SEIKYOのヨクタン君

(文・そめいF

シーライさんやヨクタンがなぜ旅にでたのか、その背景に何があったのかを軽く説明する為に作った超短SSですw



SEIKYOのヨクタン君は、いつも劣等感にさいなまれていました。
自分はどんなに努力しても、勝てない相手がいたからです。
”彼女”は年齢よりもずっと若く見え、また普段はどこか頼りなく、料理も食べた人が卒倒するようなものばかりでしたが、魔術の腕は確かです。
また、彼女は困っている同僚がいると、ふとその姿が見えなくなることあり、戻ってきた頃には問題が解決している事が多くありました。

彼女の人柄と才能は仲間から一目置かれていて、その声望は本人が考えているよりもずっと高かったのです。
天然で、はた迷惑な部分も沢山ありましたが、それでもなお、です。

そんな彼女に負けじと、ヨクタンは魔術の勉強に打ち込む様になり、難しい呪文も次々と習得していきました。
死霊術が得意だった彼は、同僚から「将来の導師」と呼ばれるまでになっていたのです。

ある日、カタペシュの西方、ケルマレインの町が人間の手に戻ったと言う知らせが届きました。
それを達成した英雄達は「砂漠の隼」と呼ばれ、その中に彼女も含まれていました。

そう、彼がやっと仲間に認められた頃には、彼女は一国の英雄になっていたのです。
このままでは、自分の存在など埋もれてしまう。彼は焦りました。

ある日、ヨクタンはグランド・ロッジ資料室の未整理の蔵書の中に、”ゲブの書”なる伝説の書物の記述を見つけました。

これを操れるようになれば、きっと自分の名前を世界にとどろかせる事が出来る。
そう考えたヨクタンは、独自のパイプを使ってソサエティの10人委員会に掛け合い、”ゲブの書”の探索ミッションを引き出すことに成功したのです。
同行者には、SEIKYOの長である、シーライ=シサンが選ばれました。

彼は自らの栄達を夢に見、意気揚々と出発したのです。
それが、自らの破滅に繋がるとも知らずに。

なお、そのパイプ役を務めたソサエティの幹部の名前は、オギム。またの名を、クーブリウムと言いました。


こうして、クーセリアを一方的にライバル視していたヨクタン君は、自分の手に余る力を求めてしまい、破滅への道をたどります。

気の毒だけど、やはり自分の力でがんばらないとね。^^;



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