山形でTRPGやっちゃうよの会 第1回
【嵐の夜・闇の騎士】

 

新年度も始まったばかりという、ある日。
新たなメンバーによる、新たなセッションが始まろうとしていた。
ベテランメンバーと、テーブルトークは久しぶりというメンバー。 さらに初顔合わせの面々も。
だが、そんな組み合わせでも、パーティを組めば仲間になれるのが、テーブルトークの魅力。

DMが用意を整え、いよいよセッションの開始を宣言する。
 
DM 「皆さん、キャラクターは用意できていますね? それではプレイを始めます。」
バーン 「はーい。」
DM 「早速ですが、個別に導入します。 まずはクレリックのアレクセイから。」
アレクセイ 「はい。」
 
<アレクセイ(人間・ハイローニアスのクレリック)>
DM 「アレクセイは普段通り1日の仕事が終ったところで、上司から呼び出されます。」
アレクセイ 「なんでしょう。神父様。」
DM 「上司からの話では、『シスター・リイノエ(アレクセイの本名)。 突然で申し訳ないが、君は転属になった。』」
アレクセイ 「転属ー!? …左遷でしょうか?(汗)」
DM 「『いやいやいや、そんなことはない。 新しい職場は、”トーチ・ポート”と呼ばれる港町だ。』」
アレクセイ 「”トーチ・ポート”ですか? それって遠いんですか?」
DM 「『ここから馬で1週間程のところにある。 1つの町の政体が東と西に分かれている奇妙な町だが、活気はある。 そちらで人手不足だそうなので、行ってくれないか?』」
アレクセイ 「もしかして、昔東と西で戦争をしていた町ですか。」
DM 「『そうだ。』」
アレクセイ 「確か、男爵領と伯爵領に分かれているんでしたね。 今でも戦争の傷跡が残っているという…(少し考えて)やりがいがありそうですね。 行きます。」
DM 「『よろしく頼むよ。 君は今までずっと神殿の中で書記として働いていたわけだが、トーチ・ポートに行ってからは外に出る機会も多いに違いない。』」
アレクセイ 「わぁっ!(喜)」
DM 「『早速準備をして…』」
アレクセイ 「(遮って)分かりました! ではっ!(そそくさと退出しようとする)」
DM 「『待ちたまえ(笑)。 君は決して体が丈夫な方ではない。 もう一人、ハイローニアスのパラディンが旅に出るというので、道中、同行してもらおうかと思っているのだ。』」
アレクセイ 「はぁ、パラディンですか。」
DM 「『うむ。 出発は明日だ。 今日中に準備をしたまえ。』」
アレクセイ 「わーい、これでいつか冒険出ようと、少しずつ買いそろえておいた装備が使える♪ 早く明日にならないかな。」
バーン 「そんなに外に出たいのか(笑)。」
アレクセイ 「同期に比べると体が弱くて、なかなか外に出してもらえなかったですからね。 内勤用の能力とか技能は充実してるんですけど。(笑)
でもって、今まで女だからとか、非力だからとか、体が丈夫でないからと、軍や冒険者からは断られていますので、男装して、名前もアレクセイと名乗って旅に出ることにします。
17歳の男の人に変装する自信はないので、まだ声変わり前の、14歳の男の子ってことで。 長かった髪も惜しげもなく切っちゃいます。」
DM 「それには神父も同意してくれる。 ただ、僧侶の最低年齢は17歳なので、14歳と言うと変な眼で見られることもあるかもしれません。 覚悟しておいてくださいね(笑)。」
アレクセイ 「はいー。」
DM 「次は旅に出るパラディンということで、今、神父から話があった、キルナさんです。」
キルナ 「はい。」
 
<キルナ(人間・ハイローニアスのパラディン)><スヴェン(人間のウィザード)>
DM 「キルナさんも、神殿の上司から呼び出されますよ。 『君もそろそろ、実戦で鍛える段階だろう。 見聞を広める為、旅に出てきたまえ。』」
キルナ 「分かりました。 神父様。 行く場所の指定はないんですね?」
DM 「『行き先に指定はないのだが、ちょうどトーチ・ポートに旅立つ新米の神官がいる。 まずは”彼”の護衛をしてほしい。』」
キルナ 「なるほど、新米の神官のお守ですか。」
DM 「『そうだ。 馬で1週間程の旅になるだろう。 馬はこちらで貸し出すから、トーチ・ポートの神殿に返してくれればいい。』」
キルナ 「分かりました。 ところで、旅にもう一人同行させたいのですが、よろしいでしょうか?」
DM 「『ほう。』」
キルナ 「兄なのですが…」
スヴェン 「私です。 と突然出てきます(笑)。」
DM 「スヴェンはハイローニアス神殿で、講師をしているんでしたね。 では神父もスヴェンを知っているということで。
『うん、君が一緒に行くというのなら心強い。 馬も、もう一頭用意しよう。』」
スヴェン 「ありがとうございます。 …馬、乗れるかなぁ(笑)。」
DM 「基本的にみんな乗るだけならできますよ。」
スヴェン 「戦闘なんかで使うには、技能がいるんでしたね。 ではお借りします。」
DM 「『ん、よろしく頼むよ。 ハイローニアスの御名のもとに、正しき行いをし、教えを広めてくれたまえ。』」
キルナ 「(姿勢を正して)ははっ! …ところで、食糧も支給していただければありがたいのですが。」
DM 「『よかろう。 支給しよう。』 保存食はそれぞれに1週間分です。 『他に必要なものは?』」
スヴェン 「鍋とか。」
キルナ 「鍋?!」
スヴェン 「そう、<職能>が料理人だから、鍋を持っていこうと思ったんだけど、重さが10ポンドもあるから断念した(笑)。」
ユーヌ 「赴任手当はつかないのか。(ぼそっ)」
キルナ 「いい事を聞いた! …けど、それがつくとしたらアレクセイだろうなぁ。」
アレクセイ 「ああ、浮かれていて、聞くの忘れてた(笑)。」
DM 「アレクセイの赴任手当は、君の働き次第ということで。」
アレクセイ 「あらら。 歩合制ですか。」
DM 「と、言う訳で、翌朝アレクセイ、キルナ、スヴェンは引き合わされて、旅立つということになります。」
アレクセイ 「キルナとは初対面だけど、書記の仕事をしていたから、聖騎士の名簿を見て名前だけは知っているとして、スヴェンは昔勉強を教えてもらった事があるから、『わー、先生だ!』とか思ってます(笑)。」
スヴェン 「そして教え子だということに気付かない先生と(笑)。」
アレクセイ 「変装に自信がついたかも。」
DM 「自己紹介とかは、しなくていいんですか?」
アレクセイ 「あ、そうですね。 (キルナに)お名前はお聞きしております。 聖騎士様。 どうぞよろしくお願いします。」
キルナ 「あなたが、今度トーチ・ポートに赴任することになった神官の方ですね。 (こそっと)…もしかして、左遷。ですか?(一同笑)」
アレクセイ 「いえいえいえ(笑)。 えーと、(DMに)今いる町って大きいんですか?」
DM 「かなり大きい。 ということにしておきましょう。」 
アレクセイ 「だと、栄転とは言えないから、『やりがいのある職場を求めて旅立つのですよ!』(笑)」
スヴェン 「アレクセイは左遷。と。(一同笑)」
バーン 「争いごとの絶えない町に行くんだから、左遷だよね。」
ユーヌ 「冒険しなきゃいけない町に行かされる時点で、まずいね。」
DM 「働き次第では、元の町に戻れるかもよ。」
バーン 「やっぱり、左遷じゃないか!(笑)」
アレクセイ 「うわーんっ!(泣)」
キルナ 「いじめるのはこれくらいにして(笑)、スヴェンを紹介しよう。 『同行する、兄です。』」
アレクセイ 「(スヴェンを見て)『よろしくお願いします。 せ…』おっと。 危うく先生とか呼んじゃう所だった(笑)。」
スヴェン 「せ…?」
アレクセイ 「あ、いや、あのー、そのー、せ…(スヴェン「せ??」)、せ…(スヴェン「せ???」)…聖騎士様のお兄さんですか!」
バーン 「うまくごまかしたな(笑)。」
ユーヌ 「まぁ、教会で先生をしていることは知っていていいんだから、先生と呼ぶのもいいんじゃないか?」
バーン 「そうだね。」
アレクセイ 「そっか。 じゃあ、この際先生で。(笑) 実際5年前…12歳の頃に教えを受けたんですけどね。」
スヴェン 「ともあれ、よろしく。 アレクセイ君より身長が2cm程高いので。(スヴェンの身長は160cm)」
DM 「張り合ってる(笑)。」
スヴェン 「いずれ抜かれると思ってるけど。」
アレクセイ 「実はもう、これ以上伸びません。(笑)」
キルナ 「どっちも同じようなものだろう。 (キルナの身長は185cm)」
アレクセイ 「ここから追及されても困るので(笑)、身長なんてどうでもいいじゃないですか。 出発しましょうよー。 と。」
スヴェン 「では、行きますか。」
DM 「では、3人は神殿を旅立つのでした。 次はバーン。」
 
<バーン(人間のレンジャー)>
DM 「バーンの場合は、もう旅に出てるんですよね。」
バーン 「炭や10フィート棒を売って日銭を稼ぎながら。」
DM 「そうして旅をしつつ、トーチ・ポートの近くまでやってきました。」
バーン 「いつまでも、こんなことはしてられんなぁ。 そろそろ大きな町に行かないとな。 ここらで冒険者が集まる町というと、どのへんなんだ? と、近くの村で聞きます。」
DM 「はい。 当然トーチ・ポートの名前が出てきますね。」
バーン 「ふーん、トーチ・ポートか。 ちょっと行ってみるかな。 いつまでも炭焼きはやってられん。」
DM 「そんな感じで、トーチ・ポートに向かうバーンでした。 最後はユーヌ。」
 
<ユーヌ(グレイエルフのローグ)>
DM 「ユーヌの場合は、もうトーチ・ポートにいるという設定です。」
ユーヌ 「はい。」
DM 「流れ流れてトーチ・ポートにたどりつき、その日その日をなんとか生きていたと。」
ユーヌ 「ギルドの下働きで日銭を稼ぎつつ。」
DM 「そんな感じですね。」
バーン 「ここにはギルドもあるのか。」
DM 「いくつかありますよ。 影のローグギルドみたいなものもあったり。 
そのトーチ・ポートは近隣でも指折りの貿易港を有する、大きな町です。
(一同にマップをみせて)川が街の中央を流れており、この川をはさんで東町と西町に分かれます。 
また、やや沖の方にはトーチ・ポートの名前の由来となった大きな灯台があります。」
アレクセイ 「消えない明かりがともされているんでしたね。」
DM 「人口は東町が2300人、西町が1400人。 合わせて5000人くらいですね。 灰色で窓が1つもない灰色の灯台”グレイ・トーチ”が、海を行く人々の目印になっています。」
ユーヌ 「奴隷も含めれば、もっといるかもな。」
バーン 「だろうね。」
DM 「さて、ユーヌは<赤目の船乗り亭>でいつものように過ごしている。 時間は夕暮れ。」
ユーヌ 「いつものように、朝起きたい時に起きて、寝たい時に寝てるよ。 ギルドからの仕事が入っても、『うーん、今日は体調が悪いからパス!』(一同笑)」
バーン 「なんてニート(笑)。」
DM 「ちなみに、泊っているのは粗末な宿屋でしょうね。 一晩1sp。 藁袋と毛布の貸し出しがある程度です。 <赤目の船乗り亭>は食堂兼酒場で、奥の方に宿があると。」
ユーヌ 「よくある造りだね。」
DM 「ええ。 夜半過ぎには酒場のテーブルをどけて、共用寝室として利用してます。 そんなわけで、今は寝るにはちょっと早い、夕食をとるような時間です。」
ユーヌ 「ここに、ちょっといい部屋はあるかな?」
DM 「ありますよ。」
ユーヌ 「では、収入があった時には、ちょっといい部屋に移るんだ。」
DM 「なるほど。 ローグギルドからの顔利きで、少しは安く泊まれるでしょう。 いつものように夕食をとっていると、ある昔話を小耳にはさみます。」
ユーヌ 「ほうほう。」
DM 「隣の席の冒険者たちが、話している内容が聞こえてきたという感じですね。」
ユーヌ 「食事をとりながら、聞いてみよう。」
DM 「『今では人里離れた荒野となっている土地に、小さく強力な人型生物の王国があったのだそうだ。
バグベアとオーガの戦士たちが勢力拡大の為に血みどろの争いを行い、彼らは略奪によって大いなる名声と、莫大な財宝を得た。
戦いで死んだ者は丘の中腹にある巨大な中央墓地に葬られ、生きている者たちの護り手として讃えられた。
これらの墓地の中に、<高き塔>と称される大きな岩山があった。
王国で最大というわけでも、最も高名と言う言うわけでもなかったが、<高き塔>はこの種の構造物の、典型的な一例ではあった。
だが、この種の例にもれず、この人型生物の王国は、さらに強力な敵に滅ぼされ、全ての都市は壊滅し、辺境の砦さえも破壊の手を免れなかった。』」
ユーヌ 「ふむ。」
DM 「この話は、トーチ・ポートができるとかできないとか、そのきっかけになる戦争が起った時代とか、そんな時代よりもずっと前の話のようです。」
ユーヌ 「はぁ、俺が成人する前の話だな。(笑)」
DM 「エルフだからなぁ。(笑)
『ともあれ、<高き塔>だけはその破壊の手を免れた。
もっとも、この遺跡が辺鄙な場所にあり、大して重要でなかったからという理由によるものではあったが。
その種族の生き残りは、この場所を改修し、砦として使用しようとしたが、彼らと敵対した人間たちは、これをしたたかに打ちのめし、岩山が二度とこの人型生物の駐屯地になることがないようにと、墓の入り口を、丸く巨大な岩で塞いだのだった。
以後、<高き塔>は忘れ去られ、以後は知る人ぞ知る旅の道しるべとなっていった。
ある時、冒険心溢れる墓泥棒の一団が縦穴を掘りぬき、中へ入って行ったが、誰一人として生きて帰った者はいなかった。
そして、縦穴はネズミどもと、虫の通り道となっていった。』こんな話です。」
ユーヌ 「と、いうことは、まだ中は荒らされていないってわけだ。」
DM 「そういうことです。 周囲を探って情報を集めるだけでも小金稼ぎくらいにはなるだろうし、運が良ければ探索できるかもしれないです。」
ユーヌ 「気に食わない上司の言うことを、へいこらと聞いて見張りの仕事をしているよりは、どんな楽しい稼ぎ方だろう。」
DM 「大体の場所も分かっていいですよー。」
ユーヌ 「了解。 誰か俺の盾になってくれる、馬鹿な戦士はいないかな。(一同笑)」
DM 「付き合いのある連中に声をかければ、NPCが何人かはついて行くかもしれません。」
ユーヌ 「うーん、ただなぁ。 あいつら、金に汚いからなぁ。 それにNPCは逃げる時にしか役に立たない。(笑) ま、とりあえず今日は酒をのんで、考えるのは明日にするか。」
バーン 「自堕落な奴だな(笑)。 実にローグらしい。」
ユーヌ 「家は厳格な家だったから、その反動だね。」
 
翌朝
 
ユーヌ 「一応、NPCも連れて行ってみるか。」
DM 「酒場の常連の、冒険好きがついてきますよ。 『おう、そういうことなら、いつまでもこんなところで燻っちゃあいられねぇ。 俺はビックになるんだ!』とか言って。」
ユーヌ 「はい、よろしく、よろしく。 では出発しますよ。」
DM 「全員D20を振ってください。 グループの方は代表が。」
キルナ 「赴任する人が振ってくれ。」
アレクセイ 「じゃあ高い目を出していいところを…4でした(笑)。」
スヴェン 「いいところは見せられないと。」
キルナ 「やっぱり、左遷か(笑)。」
バーン 「11。」
ユーヌ 「10。」
 
●遭遇 <バーン><ゼルギウス>
DM 「バーンから。 空が1日かけてゆっくりと暗くなっていき、雨の匂いが強くなってきた。」
バーン 「こういうのはレンジャーだから、さすがに敏感でしょう。 雨がくるかな。 どこか野営できる場所を探さないとな。」
DM 「とか言っているうちに、雨粒が落ち始め、同時に周囲を震わせるような雷鳴が鳴り轟いた。」
バーン 「早かったな。」
DM 「太陽はあっという間に分厚い雷雲に隠され、北方からの冷たい風が吹きわたる。 稲妻が大地をうち、雹が地表を叩きはじめる。」
バーン 「勘弁してほしいな。 どこかに雨宿りできないか?」
DM 「そうしてあたりを見渡すと、時折の稲光に照らし出され、遥か彼方に大きな岩山がそびえ立っているのが見える。」
バーン 「なんか、プレイヤーは聞いたことがあるものに違いないが(笑)、行ってみるか。」
DM 「山は見たとおり岩がちで、がっしりしている。 この天気の中で山登りをする事は愚かしいようにも思えたが、嵐を避ける場所が見つかりそうではある。」
バーン 「岩山なら、きっと岩棚の下とか、洞窟がある。 足元に気をつけて走って行こう。」
DM 「岩山にたどりついたところで、知識<建築学>、ダンジョン探検、地理<歴史>、知識<貴族・王族>のいづれかにロールして下さい。」
バーン 「ダンジョン探検で、20。」
DM 「それなら、さっきユーヌが手に入れたような情報を思い出しました。」
バーン 「これが、噂に聞いたことがある<高き塔>か。」
DM 「近づくと、巨大な岩山が周囲を圧してそびえ立っている。 狭い岩棚がいくつか、形ばかりの雨よけの体をなしているが、そのさらに奥には巨大なアーチ状の入口がある。」
バーン 「おぅ、あそこは雨よけになりそうだな。」
DM 「高さ6フィート、幅10フィートはある入口は、外に向かって傾斜するスロープとなっており、雨水を外に流しだす働きをしている。 ただ、入口には丈夫そうな石の扉が付けられている。」
バーン 「まずは扉の目の前に。」
DM 「近づいて行くので、<捜索>を振ってみてください。」
バーン 「えー、16。」
DM 「扉やその周辺の石の造りが、非常にしっかりとしているということが分かります。」
バーン 「いきなり崩れたりは、しないか。」
DM 「そうですね。 次は<視認>をお願いします。」
バーン 「18だ。」
DM 「巨大な丸い岩が砕け散って、入口の周りに散乱しているのが分かります。」
バーン 「たしか、丸い岩で入口を塞いだとか言っていたから、その破片か。 これで封印したとか言ってたよな。 やばくね?(笑)」
DM 「大体わかるんですが、落雷によって砕かれたんじゃね?ってことで。」
バーン 「もしかして、今割れたとか?」
DM 「割れたのは、かなり前みたいですね。」
バーン 「それでも、すぐに中に入るのはやばそうだから、扉の前で少し落ち着くか。 扉も入口の穴ぎりぎりに作られているわけじゃないでしょ?」
DM 「ええ、雨よけにはなりますよ。」
バーン 「雨を避けられたら、扉に<聞き耳>。 中にアンデットでもいたら洒落にならないからな。 達成値は22。」
DM 「22? 中から共通語で何かを話しているような声がする。 声は2人くらいですね。」
バーン 「柄の悪い話声?」
DM 「や、そんなに悪くないですね。 『や、まったく大変でしたね、この嵐は。』みたいな。」
バーン 「ああ、そういう話だったら、入ってみるかな。 武器はしまっておくけどね。」
DM 「扉を開けた。 中は10歩幅四方くらいの部屋になっている。 その中央に人型クリーチャーが2体。」
バーン 「人間じゃないの?」
DM 「人間も人型クリーチャーですよ。 まぁ、見たところ人間のようです。 
部屋の内部には、剥がれた装飾などが残っており、かつてはそれなりに使用されていた部屋であることがわかるが、今はチリとホコリにまみれている。
部屋の左右と、入口の対面に1枚ずつの扉が設けられている。」
バーン 「つまり、入口も含めれば四方に扉か。 多いな。 その人たちは?」
DM 「2人とも、人間の男性です。 1人は戦士風の中年男性。 もう1人は痩せた軽装の青年ですね。 君が入ってきたのを見て、武器に手をかけてこちらを見ている。
ここで夜を明かそうとしていたらしく、馬が2頭、部屋の隅につながれています。」
バーン 「では、右手をあげて敵意がないことを示す。」
DM 「では、青年の方が君を見て口を開きます。 『嵐の停戦を?』と。」
バーン 「嵐の停戦?」
DM 「嵐の停戦というのは、この地方の習慣みたいなものです。 嵐をさけて中立地帯を訪れる、全ての個人やグループには自動的に停戦状態が生じる。 と。 
ただし、もちろんそれを拒否するクリーチャーもいますし、必ずしも受け入れられるとは限りません。
そんなわけで、青年は君に確認したわけです。 『嵐の停戦を?』と。」
バーン 「もちろん。 『嵐の停戦を』。」
DM 「『(ほっとしたように)それは良かった。 ささ、こちらへ来て火にあたりたまえ。』」
バーン 「すまない。」 
DM 「彼らはそれぞれ自己紹介をします。 戦士風の男は『アンディ』と名乗る。 ウォリアーというNPC用のクラスですね。 
もう1人、先ほどバーンに話しかけた青年は、『ゼルギウス』。 この前みなさんと一緒に作ったキャラです(笑)。 ソーサラーなんですけどね。
彼らも、嵐に追い立てられてここに入ってきたというわけです。」
バーン 「じゃあ、一応こちらも自己紹介するか。 『(ぼそりと)バーンだ。 レンジャーをやっている。』」
DM 「そういえば、無愛想なんでしたね(笑)。 アンディとゼルギウスは、にこやかに話しかけてくるような性格のようだ。」
バーン 「じゃあ、少し落ち着かせてもらうか。」 
 
●遭遇 <ユーヌ>
DM 「さて、場面を切り替えてユーヌ。」
ユーヌ 「はい。」
DM 「ユーヌもバーンと同様、このあたりに来た時に、嵐に巻き込まれてしまったわけです。 しかも運の悪いことに同行していたNPC達とはぐれてしまいました。」
ユーヌ 「えーっ。(笑) 役に立たないNPCだ。」
DM 「NPCは役に立たないものです(笑)。 で、はるか彼方に大きな岩山がそびえ立っていた。 以下略で(笑)。」
ユーヌ 「これが話にあった、<高き塔>という奴か。 雷の光を手掛かりに、避難できる場所を探して岩山へ。」
DM 「はい。 岩山は周囲を圧してそびえ立っています。 以下略(笑)。」
ユーヌ 「おお、なんとあんな所に穴があるぞ。(笑)」
DM 「アーチ状の入口が見えます。」
ユーヌ 「あそこに転がっている、大きな岩の破片は、入口を封印していた岩に違いない。 ということは、まさか先客がいるのか?!
まずいな。 どうやってピンはねするか。(一同笑) ま、とりあえず扉まで近寄ってみよう。」
DM 「扉まで近づく、と。」
ユーヌ 「もちろん<忍び足>で。」
バーン 「嵐の中で忍び足か(笑)。」
DM 「(出目を見て)もう、完璧ですね。 入口の扉は閉まっています。」
ユーヌ 「中の様子を<聞き耳>。 出目10でもいいけど、いつまでも雹に打たれるのもなんだから、振るか。 11。」
DM 「中から、ぼそぼそと話声が。」
ユーヌ 「どんな話声なんだろう。」
DM 「『この嵐、大変でしたねぇ。』」
バーン 「そうだな。」
DM 「こんな内容です。(笑)」
バーン 「もう少し、火を強くしてみるか。 と言って、炭を取り出したり。」


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