山形でTRPGやっちゃうよの会 
D&D4版セッション 第1回
【黄泉へと続く穴】

 

D&D GameDay2009を間近に控えたある日、「山形でTRPGやっちゃうよの会」のメンバー(主にDM予定者)達がD&D4版のルールを手に卓を囲む。
これまでD&D3.5版をメインにプレイしてきたメンバーにとっては、各自がコンベンションに参加した経験はあるものの、このメンバーでは初の4版セッションだ。
ダイスの転がる音、ルールブックをめくる音と、プレイヤーの会話の中からキャラクター達が生まれてくる。
DMとしてもワクワクする瞬間だ。

…が、今日のDMこと私そめいFは、4版では初のDMということでルールとシナリオの確認をするのに必死だったり(笑)。
それでもなるべく平静を装ってプレイの開始を宣言する。
 
DM 「えー、それではゲームを始めます。 今回は同人サイトである”仔だぬき蕎麦”さんの無料シナリオ『黄泉へと続く穴』を使用します。
キャラが出来たら、自己紹介と出来ることの大体の説明をお願いします。」
 
キャラクター紹介(シジス)
瑞山堂(以下シジス) 「地魂ジェナシ、ソードメイジのシジスです。 防衛役なので、相手を”マーク”することが出来ます。
マークされた敵は、その相手以外を狙うとペナルティ。
さらにソードメイジはですね、”イージス・オブ・シールディング”という割り込み能力を持っていまして、割り込みアクションでダメージを減らすことが出来ます。
相手の周りに盾を出すような感じで。 …大して減らせないんですけどねー。(笑)
パワーとしては”ルアーリング・ストライク”。 相手に攻撃が当たると引っ張って、1マス下がれます。
後は自分の周りに爆発のダメージを与える”ソード・バースト”。 雑魚掃討用。」
キャロル 「敵の周りに突っ込んでいって、『ちょっと崩してやるか。』って?」
シジス 「そんな感じです。 あと遭遇ごとのパワーとしては”ソード・オブ・シールス”。
これ、マーク中の敵が他の相手を攻撃すると、4点ダメージを与える能力です。」
キャロル 「へー。 問答無用で機会攻撃が当たって、4点食らうような感じだね。」
シジス 「ええ。 あと”アース・ショック”。 これはジェナシの種族能力なんですが、マイナーアクションで自分の周りの敵を転ばせられる…伏せ状態に出来る能力です。
隣接全ての敵だけを効果に捕らえることが出来る神能力。」
DM 「地魂ジェナシの特殊能力ですね。」
シジス 「あと、1日毎の特殊能力としては”ダンス・オブ・ザ・ソード”。 これも近接爆発の、範囲2。
ダメージは低いんですが、ヒットすると機会攻撃とシフトが不可になります。」
キャロル 「ステータス異常を増やすと。」
DM 「それ、痛いなぁ。」
シジス 「ダメージは出さないけれど、嫌がらせ的な攻撃をするキャラですね。」
DM 「以上、地魂ジェナシ・ソードメイジのシジスでした。」
  
キャラクター紹介(ファーレン)
キャロル(以下ファーレン) 「じゃあ、ファーレン君いきます。 18歳。 出来ることはHFO(ヒューマン・ファイター・男の略)!(笑)
無限回パワーはクリーヴ(薙ぎ払い)。 1体を攻撃した後、隣の敵も攻撃できる。
あと”タイド・オブ・アイアン”。 相手を押しのけて、そこに自分が移動する能力。
”リーピング・ストライク”は命中しなくても、必ず4点のダメージが入るので、普通の攻撃をするならこれをやってた方がいいってことですね。
どうなっているのか、仕組みは良く分からないけど。(笑)」
シジス 「それは日本語訳では”刈り残さぬ一撃”って事になってますね。」
ファーレン 「これ、毎回やってればいいんだよね?」
シジス 「いや、君のエクスキューション・アックス(冒険者の宝物庫で追加された武器。強力。)が泣くよ!(笑)」
ファーレン 「遭遇毎のパワーでは”スティール・サーペント・ストライク”。 ダメージが大きくて、相手は減速かつシフトできない。
相手にシフトさせないってことは、3.5版で言う5フィートステップできないってことだよね?」
シジス 「ええ。 4版では5フィートステップはなくなって、変わりに移動アクションを使用する”シフト”がその代わりになっていますね。」
ファーレン 「あと、1日毎で”プルート・ストライク”。 ただ単に大ダメージ。 これがクリティカルしたら、36+4+1D12になるんだ。
1レベルのキャラが出すダメージじゃない。(笑)」
DM 「まぁ、4版は敵のヒットポイントも3.5版に比べると随分多いですからね。 それでも多いけど。」
ファーレン 「自分にこの攻撃が当たれば、自分は死ぬようなダメージだからね。
要はなぎ払い的な事と、相手を押しのけること、相手の動きを妨害することが出来る。
あとはファイターなので、当然マークできますよ。 『俺以外を殴ったら、ちょっと痛い目に遭うぜ。』
マークはフリーアクションでいいわけだね。」
DM 「ええ。 マークにもそれぞれ射程がありますけどね。 で、マークの効果が発動しそうな時は教えてください。」
シジス 「分かりやすいように、ミニチュアにつけるマークを用意してますよ。(カラーのクリップを取り出す)」
  
キャラクター紹介(マルセル)
DM 「では、マルセル役のクジラさん。」
クジラ(以下マルセル) 「はい、名前はマルセル。 職業ウォーロード、種族ティーフリング。 年齢は17歳の男。
属性は善で、信仰する神様はアヴァンドラ。」
ファーレン 「アヴァンドラってどんな神様だっけ?」
マルセル 「善の、変化を好む神様ですね。」
ファーレン 「変化を好む善か。 3.5版で言うカオティック・グッドなのかもなぁ。」
DM 「たしかに。」
ぷらなりあ 「何が出来るんだっけ?」
マルセル 「まず、職業の特徴として”インスパイアリング・ワード”。 1遭遇に2回、味方に回復力を使わせることが出来るんですが、このパワーを使うと通常より1D6多く[回復]できます。」
DM 「4版では、底力を使って誰でもHPを回復できるようになりましたからね。
それも1戦闘に1回、標準アクションを使ってすることが殆どですので、回復手がいるのは有難いことですよねー。」
ぷらなりあ 「ちょっとクレリック。」
マルセル 「あと”戦闘指揮官”。 これは10マス以内で、マルセルの姿を見られて声を聞くことが出来る味方はイニシアチブに+2ボーナス。」
ファーレン 「おお!」
DM 「戦闘開始時にはマルセルの傍にいればいいわけですね。」
ぷらなりあ 「ちゅーか、10マス以内なら殆どOKだろ。」
マルセル 「無限回パワーとして、”コマンダーズ・ストライク”。
これは自分の攻撃を殺して味方に攻撃させるパワーです。
あと”ウルフパック・タクティクス”。
これは攻撃前に味方を1マス移動させて、主に挟撃体制を取ろうと言うやつですね。」
ファーレン 「へー、自分が攻撃する前に『お前移動して。俺挟撃ウマー』できるのね。」
シジス 「ですね。」
マルセル 「遭遇毎のパワーは”ガーディアング・アタック”。
これで味方のACが+4できます。
1日毎のパワーは”パッション・オブ・ディフェンス”。
遭遇終了まで全ての防御値に+1のボーナスを、全ての味方に与える。
ミスしても全ての味方に8点の一時的ヒットポイント。」
ファーレン 「何かと防御が強くなるんだなぁ。」
DM 「では、最後リディアお願いします。」
  
キャラクター紹介(リディア)
ぷらなりあ(以下リディア) 「えー、リディアはこんな女の子です(描いてきたイラストを取り出す)。」
ファーレン 「おお、もう既にイラスト付き!」
リディア 「ふふふ、ちゃんと後姿もあります(笑)。」
ファーレン 「おー!」
リディア 「ぱっと見はとっても美人だと思います。 おっぱいも大きいです(笑)。 ちょっとオトナっぽい18歳くらいに見える。
やれることとしては、この人はどちらかと言うとダンジョンの外の方がいいかもしれません。」
シジス 「野外型ですか。」
リディア 「ええ。 〈隠密〉〈軽業〉〈看破〉〈交渉〉〈事情通〉〈盗賊〉〈はったり〉に技能がついているので。」
シジス 「多いなぁ。 僕なんか〈運動〉と〈持久力〉だよ。(笑)」
リディア 「超技能持ち。 〈隠密〉〈軽業〉〈交渉〉〈盗賊〉が+10なので。
普段は竪琴を持って吟遊詩人みたいな格好をしていますが、呪歌は歌えません。(笑)
歌は上手いですが、楽器は合わせるくらいです。
きっと楽譜どおりには弾けるけど、芸術的には弾けないんじゃないかな。
ローグなので、当然のことながら急所攻撃します。 あと先制攻撃もします。
さらに<欺きの達人>も取っているので、機会攻撃に対するACが+2でちょっと当たりづらいです。」
ファーレン 「プチ”強行突破”みたいなものね。」
リディア 「ええ。 あと何ができるかと言うと、基礎攻撃の枠は筋力がないのでとっても弱いですけど、ワザを使うととっても強いです。
無限回パワーは”スライ・フラーリッシュ”。 攻撃に魅力のダメージを足すと言う。」
ファーレン 「昔のパラディンのようだ。(笑)」
リディア 「多分、胸の辺りを見せて幻惑するとか、太ももで幻惑しながら刺すとか。 多分そういう卑怯なワザ。(一同笑)」
シジス 「フレーバーテキストだと、剣筋が華麗なんですけどね。(笑) 剣筋で幻惑してるんですけど。(笑)」
DM 「スケルトンとかも『ワシだってあと100年若ければ…』とか思うんですネ。(笑)」
リディア 「多分そう(笑)。 あとは”デフト・ストライク”。 これは位置取りをして攻撃をするという技ですね。 攻撃の前に2マス動けるけれど、シフトじゃないので敵にくっついたところでやるとひどい目に遭うかも。」
ファーレン 「機会攻撃を食らっちゃうんだね。」
リディア 「そうそう。 あともうひとつが”ピアシング・ストライク”。
これはACが高い相手に使うワザで、ACの代わりに対反応で攻撃します。
鎧の間にザクッと突き刺すような感じですね。 近接攻撃専用。」
ファーレン 「俺もACより反応がずっと低いからね。 反応相手は辛いね。」
DM 「普通そうなりますね。」
リディア 「鎧とか外皮でACを稼いでいる相手には美味しい。
遭遇毎のパワーは”ポジショニング・ストライク”。
これは自分が動くんじゃなくて、攻撃した相手を3マスまで動かす技。
味方の中心に相手をおびき寄せたりする技です。」
シジス 「罠の上に乗っけたり。」
リディア 「崖から落としたり。」
DM 「ひどいや。(笑)」
リディア 「これ、意思防御値相手の攻撃で、魅力対応の能力なので、『そうれ、こっちだよー』とスカートヒラヒラさせて動かしたりするのかな、と。(笑)」
シジス 「横滑りですからね、どうなんでしょ。(笑)」
リディア 「そのあたり、どうしてるんでしょうね。(笑)」
ファーレン 「ローグは魅力系の技能が一杯あるんだね。」
リディア 「しかも、それを固め取りしてるから。
1日毎のパワーは”ブラインディング・バラージ”と”インスパイアリング・ワード”です。
前者は近接噴出攻撃で、相手を盲目にする攻撃。」
DM 「ウォーロード特技の”インスパイアリング・ワード”が、何故かある。」
リディア 「特技<マルチクラス>でウォーロードを取っているので、使えるわけですね。
治療が追いつかない時には、最後の切り札でリディアの”インスパイアリング・ワード”があると思ってください。
もちろん+1D6回復できます。」
シジス 「なんか、自分を回復することになりそうですね。(笑)」
リディア 「うーん、確かに。(笑)」
シジス 「”インスパイアリング・ワード”はマイナー・アクションなので、使いやすいですね。」
リディア 「そうですね。 他にはクロスボウを装填するとかもマイナー・アクションになっているので、ちょっとだけかぶりますが。
あとは武器持っているように見えない。」
シジス 「”ブラインディング・バラージ”は何でやるんですか?」
リディア 「背中から手裏剣を出して、ばっと投げる。 得意な武器なので、ダメージも普通の1D4ではなく、1D6なんですよ。
ダガーも攻撃に+1されるので、ローグはダガー使っておけって事なのかも知れない。」
シジス 「<ローグの武器の才>ですね。」
リディア 「と、言うことですね。」
マルセル 「そういえば、ティーフリングってどんな種族なんでしたっけ?」
ファーレン 「えー、しっぽがあって…」
シジス 「角もあって…」
DM 「悪魔と契約した一族なんですよ。」
マルセル 「うーん、しっぽと角か。 萌え絵師に頼んだら凄いのができそうだ。(笑)」
DM 「さて、ではご飯食べたらプレイ開始しましょうか。
D&DのDMするのはクラシックD&D以来なので、お手柔らかにお願いします。(笑)」
 
食事を終えたプレイヤー達が、出来たばかりのキャラクターシートを手に、宅を囲む。
手にはおなじみの20面ダイス。
 
セッション開始<ネルカレン村>
ファーレン 「えー、みんなもう仲間で、『君達は洞窟の前にいる』とか…。(笑)」
リディア 「なにー?!(笑) 町で情報収集とかしないのー?」
DM 「そうですねー、時間もないですからねぇ。(笑)
ちゃんと町から始めますけど、君達はもう仲間です。
仲間になった経緯は、あとでそれぞれ決めておいてください。」
ファーレン 「続きはWEBで!(笑)」
DM 「続きはWEBで。(笑)」
リディア 「続きと言うか、序章かな。(笑)」
DM 「で、この世界は”フォーゴトン・レルム”という世界なんですけれども、この世界は100年位前に”呪文荒廃”と呼ばれている魔法の暴走によって、一度バラバラになっています。」
ファーレン 「それって誰のせいだったの?」
シジス 「原因は不明ですね。 賢者達が色々説を唱えてるみたいですけど。」
ファーレン 「エベロンと同じだなぁ。」
DM 「(フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド付属のマップの北西側、ウォーターディープの東付近を示して)今の位置は、大体この辺りだと思ってください。」
マルセル 「この地図、いいなぁ。 凄く冒険したくなる。」
DM 「キャンペーン・ガイドについて来たんですよ。」
ファーレン 「ドラゴン・ランスにもクリンの地図がついてきたりしたよね。」
リディア 「地図をみるのってワクワクするよね。」
DM 「丁度”ウォーター・ディープ”の町と”灰色渓谷”の間にある土地だと思ってください。
今いる村の名前は”ネルカレン”といって、人口は500人ほど。
”呪文荒廃”が起きる前にはもっと大きな町だったらしいんですが、”呪文荒廃”を経て衰退した町…今は村といった感じですね。」
ファーレン 「しかも、もう”呪文荒廃”を知るものはいない感じ?」
DM 「100年前なので、知識として覚えている人は覚えていますよ。
長老とかが『この話はエルフから聞いた話なんじゃが…』とか。(笑)
長寿の種族なら、実際に体験したかもしれませんね。」
リディア 「この町がどんな町なのか、〈事情通〉18である程度分かりますか?」
DM 「大体分かりますね。 ここは人口500人程で”カレル騎士領”になっています。
つまりカレルという騎士の家系があって、その家が治めている領地。
”呪文荒廃”前からカレル家の者がこの辺りを治めているんですが、荒廃前はもっと大きな騎士領であって、ユストスという当主の時代に最も栄えたと。
彼は既に滅んだ王国の一将軍の地位を持っていまして、大胆不敵で狡猾な将軍として知られていたようです。
彼は残酷で、冷酷でもありましたが、それは主に敵に向けられていたものでしたので、国内では問題視されながらも糾弾されずにいました。」
マルセル 「ドラキュラみたいな…」
DM 「イメージとしてはそんな感じです。
まぁ、問題がありつつも糾弾されなかったのは、それだけ彼の武力が必要とされていたってことですね。
しかし、言い伝えによると、ある晩宮廷において、そのユストスは乱心します。
愛用の剣を振り回して、宴に居合わせた紳士淑女合計約100名を…」
リディア 「100名!」
ファーレン 「いくら一般人でも…。 数字に誇張が入ってるんじゃない?」
リディア 「それ、どんな某大虐殺?(笑)」
DM 「そう書いてあるんですよ。(笑)
ただし、荒廃以前の事で書物などは殆ど残っていませんので、言い伝えで伝わるうちに話が大きくなった可能性はありますね。
ユストスは結局、宮廷の騎士達から討ち取られるんですが、人々は畏怖をこめて”惨劇候”と呼びました。」
ファーレン 「それでも、お家は取り潰されなかったんだ?」
DM 「ええ、一時断絶しましたけれど、その後子孫の働きかけによって再興して、領地を経営していたんですが、その後の荒廃で王国は崩壊してしまい、その中でこの町は村へと衰退したものの、辛うじて残ったということですね。」
ファーレン 「今でも子供をしつけるために、惨殺候の話が使われていたりして。(笑)」
DM 「その惨殺候なんですが、今でも村から少し離れた森にお墓がありまして、代々のカレル家の先祖と共に眠っています。」
リディア 「なんだか、嫌な予感がしてきた。(笑)」
ファーレン 「キングズ・ホルム(当サイト3.5版リプレイ第3話より)のような展開が。(笑)」
DM 「さて、〈宗教〉とか〈魔法学〉で技能判定を振ってみてください。」
ファーレン 「技能持ってなくても振れるの?」
シジス 「振れるよ。」
ファーレン 「俺は〈宗教〉で振るぜ! 18。」
マルセル 「4。」
シジス 「あれ、今思ったんだけど、知識弱くね? このパーティ。(笑)」
リディア 「知識ってなーにー?(笑) 9!」
シジス 「ウィザードがいれば強いんですけどね。 21。」
DM 「シジスだけは気付きますね。 村に邪悪の気配がごくうすーく漂っていることに気付いています。」
シジス 「これは、なにかイヤーな気配が、ヒシヒシと。」
DM 「今のところは問題ないんですが、もしも濃度が増して行けば、体調を崩す者もでてくるかと。」
シジス 「大地が汚されている!(笑)」
ファーレン 「突然何を言っているんだ、シジス君!」
シジス 「君には分からないのか? この大地が悲鳴を上げているんだよ!」
ファーレン 「リアルだったら変人だけど、この世界だったらアリなんだろうな。(笑)」
シジス 「こう、大地に手を当てながら言っているわけですよ。 地魂ジェナシなもんで。」
ファーレン 「あ、そうか。」
DM 「で、さっきの〈事情通〉の続きなんですが、この村とその周辺はカレル家が治めているんですけれども、実際の政治は議会がやっています。
ただし、極稀にカレル家の当主が決定を覆すこともあります。」
リディア 「拒否権発動ね。」
DM 「そうです。 ただ、その決定が村の人にって不利益になったことは無く、今の当主トールマスは良心的な領主として知られています。
ちなみにトールマスは64歳の老騎士。」
ファーレン 「そのバカ息子とかいないの? お決まりで。」
DM 「バカ息子はいませんが、バカ娘ならいました。」
ファーレン 「なにー!?」
DM 「ちょっと〈事情通〉振ってください。 言っちゃいますが、12以上で。」
シジス 「…大地に気を取られています。(出目が低かったらしい)」
リディア 「24。」
マルセル 「9。」
ファーレン 「お、また18だ。」
DM 「ではリディアとファーレンの二人は知っていますね。
トールマスには大変可愛がっていた娘がいて、都会であるウォーターディープの町に留学に出したりもしていたんですよ。」
ファーレン 「64歳の娘といったら、もう…」
マルセル 「40歳くらい?」
ファーレン 「だよね。」
DM 「ええ、そのお嬢様はウォーターディープの町で知り合った男とくっついて出て行ってしまいまして、その後病気にかかって亡くなってしまっています。
そしてその娘が生んだ子、つまり領主のトールマスの孫に当たる、エミリアと言う少女がいます。 15歳。」
ファーレン 「それがヒロインと言うわけですね。(笑)」
DM 「そういうわけですね(笑)。
ウォーターディープに娘を留学させて失敗した経験から、トールマスはこの孫娘は手元において育てています。」
シジス 「箱入り娘と。」
リディア 「こんな小さい村で箱入りにさせてたら、田舎娘になっちゃう。」
DM 「本人はトールマスに内緒で乗馬や剣の練習をしたりして、満足らしいですよ。」
リディア 「と言うことは、村の人に顔を知られたりしているんだ。」
DM 「知られてますね。 住民からも『カレルの姫さん』なんていわれて可愛がられているようです。」
ファーレン 「お転婆姫みたいな感じなのね。」
DM 「そうです。 お転婆いらずら、かけっこスキップ大好きです。(笑)」
ファーレン 「そばかすなんて気にしないんですね、わかります。(笑)」
DM 「そうです。(笑)」
マルセル 「そういわれると、本当にそばかすがあるのかと思ってしまう。(笑)」
リディア 「外国人で、そばかす気にしてる人っているかなぁ。」
DM 「そんなわけで、皆さんはこの村の宿屋兼酒場である”雪と山猫亭”という店にいます。」
ファーレン 「じゃ、俺達はいつかやるぜ、と言いながら酒でも飲んでよう。(笑)」
シジス 「まぁ、僕らは一応英雄ですからね。 ある程度武勲と言うか…」
ファーレン 「あ、それで一般人から冒険者の1レベルになったわけね。」
シジス 「ええ。 感覚的にそんな感じ。 でも僕はソワソワしています。 なんか、なんか嫌な予感がする。」
ファーレン 「ここにきてから落ち着きがないぞ、シジス。 どうしたんだ?」
シジス 「なんかこう、悪の気配がかすかに…。」
ファーレン 「悪ねー。 俺無属性だから、『ふーん』って感じの反応かもしれないけど。(笑)」
リディア 「私はウォーターディープから逃げてきたばかりだから、ここで仲間になったばかりということで。」
ファーレン 「きっと、それで1回冒険したんだよ、きっと。」
リディア 「冒険は今までの人生そのものだけどね。」
シジス 「ま、こっちにきたところでスカウトしたみたいな。」
ファーレン 「そうそう、うちのパーティ、バランス悪くて。 ローグは必要だよなー。」
リディア 「ローグがほしかったのか、女の子が欲しかったのか。(笑)」
マルセル 「・・・(少し考えて)・・・そらローグ。」
リディア 「失礼な奴には手裏剣を!(一同笑)」
ファーレン 「ティーフリング(マルセル)はこれだから。(笑)」
DM 「この町は大陸の北方ということで、雪や寒さへの対策のために酒場や住宅などの建物のつくりはしっかりとしています。
木造で、暖炉も大きくとってあり、冬場も暖かいだろうな、という印象ですね。
店主はドワーフの夫婦で、喧嘩しつつも出てくる料理は温かく、酒もいいものですよ。
ちなみに、今は9月くらいだと思ってください。」
ファーレン 「秋か。 するとそろそろ稼いで冬篭りの仕度をしないとまずいわけか。」
リディア 「それがあるから、あっさりと仲間になるのを受けたのかも。」
ファーレン 「俺ら、住所不定の無職だから。(笑)」
リディア 「そんなわけで、頑張って情報を集めてきました。 多分さっきの〈事情通〉分。」
ファーレン 「感謝してます、感謝してます、情報収集は感謝してます。(笑)」
DM 「そうして情報を交換していると、店主のドワーフがチラチラと君達を見ています。
『ん? こいつら冒険者だったよな?』といった感じで。」
シジス 「いいえ、ジェナシです。(笑)」
リディア 「今日もここで歌わせてね、と愛想を振り撒いていよう。」
DM 「『ああ、かまわんよ。』と宿の主人。」
シジス 「なんか落ち着かなくて、ソワソワしています。(笑)」
ファーレン 「いやー、こっちから動いておくよ。 なぁ、おっちゃんおっちゃん、冬に備えなきゃいけないから、なんか仕事が入ったら回してくれよ。 って。」
DM 「『仕事ねぇ、それ。』と壁の方を指差します。
そこにはつい今しがた貼ったばかりの張り紙…というか羊皮紙がぶら下がっていますね。」
マルセル 「ああ、追加言語決めてなかった!」
DM 「共通語で書いてありますけどね。(笑)」
ファーレン 「深淵語とか…。」
マルセル 「ああ、悪魔っぽくていいや。 ティーフリングだし。」
シジス 「で、その紙には?」
DM 「『冒険者募集! 詳しくは店主まで。 −トールマス・カレル−』」
リディア 「カレルって、さっき言っていたここの領主ね。 で、店主に『どんな話?』って聞いてみるけど。」
DM 「『うん、数のそろった冒険者がきたら、領主の所に案内して欲しいといわれた。』」
リディア 「それだけ?」
DM 「『それだけだ。』」
リディア 「全然詳しくない。(笑)」
ファーレン 「要・面接。(笑)」
マルセル 「会いに行けばいいってこと?」
DM 「そういうこと。 領主の館までは案内してもらえます。」
シジス 「冒険の概要は?」
DM 「『(歯切れ悪く)良く知らんが、多分、どっかの悪い奴を倒して欲しいとか。』」
シジス 「悪い奴を倒す? それはいい仕事だ。(笑)」
リディア 「ちょっと、まゆを潜めますよ。 なんか曖昧。」
マルセル 「シジスの属性は?」
シジス 「善ですよ?」
マルセル 「ファーレン以外は善なのか。」
リディア 「善だけど、人を善悪で色分けするのは好きじゃない。」
シジス 「だが、嫌な気配もするしな。 うん。」
DM 「まぁ、領主が困っているので助けて欲しいという事のようですね。」
リディア 「ここの領主さんはいい人みたいだし…どうする? 行ってみる? お金になるかもしれないよ。」
マルセル 「行ってみよ?」
ファーレン 「これは満場一致で行くよね。 お金全然無いんだよ、俺。」


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