』」
ユーヌ 「で、これは人助けだよね?」
DM 「『そ、そうだねぇ。』」
ユーヌ 「ということは、正規の料金が発生するね?」
DM 「『ああ、お礼はさせてもらうけど、今は仕入れをしてきたばかりで、あまりお金がないんだよ。 代わりに村に着いたら店から何か品物をあげるからさ。』」
ユーヌ 「ちなみに、どのくらい?」
DM 「1人、100gpくらいといったところですね。」
アレクセイ 「あれれ、気前がいいんですねぇ。」
DM 「ただし、そこの倒れた馬車も持って行ってくれたら、という条件付きですが。」
バーン 「その馬車なら、もう点検してるぞ。 車軸とか折れてないだろうな、とか。」
DM 「横倒しになって所々壊れてしまっていますが、普通に走らせる分には問題なさそうですね。」
ユーヌ 「じゃあ、力仕事担当の方!」
バーン 「いや、ここは馬車の下で、よーいしょ、よーいしょ、と。」
ユーヌ 「じゃあ、俺が上に乗って音頭取りを。(笑)」
バーン 「余計に動かなくなるだろうが。(笑)」
DM 「筋力判定22に成功しないといけないんですよ。 上に乗ったらもっとあげちゃいますよ。(一同笑)」
バーン 「出目20は使える?」
DM 「ええ。 時間をかければ起こせますよ。」
バーン 「よし、よーいしょ、よーいしょ!」
アレクセイ 「重い重い。」
バーン 「1人で十分だぞ。(笑)」
DM 「(ユーヌに)『そこの兄ちゃんもさぼってないで、馬車から飛び出した荷物でもまとめておくれ。』」
ユーヌ 「ああ、はいはい。 ではこれはこっちに移動して。 これはあっちに。 これはここ(自分のサック)に。」
バーン 「ゴブリンの鎧とかは?」
DM 「『ああ、それはあんた達が持って行っていい…(ユーヌを見て)こら、そこ何してるんだい!?』(一同笑)」
ユーヌ 「ちっ。」
DM 「さて、しばらくして馬車をおこして、荷物や重傷のエルフ、それに死んだエルフも馬車に積み込みました。」
 
倒したゴブリン達から金目のものを回収した一行は、”塚ふもと”へと向かう。
 
バーン 「アンディとステンは顔見知りだろうから、こっちがわざわざ説明する必要はなさそうだな。」
DM 「そうですね、事情はアンディから説明したということで。」
バーン 「『ゴブリン退治に雇ったんだ』『それはちょうどいい』と、なるわけですね。(笑)」
DM 「そんな感じです。(笑) ステンは『着いたら村の主だった人達に、あたしから紹介してあげるよ。
そうすりゃあ、あたしの留守だった間に村で何があったのかも分かるってもんだ。』」
バーン 「そだね。」
DM 「『それにしても、ゴブリン達がなんだってこんなに荒れだしたんだろうね。 この道は昔はこんな事なんて無かったのに。』」
バーン 「ちなみに、その”鬼哭き穴”ってのはどこにあるんだい?」
DM 「『あたしは知らないね。 でも村の誰かが知ってるだろ。』」
バーン 「アンディを見てみる。」
DM 「アンディさんは知らない様子です。」
バーン 「なんだ、こいつら。(笑)」
アレクセイ 「でも、まぁ人助けができてよかった。」
ユーヌ 「ああ、よかったよかった。 これで少し財布が助かった。(笑)」
バーン 「(アンディに)なぁ、村には”鬼哭き穴”の場所を知っている人がいるんだよな?」
DM 「いるはず、という答えですね。」
バーン 「だとしたら、今すごくいい場所にいるんだ。 このゴブリンどもの足跡を追跡すれば、奴等の巣穴が見つかるかもしれない。 今、時間はどのくらい?」
DM 「夕方ですね。」
バーン 「だと、今から追跡するのは無謀か。」
アレクセイ 「それに、向こうの神殿にも挨拶くらいはしておきたいし。」
バーン 「この場所だけ、覚えていくか。」
ユーヌ 「さっきのウルフは、普通の狼?」
DM 「ええ、普通のですね。」
ユーヌ 「毛がはげてるとか…」
DM 「栄養状態は良くないようですね。(笑)」
アレクセイ 「気の毒だ。(笑)」
DM 「皆さんを『いただきます』して栄養状態を改善しようとしたわけですが、残念ながら…」
バーン 「『いただきます』されたわけだ。」
ユーヌ 「いただいてないぞ。(笑)」
DM 「『狼なんか、食ったって旨くないよ!』とステン。」
バーン 「経験値として、美味しく頂きます。」
 
塚ふもと
 
DM 「さて、君達は”塚ふもと”へ向かって行くと、徐々にあたりの景色が変わってきます。
鬱蒼たる森に代わって畑が広がるようになり、ほどなく”塚ふもと”の村が見えるようになってくると、ステンが君達の方を振り返って口を開きます。
『(ちょっと勿体を付けて)塚ふもとへようこそ、冒険者さん達。 これからだけど、まずはマリーおばさんの宿に行こうよ。 あの人に聞いてみりゃ、いろいろ分かるさ。』」
バーン 「宿か。 紹介で宿に行けるとは、いい事だ。」
アレクセイ 「うんうん。」
DM 「塚ふもとの生産人口は約100人。 人口の半分強が人間で、残りがエルフ、ドワーフ、ノーム、ハーフエルフ、ハーフリング、ハーフオーク…いっぱいいます。
共同体の規模としては小村なので、100gpよりも高いものは売っていません。
宝物を買い取れるのも、500gpまでですね。 村全部の財産がそんなものですね。」
アレクセイ 「5gpで1か月生活できるわけですしねー。」
DM 「そんなわけで薄暗くなった頃、村に到着。 村の中央には横幅の長い大きな建物があり、窓からは暖かい明かりがもれています。 そして扉の上の看板には文字が。」
スヴェン 「なんて書いてあります?」
DM 「『塚ふもとの宿。 来客歓迎』です。」
アレクセイ 「これが、マリーおばさんの宿ですね。」
DM 「そういうことですね。 中に入ると暖かくて居心地の良い空間が広がっており、台所からはシチューと焼きたてのパンの暖かな香りが漂ってきます。
そんな中を恰幅のいいおばさんが走り回り、飲み物をついだり食事を出したりしています。
そのおばさんが君たちを見ると、よく通る声でにこやかに声をかけてきます。
『いらっしゃい。 飲み物と食べ物と、部屋がありますよ。 どれも暖かで清潔ですよ。 (炉辺でくつろいでいる農夫に向かって)ドフ、ディシ、そこをどいて! 新しいお客さんだよ。 火のそばに座らせてあげないと!』というと、農夫の2人は穏やかに頷いて別のテーブルに移りました。
『さて、何にしますね? お客さん。』」
アレクセイ 「なるほど、人望があるんだ、このおかみさん。」
DM 「アンディさんと、ステンが君たちを紹介します。
今までの事情が説明されると、『まぁ、ステンを助けて下さって、本当にありがとうございます。
あんたがたが冒険者だって事も、腕利きだってことも、それでよっっっっっくわかりました。』(笑)
『それで、この村を助けていただけるんですね?』」
バーン 「『(ぼそっと)そのつもりだ。』と返答しときます。」
アレクセイ 「(確認するようにアンディを見て)今の流れでいいんだよね?」
DM 「いいみたいです。 『マリーさんに聞けば、大抵の事はなんとかなるよ。 彼女が村長みたいなもんだからね。』」
バーン 「ええっ?!」
ユーヌ 「きっと村長がハナタレ小僧の頃から、マリーおばさんは宿屋で頑張ってたんだな。(笑)」
バーン 「具体的な村長がいなくて、合議制とかな。」
DM 「村長はいませんね。 そんな訳で村の中心はマリーおばさんです。」
バーン 「じゃあ、詳しい情報を聞かせてもらいたいな。」
DM 「そうですね。 その前にテーブルに食事が並べられますよ。
『ステンを助けてくれたんだ。 これくらいはやらせてもらわないと。』」
バーン 「いいね。 まずは落ち着かせてもらうか。」
ユーヌ 「遠慮するのも失礼だよな。」
スヴェン 「そういうことです。」
DM 「では、少し落ち着いたところで、宿にドワーフがやってきます。
がっしりした体つきで、立派な服を着ています。
ずいぶん年寄りそうですが、まだまだ元気な印象をうけますね。
彼はあなた方をじろじろと見て、『ふん! ほほぅ、この連中かね。』と言います。」
アレクセイ 「何者だろう。」
DM 「マリーが紹介しますよ。 ”アルヴェル・ダージダウン”という名で、村の金貸しです。」
アレクセイ 「ドワーフの金貸し?」
バーン 「意地汚そうだ。」
アレクセイ 「細かそうだ。(笑)」
DM 「彼もどうやらこの村では権力を持っている人らしいですね。
アルヴェルはマリーと相談して、あなた方にお礼を払うという事を言います。
『何しろここには民兵も衛兵も番人も、アンディしかおりませんもの。
これまでにも、多くの立派な人がゴブリンのせいで死んでしまいました。
そういうわけなもので、私はアンディを派遣したのですよ。
あなた方のような立派な冒険者が来てくれて、大人しかったゴブリンがなぜ急に暴れだしたのか調べて、もう暴れないようにしてくれないかって…。』」
ユーヌ 「んー。」
DM 「『ゴブリンがもう暴れないと分かれば、金貨500枚をお支払いしますよ?』」
バーン 「ほーほー。 さっき話にあった、100gp分の品物の件と合わせると…」
ユーヌ 「いやいや、それだと殆ど俺達はタダ働きだな。」
バーン 「何で?(笑)」
ユーヌ 「ゴブリンが暴れないと確約がとれなければ、おカネはもらえないんだろ?」
DM 「そうですね。」
バーン 「何をもって、暴れないという確認にするかだよな。」
ユーヌ 「『3年間ゴブリンが出なければ500gp』とか言われたら、たまったもんじゃない。」
アレクセイ 「そんな、神殿からも出るじゃないですか〜。」
ユーヌ 「そういうのは、いわないの!(笑)」
アレクセイ 「そうか、こういう風に交渉するのが冒険者か。(笑)」
バーン 「(マリーに)なぁ、ひとつ聞いていいか? ゴブリンの巣穴か何かがあるんだよな?」
DM 「『あるはず。』」
バーン 「あるはず?」
ユーヌ 「『はず』だ。」
バーン 「ちょっとまて、あんたらを襲撃してくるゴブリンの巣穴が、分かっているわけじゃないのか?」
DM 「『多分、あそこだろう。』」
バーン 「あそこ?」
DM 「”鬼哭き穴”と呼ばれる洞窟ですね。 ここからの場所は、歩いて3時間くらい。」
バーン 「見当はついてるのか。 よしよし。 分からなければ、どうしようかと思ったぞ。」
アレクセイ 「そしたら、このあたりをしらみつぶしですね。」
ユーヌ 「それは面倒だなぁ。」
DM 「『ただ、ねえ。 あそこは、ねぇ…。 幽霊の泣き声のような、奇妙な音が聞こえるんだよ。』とマリー。
『なにか、化け物がいるに違いないとは思っていたのだが。』とはアルヴェル。」
バーン 「名前の通りだな。」
DM 「『で、500gpでは不足だというのかい?』」
バーン 「条件次第だな。 その”鬼哭き穴”とやらに行って、ゴブリンを根絶やしにするなり、襲撃をやめさせるなりすれば500gpだというならばいいが、さっきユーヌが言ったように『ここ3年襲われなければ500gp』ではかなわないからな。」
DM 「さすがにそこまでは言いませんよ。」
バーン 「要するに、その”鬼哭き穴”にゴブリンがいるとして、そこを何とかすればいいというんだな?」
DM 「『ああ。』」
バーン 「(ユーヌに)どうだ?」
ユーヌ 「それなら、いいんじゃないか?」
バーン 「(アレクセイに)どう思う?」
アレクセイ 「困っている人がいるならば、助けるべきですよ。」
ユーヌ 「(マリーに)そういえば、ゴブリンが財宝を持っていた場合、誰の物になるんだい?」
DM 「『全部、あんた達が持って行っていいよ。 あたしは、この村が守られればそれで構わないんだ。』」
アレクセイ 「本気で言っている風ですか?」
DM 「本気で言っている風です。 善良な人ですから。」
バーン 「この村からさらわれた人がいるとか、冬の蓄えをごっそり持っていかれたとか、そういう事はないのか?」
DM 「そこまでは、まだやられていませんね。」
バーン 「旅の商人が襲われる程度で済んでいるのか。」
DM 「ええ、まだ村の中までは来ていません。」
ユーヌ 「相棒の狼に、ロクなものを食わせてないような奴等だからな。」
バーン 「逆に言えば、そうだからこそ襲ってくるリスクは高まってるんじゃないか?」
ユーヌ 「まぁな。」
バーン 「ともかく、引きうけよう。」
DM 「『そうかい、そうかい。 なら今日はゆっくり休んで、明日にでも頼むよ。』」
バーン 「その穴の場所まで案内してくれる人はいるのかい?」
DM 「ならば、村の若い衆を1人つけましょう。」
バーン 「じゃあ、今日はゆっくり休んで、夜明けと同時にでも出かけよう。」
ユーヌ 「ゆっくりするのはいいが、村には他に店とかありそう?」
DM 「村にはステンの雑貨屋と、ハイローニアスの寺院がありますね。」
アレクセイ 「あら。 寺院には挨拶に行かないと。」
DM 「他に”神秘堂”と呼ばれる、胡散臭い場所がありますね。(笑)」
バーン 「マジックアイテムでも売ってるのかな。」
DM 「それは、行ってみないと分かりません。」
バーン 「じゃあ、その”神秘堂”とやらに行く前にステンの店に寄って、『神秘堂とやらでは多分(キュア・ライト・ウーンズのワンドを取り出して)こいつの鑑定もできるんじゃないかとは思うが、俺の報酬分で、鑑定できるようにしてもらえないか?』」
DM 「『そいつは、ちょっと無理だねぇ。』」
バーン 「ケチだなぁ。 プラスアルファがあるんだったら、俺が差分を払ってもいいが。」
DM 「『いや、あそこの兄ちゃんはちょっと苦手なんだよ。』」
バーン 「そうなのか。 でも…(皆に)さっきの10ppと10gpを持って鑑定に行ってもいいかな?」
アレクセイ 「うんうん。」
バーン 「GPをPPにしたい人がいたら、交換するぞ。」
スヴェン 「ああ、それでは私の100gpを10ppと交換と言う事で。」
バーン 「よし、では110gp持って、その”神秘堂”とやらに行ってみるか。 この”ワンド・オブ・キュアライト”を使えるようにしないと。」
DM 「じゃあ、そっちを先にしますか。 一夜明けて”神秘堂”に向かうバーンと…他に行く人いますか?」
ユーヌ 「じゃあ、俺も行く。」
アレクセイ 「行きます。」
スヴェン 「ええ。 一緒に。」
DM 「では、君達4人はこの小さな一階建ての建物へ向かいますが、ここは嫌でも目につきます。
何しろ外壁からして明るい紫の地に金色の星を散らしたシロモノ。 扉の上の看板には、”神秘堂”と書いてあります。」
バーン 「名前からしてマジックアイテムがらみの店かと思ったんだが、ただの怪しい占いの店とかいうオチじゃないだろうな?(笑) ともかく、暖簾をくぐる…いや、暖簾はないか(笑)。 ドアを開ける。」
アレクセイ 「胡散臭いなー、と思いつつ好奇心に負けて入ってしまう僕。(笑)」
DM 「扉を開けると、扉についていた鈴が柔らかな音を立てて鳴ります。
数本の蝋燭の明かりが、小さなテーブルと椅子が3つあるだけの暗い店の中をやわらかく照らし、店内にはリラの花の香りが強く香っています。」
バーン 「ますます占いショップって感じだな。」
DM 「奥から色鮮やかな衣を着て、沢山のスカーフやお守りや装身具を身につけたエルフの男が出てきます。
彼はあなた方を半目で見て、意味ありげにニッコリとほほ笑みます。
『問うべき問いがあって、あなた方は来られた!
私サミオルの言葉を求めているようじゃ。 銀貨1枚で未来のかけらをお目にかけます。』」
バーン 「やっぱり、占ない屋かー!!(一同笑)」
DM 「『さぁ、何を聞きたい?』」
バーン 「…なぁ、これ(キュアワンド)の鑑定をお願いしたいんだが、銀貨一枚でやってくれるのか?(笑)」
DM 「『それなら早く、そうと言いたまえ!』」
バーン 「こっちが言う前に言ったんじゃないか。(笑)」
DM 「『そうだな、鑑定ならば…100gp。 いや、110gpもらおうか。』」
バーン 「妥当な金額だろうな。 さっき用意しておいた110gpが入った袋をドカッと置く。」
DM 「『(中身を確認して)そろっているようだな。』
彼はいったん奥に引っ込むと、パールと葡萄酒、それにフクロウの羽根を用意し、すり鉢でパールを粉々に砕いてぶどう酒に入れ、フクロウの羽根でかき混ぜたものを一気にクィッ!と飲み干す。」
アレクセイ 「彼は、何をしているんですか?」
スヴェン 「”アイデンティファイ(鑑定)”の呪文をかけるのに必要な事なんですよ。」
DM 「『さて、1時間待ちたまえ』」
バーン 「1時間か。」
スヴェン 「発動時間は1時間ですからね。」
DM 「1時間後、結果が出ます。 ”キュア・ライト・ウーンズ(軽い傷を治す)”のワンド。 19チャージ。」
ユーヌ 「ううん、ちと勿体なかったな。」
バーン 「でも50回で750gpだろ? 250gp分くらいの価値があるものを、110gpで手に入れたんだから、よしとしようぜ。」
ユーヌ 「まぁ、そう言われれば、そうか。」
DM 「もちろん、発動に必要なコマンドも分かりますので、使用できますよ。」
バーン 「これはアレクセイに持っていてもらうか。」
アレクセイ 「了解。」
DM 「『君達は、見たところ冒険者のようだが?』」
バーン 「そうだな、この胡散臭い恰好が他の物に見えるんだったら、目医者に行った方がいいだろうな。」
DM 「『私の水晶球がささやいている。 君達は…(沈黙)』」
アレクセイ 「君達は?」
DM 「『なにか必要なものがあるに違いない。 秘術の巻物やポーションで100gp以内のものであれば…一週間くれれば仕入れて見せよう。』」
アレクセイ 「時間かかるなぁ。(笑)」
バーン 「仕入れている間に、村がゴブリンに襲われちまうんじゃないのかい?」
DM 「『ふむ、それは大変だな。』」
バーン 「だから、ゴブリンにてこずるようだったら頼むことにするよ。 じゃあな。」
DM 「『え? もう帰るの?』」
バーン 「もう、金がないんだ。(笑) 110gp余っている奴がいたら、もう1本のワンドも鑑定していいだろうけど。」
DM 「『(身を乗り出して)いいかい? この店は、占い屋だぞ。』」
バーン 「んー、分かったよ。 じゃあ一発占ってくれ。(銀貨1枚を机の上に置く。)」
DM 「サミオルは手相をみたり、カード占いをし、あるいはくすんだ水晶球を見てから、『(もっともらしい口調で)これから君の進む道に、光が見えるだろう。』」
バーン 「(胡散臭いものを見るように)ほほぉー。」
DM 「『今の君が信じる道を進みたまえ。』」
バーン 「とても(笑)いい占いだな。 まったく…。」
DM 「ちなみに、このサミオルというエルフはウィザードのようですね。」
スヴェン 「それで、”アイデンティファイ”が使えたわけですね。 さて、さっきバーンが言っていたもう1本のワンドの件ですが、私が鑑定資金を提供しましょう。」
バーン 「ならば、パーティ資金として借りて、こいつも鑑定を頼む。」


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